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詩 地滑り 鈴生りから滑落したら 頭蓋が割れなくちゃいけない 拡がる飛沫が存在証明 …
詩 死化粧の開闢 死に化粧のほうが どんな呼吸より瑞々しくて 彷徨ってるほうが い…
詩 黒点 闇よりも何もない 冷めきったまっくらは かつて地表を貫くほどの 星火の熱…
詩 眠れる溶融 痛々しい無痛さを 未練がましく眺めては 仰々しい律儀さを 必要を超…
詩 茫洋な星/魔性の底 心も認識も 絶対にどこか間違っていて そのことを認められない…
詩 悪魔の血管 蝙蝠の血管、には 触れることができない 魔女の頭脳、には 近づくこ…
詩 分かたれた半身 あるべき体重の乗らない太刀筋を 半霊はみている かつて、生前に浴びた血飛沫を 半霊はみている 耐えがたかった艱難辛苦を ひらり躱して歩む細い脚を 半霊はみている 彼女ら自身の防衛として切り離された自己を 意味を信じて享受し続けた生き地獄を 半霊はみている 「きみはわたしであり」 「きみは思い出せないだけ」 半霊はみている 三人称視点から 肉體から切り離された場所から すぐ傍にある故郷を 半霊はみている いまはまだ、会話
詩 悪辣の女神 かみさまは在るもの わざわいは在るもの 在るものが衣服をまとい 壇…
詩 劇光 怪獣が襲い来る夕焼け オービタル・レイが貫くのは 年代物の自動二輪 踏み…
詩 銀の国 沫を食んでいる 浸かる穂先が凪ぐたびに くちをはらはらひらいて 反射光…
詩 計算機 散らかった世界を理論に染め上げるのが好きでした。 戸棚に課題を整列させる…
詩 ごく僅かの隙間に 言葉が抉り出されるのは ほんの一瞬のこと 願いが誰かへとど…
詩 もう一度、 頭頂からつまさきまでわかりあえるなんて夢想に付き合う気なんてないよ…
ひかりとくらやみ いつなんどきでも輝いているものなら こんなにも求めることはなかった 太陽は沈むし 月は見えなくなる 思い出すんだ 輝きを見ていると 冷たくなった季節のこと 薄暗い場所のこと ひかりは有限の時間をつかって焦熱する そしてまたくらやみに落ち行く けれどまた昇るだろうって期待をかけるのは 優しさなんかじゃないのかもな 在るものを超克しようとするとき 陽射しにせまるほどの火が起こる きみはまた輝くだろう きみはまた苦しむだろう きみ