「好き」のこたえ合わせ。
「吉祥寺の映画館で、もののけ姫みてきたんです〜!」
「わあ!なんですかそれ!素敵〜!✨」
いつもの美容院で、たのしい会話。
もののけ姫を観たのは、お姉さんの方で私ではない。私の好きと、お姉さんの好きを、たっぷり交換する。
お話に花が咲き、
「好き」を大切な人と分かち合えたら楽しいよね。「好き」を分かち合えなかったら、しんどいよね、って話になった。
しんどい最悪のケースがふつふつと蘇った。
甘くも酸っぱくもない、ただ苦いだけの話。
ーーー
昔付き合っていた彼氏と、趣味も食事も性格も、何もかも合わなかった(どうして付き合ったのか今となっては不明)。
ある日、彼がリクエストした映画を観に行った。
観る前からわかっていた。
私は好きじゃないやつだ、、と。
でも、彼に好かれたいあまり、そんな行動を繰り返していた時期があった(THE 黒歴史)。
案の定、やっぱり、私には合わなくて、、、
観終えたあと、心の中がすっからかんになった。
映画を観たはずなのに、なぜか心が「無」になったのだ。
そんな気持ちを知りもせず、
彼は「いやー、むっちゃ良かったね!」と言い放った。
心の声:なにいい?
「えー、そうかなあ、、」
「ちょっとカフェに入って、映画のこと話そうよ!」
心の声:
やばい、やばいぞこれは。
私はいま無だ!
カフェに入るのを待てないほど気持ちが昂ったのか、歩いている道中、彼があーだこーだと感想を述べ始めた。
一度始まれば、そう簡単には引かない。それが彼の特性で、そこがおもしろかったし、何か嫌だった、、。
カフェに入れば、あの映画のここが良かった、あそこの場面は泣けたとか、意味のわからないことをノンストップで語り続けた。私はもう白目をむいているし、ここまでくると、彼の声なのか、店内のBGMなのかの判断すら危うくなっていた。
心の声:
同じ日本語なのに、なに言ってるかわからん。
お家に帰りたいいい。
そして、トドメはこうだ!
「midoriはどこの場面が良かった?」
心の声:
知らーーーん!!!
だって、なにも覚えてないのよ〜!
「えーと、、また次会ったとき、伝えるね。今日は観るので疲れちゃって。」
「そっか・・・・」
「うん・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「でも、ひとつくらいあるでしょ。」
(彼は、会話も性格もしつこかった。)
「いや、ほんまやめて。」
(私は、気が短かった。)
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「帰ろっか。」
「そうしよ。」
このカップルが、近いうちに別れを迎えたのは、言うまでも無い。
ーー
誰かのために無理するのは、きっと、相手も自分も辛い。
「好き」を押し付けちゃダメだし、
「好き」への無関心はさみしい。
「好き」が合えば、一番平和だけど、
だからといって、それが正解でもない。
「好き」が合ったとしても、お互いのベクトルがちょっと違うってことは、よくある話。のちに、これが、許せないポイントに沸々と上昇したりする。
じゃあなんなのって。
どうすればいいのって。
苦い苦い別れを経験して、学んだのは、
相手の「好き」をただ尊重してあげること、だったなと思う。
「なんでそんなに好きなの?」って、聞いてあげたら相手も嬉しいし、相手のことを、もっと理解できるかもしれない。
そしたら、私の「好き」も、存分に伝えてみる。
相手に「応える」気持ちを持ち続けたら、それで、心が通じ合っていくんじゃないかな。
まったく同じ「好き」なんて、存在しないから。
歩み寄って、寄り添って、
お互いの「好き」に応え合わせしていこう。
⬇️楽しい会話には、気づきが盛りだくさん。
お姉さんとの出会いの記事。