100人の一角で。昨夜、私が小さく泣いた話をしようか
昨日の夜は、青山ブックセンターに。ライティングの師と仰ぐさとゆみさんの、「本を出したい」出版記念トークイベントがあったから。
その中盤、あろうことか100人の参加者に囲まれて、マイクを持ちながら、人目も憚らず涙したのは私です。
そんなアナウンスで始まった今回のイベント。
「この仕事を選んだ理由の一つは、考えるのが好きだから」というさとゆみさんと、「大抵のことは考え尽くした」とサラリと言いきる編集のりりこさん。参加者からのボールを受け止めて、お二人の深くて広大な思考の海から引っ張り出される言葉たち。それが私たちの頭と心に投げ込まれて、またぐるぐると思考の渦に巻き込まれる。すると新たな問いが生まれて、私たちは再び二人に投げ返す。
めちゃめちゃJazzyなひとときでした。
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貴重な機会を、絶対無駄にしたくないから。私も手を挙げて感想をお伝えしつつ、こんな質問をさせてもらいました。
それを聞いたさとゆみさん。
さとゆみさんが、私の目をまっすぐ見つめて問いかける。私のために問うてくれている。けれど、胸を張って「はい」と言えない。それを見てすかさずくださったのが、この言葉。
マイクを持ったまま、「ゔ、ゔれじい゛……」とつぶやくのがやっと。喉の奥でひっくひっくいいながら、ひたすら頷きました。
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実は、私がここまで心打たれてしまったのには理由があって。
遡ること2週間前。2月に参加した「さとゆみビジネスライティングゼミ東京道場」のフォローアップとして、さとゆみさんとZOOMで1on1の面談したときのこと。
この場をどう使うかは、各自の自由。「出版社のWEBメディアで連載を任されるようなライターになりたい」と宣言した私は、営業に向けた2本の企画を持ち込んでご意見をいただくことにしました。すると、2本のうち1本は、私が目論む媒体で採用の可能性アリかも、とおっしゃるではないか!
!!!!!
でも、でも。残り48時間を切っていて、さらには取材も必要。
――チャンスの神様には前髪しかない。掴まないなんて選択肢、あるはずがない。
ってことで、即インタビュイーに連絡して、翌朝一番にお時間をいただき、せっせと原稿をまとめました。まとめたんです。まとめたのですが……力及ばず。あれこれ自分なりに可能性を探ったものの、その原稿は編集部の手に渡ることなく、さとゆみさんの手元から引き下げることにいたしました。
「きついこと言ってごめんね」と気遣ってくださるさとゆみさん。いいんです、いいんです。むしろ忌憚なくご意見を聞かせていただきたい。さとゆみさんのご指摘は、書いている最中の私のモヤッとした部分を突いていた。至極納得。悔しかったけれど、たくさんの新たな視点と気づきを得てばかりだった。
それでも、やっぱり凹み、いろんな気持ちが渦巻きました。取材先とさとゆみさんに無用なお時間をとらせてしまった申し訳なさ。さとゆみさんに差し伸べてもらった手を掴み切れなかった自分への不甲斐なさ。そして……さとゆみさんをがっかりさせてしまったかもしれない、見切りをつけられてしまったかもしれない、という恐れ。
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昨日のトークイベントは、楽しみだった。けれど、だから、実はさとゆみさんにお会いするのが怖かった。「あんな原稿しか書けない美穂が現れた」って思われたらどうしよう、そう思っていた。
ところが、授かったのは、「あるよ、そういうところだよ」というあの言葉。
そうだった。著書で、東京道場で、「赤字はラブレター」と言ったのはさとゆみさんだった。それを「見切りをつけられた」だなんて、勘違いにも程がある!
私が書くこと。私なりの書き方。それらへの許しを得たようなあの瞬間に、私は心底救われたのでした。
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100人の満員御礼。そこにあった会話は「1人 vs 100人」ではなく、「1人 vs 1人 × 100」でした。
私が救いを得たように、それぞれに全く別の100の風景が見えたであろう90分。行くまでの私と、行ってからの私は、全然違う。あの場所に行くことを選んで、よかった。
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最後に、朗報。今夜は関西で、さとゆみさんが語るそうですよ。
さとゆみさんを知らない人も、著書を読んだことがない人も、本を書くなんて考えていない人も。行けばきっと、新しい世界が見えるはず。今からでも、ぜひ!