boyの充実した一日。
boy(15歳息子)は、いわゆる不登校児童である
ので、たまに、人に、
「息子、家で、なにしてんの?」
と、尋ねられる。
なにしてるって、、えっと、、なにって、、
ゆわれても、、なにって、、なんだ。何?
というくらい、特筆すべきことはないので、
わたしは言葉につまるのだが、
彼にとっては、
今日はいい日だった
とか
がんばりすぎた
とか
全然動けなかった
とか、実に毎日変化に富んだ日々を過ごして
いるように見える。
特にヒマを感じてもいないようだ。
ちなみに、勉強は、ほぼしていない。
今日。
わたしは朝から晩まで仕事をして、
20時くらいに帰宅すると、boyが、自作の
「うどんのたれ」
を作り、姉にも振る舞っていた。
今日は、
「充実した一日だった」
という事でしたので、彼のすばらしい一日を
忘れぬように、書き留めておく。
まず起きて、(昼に近い朝)
鶏7羽にエサをやり、洗濯物を干した。
それから、エイヒレを作った。
目眩がひどいから、母(わたし)に、
部活を休む、とLINEを入れ、
今日は休むと決意。
昼飯に、母の作った弁当を食べたあと、
コーヒーを淹れて、マシュマロを食べた。
海辺まで散歩に行くと、でっかい魚が
打ち上げられてしんでいたので、
写真に撮って、家族LINEに送った。
夕方、洗濯物を取り込み、またババアたちに
エサをやり、ふろを洗った。
親が帰って来ぬので、目分量で
「うどんのたれ」を作り、うどんを
ゆでて混ぜて食べたんだが、
ゆでている最中に担任の先生が来たので
うどんは少し延びた。
しかし、まあこれがうまいのなんのって俺はたぶんてんさいだ。
目分量のプロ。
これであと金が稼げたら生きていける。
ということだった。
今日は、充実していた
と言って、まだ半乾きの、ぴかぴかの
エイヒレを触らせてくれた。
彼は、エイヒレを、エイをさばくところから
やる。近所のおじさんがたまにくれるのだ。
エイは、網に入るが、値段のつかない
魚なので、タダでもらえる。さかななの?
煮ても焼いても、あまり家族においしいと
言われないエイは、エイヒレにするのが
一番うまいのではないか、と思った彼は、
作り方を調べて、それをマスターした。
そんなものは、わたしは絶対に、
作りたくない。こわいから、料理を
しているところを、薄目を開けて見ている
だけだ。
さばかれている最中のエイは、
まるでカバンみたい。
boyの特技は、
「どんな魚類でもさばくことができる」
というところだ。
それが出来るようになるまでのおはなしは、
また、改めて書く。
わたし自身のことをいえば、
今日は充実していた
と思える日が、一年に何日あるだろう。
毎日なんだかせわしなく、こまねずみの
ような有り様で、なさけない。
純粋に、なにかをしたくてする、
という日が、あまりに少ないような
気がするのだ。
せねばならぬこと、で、毎日が
埋め尽くされている。
君は君で、君にしかわからない苦しみが
あるのだろうが、
わたしはときどき、君がうらやましくなる
ときが、あるのだ。
君は、知らないだろうが。
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