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[万葉]Whose husband here (巻3.426)

大和歌を英訳で読むマガジン(4) の第5回は万葉集巻3の426番の歌です。

草枕 旅の宿りに 誰が夫か 国忘れたる 家待たまくに

草を枕にした旅の宿りに、誰の夫なのか、横たわっている、故郷を忘れて。家の人たちが待っているだろうに。(英語万葉集)

柿本人麿による挽歌です。聖徳太子作の挽歌が初期万葉集の時代(7世紀初め)であったのに対し、人麿が活躍する盛期万葉集の時代(7世紀末頃)まで、時間が経っても、挽歌の基本的な感情はそっくりだと感じられます。リービ英雄氏の英訳などを通してこの歌をながめてみます。

目次
読み下し文
英訳
解釈
 T. E. McAuley 訳
 窪田空穂

【マガジンの案内】
名称:大和歌を英語で読む(4)
内容:大和歌を英訳で読んでゆく。最初は万葉集
分量:1マガジンあたり最低5本を収録(予定)
価格:1マガジンが1,000円。個別の記事の分売もします
方法:詩学(poetics)的関心から、日英の詩のことばを比較
既刊:大和歌を英語で読む(1) 大和歌を英語で読む(2) 大和歌を英語で読む(3)

参考文献 ([]内は本稿での略称)

[万葉集注釈等]
・山田孝雄『万葉集講義』、宝文館、1928-37[講義]
・窪田空穂『万葉集評釈』、東京堂、1943-52[窪田評釈]
・高木・五味・大野『日本古典文學大系 萬葉集』、岩波書店、1957[古典大系]
・青木・井手・伊藤・清水・橋本『新潮日本古典集成〈新装版〉萬葉集』、新潮社、1976[古典集成]
・伊藤博『萬葉集釋注』、集英社文庫、2005[釋注]
・伊藤博『新版 万葉集』、角川学芸出版、2009[新版万葉集]
・中西進『万葉集 全訳注原文付』、講談社、1983[全訳注]
・中西進『万葉集事典』、講談社、1985[事典]
・中西進『古代史で楽しむ万葉集』、角川学芸出版、2010[古代史]

[古語辞典]
・大野・佐竹・前田『岩波古語辞典 補訂版』、岩波書店、1990[岩波古語]
・秋山・渡辺『詳説古語辞典』、三省堂、2000 [詳説古語]
・中村幸弘『ベネッセ 全訳古語辞典 改訂版』、ベネッセコーポレーション、2007 [ベネッセ]
・大野晋『古典基礎語辞典』、角川学芸出版、2011[基礎語]
・宮腰・石井・小田 『旺文社 全訳古語辞典 第四版』、旺文社、2011 [旺文社]

[万葉関連書等]
・坂本太郎・家永三郎・井上光貞・大野 晋校注『日本古典文学大系新装版日本書紀 下』(岩波書店、1994)
・島津忠夫『新版 百人一首』、角川書店、1999 [新版百人一首]
・リービ英雄『英語で読む万葉集』、岩波新書、2004[英語万葉集]
万葉神事語辞典 、國學院大學、2009
・ピーター・J. マクミラン『英語で読む百人一首』、文藝春秋、2017

[英文著作]
・Kenneth Rexroth, 'One Hundred Poems from the Japanese', 1955
・Nippon Gakujutsu Shinkokai, 'The Manyoshu', Columbia UP, 1965
・Ian Hideo Levy, 'Hitomaro and the Birth of Japanese Lyricism', Princeton UP, 1984
・Janine Beichman, 『対訳・折々のうた』(大岡 信・著) (講談社インターナショナル、2002) [as cited at Oriori no Uta: Poems for All Seasons]
・Geoffrey Bownas, 'The Penguin Book of Japanese Verse', Penguin Classics, 2009
・Anne Commons, 'Hitomaro: Poet as God', Brill, 2009
・T. E. McAuley, 'An Anthology of Classical Japanese Poetry', www.wakapoetry.net, 2016

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