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詩 黒点


詩 黒点


 闇よりも何もない
 冷めきったまっくらは
 かつて地表を貫くほどの
 星火の熱源だったらしい
 存在ごと焦げついた
 黒い枝垂れは
 うわごとのように、つぶやく
 ほしつきのように、ひかりを
 ひつようとしてた、じめんの
 いきようとしてた、いのりの
 さみしさのみぎわに、いたい
 さみしさのみぎわに、いたい
 願うだけの力を求めるほどに
 自らの根源を見せつけられて
 いまでは、こじんまりとした黒い点
 信仰の枯れゆく
 神様の膂力では
 ことばの一つもいえない
 最期の伴侶に過ぎなかった
 けれど黒い枝垂れには
 もうそれしか残されていなくて
 あなたのように、いのりに
 むきあってきた、かみさま
 わたしのように、いのりを
 もとめていたのは、あなた
 虚無に呑まれたはずの翼が
 神様の骸を抱きしめていた







『東方地霊殿』に登場する地獄鴉『霊烏路空』を基にした詩