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大葉の香りが今日も優しい

大葉が好きだ。
正確にいうと、数年前、急に好きになった。

大葉特有の苦味は、幼少期はあまり好みではなかった。
彩りにしては、主張が強いし、薬味というだけあって、薬のような、食材に似つかわしくない味わいとさえ感じていた。
それが何かの拍子で好んで食べるようになり、毎年夏になると、実家で育った大葉をたくさん摘んで、青い香りを吸い込む。
大葉は、春巻きに入れるとと美味しい。揚げた後、大葉が透けて見えるよう、具材の下に大葉を敷く。具材は、スタンダードに春雨、豚肉などを包むのはもちろん、ひき肉、蓮根を醤油で甘辛く炒めたものも、大葉と相性がいい。
餃子のタネに刻んで入れたり、冷奴の上に乗せたり、チーズとごま油と白ごはんを混ぜて、おにぎりにしても美味しい。大葉の可能性、無限大。

最近のお気に入りは、パスタの上にふわっと盛り付けること。たらこなんかは間違いない。たらこパスタは、刻み海苔より、圧倒的大葉派。
今年の春。スーパーで優秀すぎるあいつとの出会いが訪れた。
皆さん、「パスタキューブ」って知ってますか。コンソメキューブのような形状で、具材とパスタが入ったフライパンに放り込み、一緒に茹でるだけで、美味しいパスタができるのだ。味は「旨辛ペペロン」と「和風醤油」の2種類で、どちらも好きだけど、個人的には「和風醤油」の優しくて落ち着く出汁の味がおすすめである。パスタキューブだけで味が決まるので、これはかなりの、大発明ではないだろうか。
パスタキューブで作ったパスタの上に、刻んだ大葉をふんだんに盛り付ける。多いくらいがちょうどいい。
具材は冷蔵庫にあるもので構わない。よくやる組み合わせは、ベーコン、椎茸。小松菜も入れてもいい。
ベーコンと椎茸を軽く炒め、そこに水、パスタ、パスタキューブを入れて、煮汁が無くなるまで煮込む。以上。拍子抜けするくらい簡単である。
簡単な割に、しっかり美味しい。ベーコンの塩気、ぷりぷりの椎茸、大葉の豊かな香り。大葉は必要だ。大葉の香りが、今日も優しい。

昔はそんなに好きじゃなかったのに、大葉に目覚めるなんて、私ってば、大人になったな。大葉の美味しい食べ方を知っている、いい女。冷蔵庫にあるもので、チャチャっと一品作れる、いい女。
大人のくせによく泣くし、落ち込むことが多いけど、そんな時は「私は大葉が好きなんだ」と心の中で呪文を唱えることにする。

#今日のおうちごはん

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