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【最近は、こんな感じ】 今後につながることを。
上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai
31 NY
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NY(牛昀/ニウユン)
生まれ年:1989年
出身:雲南省昆明市
職業:雲南料理店経営、メーカー企画
小紅書 @腌菜小黄牛
Ins @n_yniu
アウトドア好きで、
環境問題についても考えていて、
というかみんなを動かす側で、
で、人気レストランを4軒も経営している。
NYさんのまわりには
いつも人が集まっていると思う。
――犬も来た!
NY 名前は小米渣です。すごく小さいという意味。
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――どこから来た子ですか?
NY BRUCE(以前飼っていた保護犬のブルドッグ)、会ったことがありますよね? そのBRUCEが2022年の春に体調を崩して、ちょうどロックダウン中だったため獣医に連れて行くことができず、そのまま息を引き取ってしまって……。ずっと、すごくショックでした。その少し後に、この小米渣のお母さんがうちに来たんです。
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――それは、里親としてどこかから引き取ったということ?
NY いや、その野良のお母さん犬が私の家の門のところに自分で来たんです。
――来た。なるほど。
NY そして去年の10月に、そのお母さんが産んだのが小米渣です。4匹生まれて、これが当時の写真。
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――これは、全部そのお母さんが産んだ子犬?
NY そうです。同時に一匹が産んだ子犬。全員品種が違うみたいですよね(笑)。全然家族に見えない。小米渣以外の3匹はそれぞれ友達にもらわれていきました。もらった人同士のグループチャットがあって、そこにみんな日々の様子をアップしてるんですが、成長するほどに色も毛並みもどんどんバラバラになっていってる(笑)。
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“ふるさとの味が恋しくて”
――このお店(※1)はオープンしたばかりですか?
NY はい。関わっているお店としては4軒目です。雲南省の傣族(少数民族の一つ)の料理をメインに出しています。私の母が傣族なんです。傣族の料理はタイ料理に似ていますが、海鮮を使わず、独自のスパイスやハーブをたくさん使うのが特徴。
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――お店のファンとして聞きたいことがたくさんあります。NYさんの出身は雲南省ですよね?
NY そうです。雲南省の昆明。上海に来た理由は大学進学です。華東政法大学で管理学を専攻していました。本当はアートをやりたかったんですが、勉強ができたので(笑)。卒業後はイギリスに留学して、ファッションデザインの勉強をしていました。
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――では、レストランをやろうと思ったきっかけは?
NY 上海においしい雲南料理店がなかったから、ふるさとの味が恋しくて。イギリスから帰った2014年に『Slurp! 雲南小市』(※2)をオープンしました。私を含めた女子4人での共同経営なんですが、雲南省出身なのは私だけです。
※2:『Slurp! 雲南小市』(茂名北路70号)と、『Slurp&Sip雲南小市』(延平路98号1-1臨)の2店舗を展開。
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――延平路店、よく行きます。ところで、NYさんにはお店以外の場で偶然会うことが多くて、すごくいろんな活動をされているなと。『Pick up China』とか。
NY ゴミ拾いのボランティアですね。『Pick up China』は、2022年までイベントの企業コラボの企画運営、ブランドデザインの構築やマーケティングなどの仕事で関わっていました。もともと環境問題に関心があって、でもそういう活動をしても半日くらいやって解散では意味がないと思った。
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“全部、レストランをやりながら”
――上海でもゴミ拾いイベントは増えてきた気がします。
NY そうですね。特に「世界清潔日(ワールドクリーンアップデー)」(毎年9月第三周末)はたくさんのゴミ拾い活動が開催されています。山や海でのゴミ拾いや、プロギング(ジョギングゴミ拾い)イベントとかも。活動を通していろいろな考えの人に会えるし、今後につながることや活かせることも多かったです。
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――いまはどんな活動に関わってるんですか?
NY いまは『パタゴニア』の人になってて(笑)。
――え、すごい。
NY「1% for the Planet(売上の1%を地球に還元)」という活動にパタゴニアも参加していて、それについて具体的にどんなことをやっていけばいいか、企画したりマーケティングしたりしています。いま企画しているのは古着や服の修理をメインにしたイベントです。
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――それは、出勤したりしなくて良く? レストランをやりながら働いている感じ?
NY はい(笑)。
――すごい……。イベントも参加してみたいです。あとは、NYさんといえばいつもキャンプやサーフィンに出かけているイメージ。
NY はい。しょっちゅう。最近だとロッククライミングです。義烏にこういう場所があって。夜はそこでテント泊です。
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――いいなぁ……。では、今後やってみたいことは何ですか?
NY いまのところは、オープンしたばかりのこのお店の経営をより良くしていくこと。店舗がある複合施設の敷地内には、リノベーションされた古い家屋もあって草地みたいなところもあって、私の家からも近いのですごく気に入っています。今後は店内で傣族の音楽イベントや、工芸作品の展示イベントができたらな、と。企画、考え中です。
(取材日:2024年3月29日 撮影地:武夷路『翡悦里』)
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<彼女のお勧め>
『WHEN PIGS FLY』(上海市長寧区愚園路1255号)
☆家の近所にあるペットフレンドリーのベーカリー。毎朝ここでパンを買う。
『BottleDream bacecamp』(上海市長寧区利西路152号2階)
☆最近話題の利西路にできたカフェ付きの複合スペース。イベント用にスペースを貸し出してくれる。
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萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
微博:Akiko06
☆2024年5月19日、『文学フリマ東京38』(東京流通センター)に『ketchup.』で出展します。ぜひ遊びに来てください。
photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe