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32、カロテンの話

嫌いな子どもさんが多いといわれる野菜の代表格はにんじんとピーマンあたりでしょうか。どちらもカラフルな色合いですね。これ等を含む緑黄色野菜には「カロテン」というフィトケミカルが含まれています。にんじんはまさにその代表格なんです。ということは、にんじん嫌いの子供はカロテンが不足気味?

そんなことはないでしょうが、このカロテンもフィトケミカルの一種です。フィトケミカルとして捉えるなら、前回まではポリフェノールのグループのものを紹介してきましたが、カロテンはこれとは別のグループ、カロテノイド系に分類されます。

カロテノイドとは、黄色や赤といった色合いの色素成分のことで、動植物の世界で広く存在しているものです。その性質は水には溶けにくいのですが、油には溶けやすいという点でしょう。カロテンのグループとキサントフィルのグループmの二つがあります。

さて、カロテンの話ですが、身近な世界では緑黄色野菜に多く含まれている栄養素で、体内でビタミンAに変換される成分の一つです。ビタミンAに変換されるカロテンは多数の種類が存在しているのですが、その変換効率が特に良いとされているのがβカロテンです。変換された後のビタミンAはというと、目に対する働きがあります。目の機能を保ったり、粘膜や皮膚を維持したりするといった働きです。

カロテンもフィトケミカルの一種ですから他にもたくさんの働きが知られていますが、抗酸化作用は言うまでもありません。カロテンは抗酸化物質として活性酸素の発生を抑えたり除去したり体内で増え過ぎてしまった活性酸素を取り除く作用があるんです。そのため、動脈硬化や老化の予防に役立つとされています。

その他にも、カロテンには免疫機能に関わる作用が期待されています。どういうことかというと、外から侵入するウイルスや細菌に対して働く防御機能(つまり免疫機能)の実行部隊である免疫細胞(つまり白血球のグループ)は活性酸素によって働きが弱められてしまいます。その活性酸素をカロテンなどの抗酸化物質が無毒化することで、免疫機能を正常に保つことが出来るという訳です。

そんな働きがあるカロテンは何処から摂取すればよいかですが、先に書いた通り緑黄色野菜から摂取するのがよさそうですね。ただ、緑黄色野菜というためには定義があるようです。厚生労働省が出している定義によると、「原則として可食部100g当たりβ-カロテン当量が600μg以上のもの」が緑黄色野菜になるのだとか。

じつはβカロテンという意味ではトマトやピーマンは当てはまりません。しかしということで、βカロテンの量が基準に当てはまっていない野菜であっても、食べる量や頻度が多いことを考慮して緑黄色野菜に分類されているものもあります。先に挙げたトマトやピーマンはその意味で緑黄色野菜となるわけです。

カロテンは普段から身近に存在している野菜に多く含まれているようですね。それなら、よほどの野菜嫌いでなければカロテンの摂取に問題は無さそうです。その摂取方法も、野菜の細胞がもつ堅い細胞壁を加熱して柔らかくすることで、中のカロテンが吸収しやすくできます。加えて、油に溶けやすい性質がありましたよね。それを利用する事でも、カロテンの吸収は高まります。

いろいろと食べ方を工夫してみるのもよいでしょう。

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