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いま、何番目の夏?

夏が好きだ。大好きだ。
夏生まれだからかもしれないけど、どんなに暑い目に遭わされようと夏にはめちゃくちゃ甘い。(これまで生きてこられたから、これからも大丈夫という前提で)

夏は特別な季節だ。どうしてって?
夏はこれまでのたくさんの夏のことを思い出させるから。

そんな季節、他に無い。
春も秋も冬も、そんなふうに振り返ったり懐かしがったりしない。だから私の夏は何十奏になってやってくる。これまで会った濃い夏がひとつひとつ積み重なって。

たとえば
・50cc原付バイクで東京〜気仙沼を往復したり
・阿寒湖でマリモを売ったり
・ピスモビーチの砂漠で迷子になったり
・バーニングマンで唇が爆発したり、etc
(わかってはいたけれど、遊んでばっかりだ。)

どの夏も目の前の景色を変えてくれた。
まるでチャンネルを変えるように、ガラリと全方位。オズの魔法使いのお話で、竜巻に全身(どころか家ごと)まるごと持ち上げられ、別世界に連れて行かれたように。

そう。
夏は、カラダごと飛び込むもの。そして、カラダごとケロリと抜け出すもの。何があっても立ち直れる。何をしても許される(と信じてた)。そして、通り過ぎて行くもの。

通り過ぎていくものは、
その図体が大きければ大きいほど、連れてくる風が強ければ強いほど太く大きなわだちになる。

まるで山火事を乗せた機関車のように
轟音で駆け抜けたその後ろ姿を見送りながら、
私は我に返る。

あれは

何番目の夏だったのだろう、と。
風を引き連れて夏の真ん中を駆け抜ける台風の子だった時には気づきもしなかったのに

今、私は立ち止まる。
目の前を駆け抜ける夏の子たちを見送りながら、
指を折ってみる。

私の胎内はいくつ夏を宿していたのだろう。
ちょうど女の生理のようにいくつ卵を抱えていたのだろう。それとも私のカラダは夏という生理を終えてしまったのか。

あといくつ残っているのだろう。
今日は夏を数えてみる、私にとってはじめての夏。

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