陰山メソッド×『学び合い』
ぼくの授業や学級経営は、そのかなりの部分についてお二人の先生から学ばせていただいたことが反映されています。それが、陰山英雄(@Kageyama_hideo)先生と西川純(@jun24kawa)先生です。
陰山先生は、100マス計算の実践でも有名な方です。基礎基本の徹底反復から基礎学力(『漢字の読み書き』『音読』『四則計算』)を高め、授業を高速化(集中速習)することを提唱されています。そのための教材も数多く書籍化されており、それらを含めた授業実践=「陰山メソッド」は広く日本の教育に普及していっていると感じます。
西川純先生は、『学び合い』という教育実践を提唱されている方です。『学び合い』は、授業時間のほとんどを子どもたちに任せ、教師はファシリテートに徹するという授業スタイルがスタンダードな実践です。そのため、ややもすると「教師がなにもしない」と思われがちですが、徹頭徹尾、エビデンスを基に子どもたちの一生の幸せという長期的目線に立って行われる実践であり、教育観です。
このお二人の提唱される実践には、どちらも両極端に誤解されることがあります。陰山メソッドは「暗記学習は子どもの主体性を奪う」など、現在の教育が目指す主体的・対話的で深い学びから外れているという批判を受けることがあります。また『学び合い』については、教師が教えるという場面がほぼないため、「教師が子どもをほったらかしにしてる」と批判をされることがあります。ただし、ぼく個人としてはどちらの批判もその教育観の本質をとらえられず、うわべだけの印象で勝手に言っているだけだと想像します。
#たぶんやったことないんだろうな
#本も読んだことないんやろうな
どんな学習においても、まずは土台となる「基礎基本」がなければ、結局のところ何もできません。その学習内容に対してある程度の基礎力があってはじめて、主体性というものが発揮できるのです。例えば、漢字の読み書きが不十分なのに「さあこのお話読んで意見を交流しよう」とか言っても無意味どころかマイナスでしょ。なので、主体性を発揮するためにも、基礎学力は必須なのです。基礎学力は丸暗記して無意識に使えるくらい定着させることで、学習はよりスムーズになります。そして、丸暗記にはゴリゴリの一斉指導の方が定着しやすいのです。
一方、『学び合い』は主体性を発揮する上で極地とも言える実践です。それは見た目上、教師が教える事がほぼないからです。しかし、認知心理学の観点から、むしろ教師が教えるよりも子ども同士で教え合う方が実は理解度が高いということを科学的に示しており、そのために教師の役割を変換しているのです。詳細は西川純先生の書籍をお読みいただきたいのですが、この実践は徹底的にエビデンスベースなので、きちんと理解すればその実践の重要度が理解できるはずです。
そして、これはあまり知られていないのですが、お二人の実践や教育観で共通しているところもあります。それは「他の実践も許容している」ということです。陰山先生も西川純先生も、ぼくが知る限りでは、ご自身の実践を大切にしながらも他の実践を批判することはありません。むしろ、教育の多様性を十分に理解し、大切にしていただいているように感じます。なのでぼくも、安心して、そして信頼してお二人から学んだ実践を組み合わせ「陰山メソッド×『学び合い』」という2軸で教育活動を行っています。
陰山メソッドについても『学び合い』についても、お二人の名前で検索していただけたら、かなりの数の書籍が見つかるはずです。ご興味あれば、ぜひ一読ください。