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大和歌を英語で読む2

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旧「大和歌を英語で読む」(3)+(4) 旧マガジンの説明:万葉集を英訳で読んでゆきます。1300年前の日本語より現代の英語のほうが分りやすいなどということがあるのでしょうか。それ…
万葉集を英訳で読んでゆきます。1300年前の日本語より現代の英語のほうが分りやすいなどということが…
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記事一覧

[万葉]Whose husband here (巻3.426)

大和歌を英訳で読むマガジン(4) の第5回は万葉集巻3の426番の歌です。 草枕 旅の宿りに 誰が夫か 国忘れたる 家待たまくに 草を枕にした旅の宿りに、誰の夫なのか、横たわっている、故郷を忘れて。家の人たちが待っているだろうに。(英語万葉集) 柿本人麿による挽歌です。聖徳太子作の挽歌が初期万葉集の時代(7世紀初め)であったのに対し、人麿が活躍する盛期万葉集の時代(7世紀末頃)まで、時間が経っても、挽歌の基本的な感情はそっくりだと感じられます。リービ英雄氏の英訳などを通

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[万葉]he lies with grass for pillow-- (巻3.415)

大和歌を英訳で読むマガジン(4) の第4回は万葉集巻3の415番の歌です。 家ならば 妹が手巻かむ 草枕 旅に臥やせる この旅人あはれ もし家にいれば妻の手を枕にしているだろうに、草を枕にして旅の道中で倒れている、このたびびとはあわれ。(英語万葉集) 詞書を読むと衝撃を受けます。旅先で死んでいる旅人を見かけ、悲しみをおぼえて詠んだのです。「旅人あはれ」は翻訳できるのでしょうか。リービ英雄氏の英訳などを通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  聖徳

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[万葉]Come lads, make speed (巻1.63)

大和歌を英訳で読むマガジン(4) の第3回は万葉集巻1の63番の歌です。 いざ子ども 早く日本へ 大伴の 御津の浜松 待ち恋ひぬらむ さあ仲間たちよ、早く日本(やまと)へ。大伴の御津(みつ)の浜の松が、われらを待ちわびているだろう。(英語万葉集) [御津之里。御津の浜はこのあたり?] 万葉集にはこのような遣唐使の歌もあります。日本から唐へ渡り、もどる、その往還の歌には独特の外部との距離感が表れています。英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解

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[万葉]a branch of the willow (巻19.4142)

大和歌を英訳で読むマガジン(4) の第2回は万葉集巻19の4142番の歌です。 春の日に 張れる柳を 取り持ちて 見れば都の 大路思ほゆ 春の日に、ふくらむ柳の枝を折って手にとって見ると、都の大路が思われる。(英語万葉集) 京(みやこ)を離れた人たちの京に帰りたい思いを表した歌です。ある意味で普遍的な主題といえます。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本古典文學大系 (1957)  新潮日本古典集成 (1976)  中西進『万葉

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[万葉]the moon ship disappearing (巻7.1068)

大和歌を英訳で読むマガジン(4) の第1回は万葉集巻7の1068番の歌です。 天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ 天の海に雲の波が立ち、月の船が星の林に漕いで隠れていくのが見える。(英語万葉集) 人麿歌集の歌。万葉集でも異色の歌です。まるで UFO の目撃譚のようなひびきがあります。人によっては「宇宙的」と感じるでしょう。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本古典文學大系  日本学術振興会訳  Janine B

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[万葉] Asuka winds that blow (巻1.51)

大和歌を英訳で読むマガジン(3) の第7回は万葉集巻1の51番の歌です。 采女の袖 吹きかへす 明日香風 京を遠み いたづらに吹く 采女袖を吹きひるがえすはずの明日香の風は、都が遠いので、ただむなしく吹いている。(英語万葉集) [1981.2.26発行の記念切手「飛鳥の春の額田王」] 作者は志貴皇子(しきのみこ、?-716)とされています。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本学術振興会訳  T. E. McAuley訳  窪

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[万葉] is this snow come streaming (巻5.822)

大和歌を英訳で読むマガジン(3) の第6回は万葉集巻5の822番の歌です。 わが園に 梅の花散る 久方の 天より雪の 流れ来るかも 主人 私の庭に梅の花が散る。それともはるかな遠い天空から、雪が流れて来ているのだろうか。(英語万葉集) 作者は大伴旅人(665-731)とされています。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本学術振興会訳  窪田空穂 * 【マガジンの案内】 名称:大和歌を英語で読む(3) 内容:大和歌を英訳で読ん

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[万葉]with airs of wisdom (巻3.344)

大和歌を英訳で読むマガジン(3) の第5回は万葉集巻3の344番の歌です。 あな醜 賢しらをすと 酒飲まぬ 人をよく見れば 猿にかも似る ああみにくい、偉そうに酒を飲まない人をよく見ると、猿に似ているのかな。(英語万葉集) 作者は大伴旅人(665-731)とされています[上図。菊池容斎・画]。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本学術振興会訳  Geoffrey Bownas 訳  T. E. McAuley 訳  伊藤博  窪

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[万葉]across the crystal shallows (巻4.715)

大和歌を英訳で読むマガジン(3) の第4回は万葉集巻4の715番の歌です。 千鳥鳴く 佐保の河門の 清き瀬を 馬うち渡し いつか通はむ 千鳥の鳴く佐保の川の渡し場の清い瀬を、馬を渡して通うのはいつのことだろうか。(英語万葉集) [櫛田川(奈良と三重の県境に発する)、津留の渡し場跡] 作者は大友家持(718-85)とされています。 相聞(そうもん)というカテゴリに属する歌です。大友家持がおとめに贈った歌七首のひとつです。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次

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[万葉]like the luster (巻3.328)

大和歌を英訳で読むマガジン(3) の第3回は万葉集巻3の328番の歌です。 あをによし 奈良の京は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり あをによし奈良の京(みやこ)は、咲いている花が輝くように、今、真っ盛りである。(英語万葉集) 作者は小野老(8世紀前半頃)とされています。 当時世界第二の都市であった奈良が世界に向かって誇らしげな歌です。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本学術振興会訳  窪田空穂  にほふ * 【マガ

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[万葉]To what shall I compare (巻3.351)

大和歌を英訳で読むマガジン(3) の第2回は万葉集巻3の351番の歌です。 世の中を 何物に譬へむ 朝びらき 漕ぎ去にし船の 跡無きごとし 世の中(この人生)を何にたとえようか。朝の港を漕ぎ出した船の跡も残らないようなものである。(英語万葉集) 作者は沙弥満誓(8世紀前半頃)とされています。 人生への達観があまりにも見事なことばで綴られています。 英訳を通してこの歌をながめてみます。 目次 読み下し文 英訳 解釈  日本学術振興会訳  窪田空穂 * 【マガジン

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