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GyaO!サービス終了に見る動画配信サービスの競争の今とこれから

本日発表がありましたが、広告付きモデルで動画配信サービスを行っていたGyaO!が2023年3月31日をもってサービスを終了するそうです


エンタメの業界において、動画配信サービスのプラットフォームは海外でもStreaming Warなどと言われ、競争激化が叫ばれ、すでにサービスを終了したプレーヤーも続々出てきています。

日本も例外ではなく、2022年6月というコロナ禍の最中にTSUTAYA TVがサービスを終了しています。

少しデータが古いのですが、2021年にスパコロが調べたリサーチデータを見ると、GyaO!は4位につけていますが、AmazonやNetflixなどとの違いは広告を収入源としているところです。つまり、ユーザーにとっては無料のサービスです。業界用語だと、AVOD(Advertising Video On Demand)というビジネスモデルです。

Source: スパコロ(2021年3月時点)

GyaO!はサービスを終了しますが、この広告収入で回していくAVODは競争が激化した動画配信業界において、期待されている収益モデルなのです。

昨年11月からNetflixに広告付きのプランが始まりました。サブスクリプションモデルでは、ユーザー数の増加、または維持に限界があるからです。Netflixの場合は、完全に無料ではなく、広告が付くことで月額が安くなるというAd Supportedというモデルです。

Netflixの過去の価格の推移を振り返ると2015年の日本参入当初はスタンダードが950円(税抜き)で、当時の税込みでも1026円でした。それが2018年の値上げと2019年の消費税上げで1320円となり2021年に1490円(いずれも税込み)へと値上がりしたのです。
その最後の値上げ後にコロナ禍による巣ごもり需要が一段落したことで、世界的にNetflixの加入者が増加から頭打ちに転じ、Netflixの株価が大幅に下落したことで経営陣が広告付きプランの導入を検討したという経緯があります。
東洋経済ONLINE

ただし、このAVODの場合、広告が入ることが前提なので、広告主にとってプラットフォームに魅力を感じなければ広告は打ちませんから、収入は入ってこないということになってしまいます。

YouTubeはGoogleが母体ということもあり、上手く広告収入で回せているプラットフォームの例です(最近プレミアムというサブスクを激推ししてきますが)。

GyaO!の場合、Zホールディングスのエコシステムをうまく生かせなかったのか、Yahoo!という強力なカードを持っていながら、負けることになってしまった。

そもそも、映画やドラマ、スポーツなどの動画配信プラットフォームは、魅力的なコンテンツの制作や獲得への投資を続けないとユーザーを保持し続けることが出来ないので、その時点で終わりの見えないマラソンが始まっているのです。
また競争が激化することで、魅力的なコンテンツの価格は高騰し、ユーザーは魅力的な独占のテレビシリーズやアニメなどが始まったプラットフォームに鞍替えしてしまう。つまり、スイッチングコストが非常に低い。もはや詰んでるのでは?というプラットフォームもあるなと見ています。

その点、今でこそ「クリエーターエコノミー」の時代と言われていますが、その草分けとも言ってもいいYouTubeはユーザーが制作したコンテンツ(一部最近はコンテンツ獲得や制作もしていますが)、つまり動画の獲得費用が掛からない。そうした、非常に賢い方法で始まり、オンラインプラットフォームビジネスの成功、つまりWinner Takes Allを果たしています。

今後、動画配信プラットフォームは生き残りを掛けて、収益モデルを変えつつも、競争は続くでしょうから、次に脱落していく配信業者はどこなのか、、、あまり良い話ではありませんが目が離せません。



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