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『反復横跳びの日々』(岡本真帆著)の感想(#文学フリマで買った本の感想#1)

歌人でありつつ、会社員でもあり、東京と高知での2拠点生活を送る岡本真帆さんのエッセイ集。
岡本さんの文章は優しい。
「ささやかな気づきについての本」という紹介文にあるように、ささやかでエッジの効いた目線で語られる岡本さんの日常が楽しい。

特に好きだったのは、「儀式」と「牛乳飲もっか」。

「儀式」は、大人数での名刺交換をめぐるエッセイ。そうそう、名刺交換は暗黙知だと私も思う。そして、俯瞰で見たときの異様さに疑問を持つのもご法度である。

「牛乳飲もっか」は、岡本さんが幼少期にホットミルクを飲みたいときに歌っていたオリジナルソングをめぐるエッセイ。最後に楽譜と歌詞がついていて、子どもらしいと言えば子どもらしいのだが、大人の岡本さんがこれを楽譜で再現しているというところにまろやかな狂気があっていい。

親友は誰かと訊かれ透けてゆく体 廃村の春になりたい/岡本真帆

『水上バス浅草行き』「安全な場所」

「友達と親友の間」は、冒頭にこの歌が置かれた親友についてのエッセイ。歌の解説というより、サイドレターのように楽しく読んだ。親友という言葉が関係性を規定するという分析に共感し、岡本さんがその呪縛から解き放たれる瞬間にも美しい生活の輝きがあった。

丁寧に描写される生活と感覚。
きっとこれから先の人生で、たくさん思い出すことになるだろう。

サインしてもらうときにオタクの顔をしてしまいました。
この場をお借りしてお詫び申し上げます。

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