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詩歌

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自作の詩・短歌・長歌。東方Project二次創作含む。
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2024年7月の記事一覧

詩 不可視の膜

詩 不可視の膜  どんなに愛おしかった悲しみにも  つきまとう吐き気と倦怠  薄く透明にな…

詩 プランクトン

詩 プランクトン  世界のあらゆる要求が  詰まった人魂の血液を  飲み干し 濁流を泳ぐ …

詩 粗暴なてのひら

詩 粗暴なてのひら  取っ散らかしてぐしゃぐしゃになった  荒れた河口に踏み入って  ただ…

詩 相貌

詩 相貌  振り向けばすぐ後ろに  かつてわたしが座り込んでいた  暖かい奈落があって  …

詩 喉仏

詩 喉仏  美しい無償の愛で  染められた海原の  背中から流れる  不規則な血飛沫のこと …

詩 視神経

詩 視神経  視神経にとって  じっと見つめることができるのは  ひとの肌の  きめ細やか…

詩 報恩性の盟約

詩 報恩性の盟約  役に立つことでしか  居場所を作れない、と  尽くされるたび 思った  存在を許されるために  他人の要求を満たすのが  生存のための条件だと思っていた  だから  割腹するような 多量の  報酬を与えられたとき  何と言葉を返せばいいのか わからなかった  これは血の盟約  自分の何かのためじゃなくて  腹を裂いたひとへ  欠けた細胞を 返していくための  報恩性の 盟約  時計の針を  流砂の墜落を  その代償と引き換えに得られるなにかを  置き去り

詩 さみしさの火

詩 さみしさの火  さみしさを磔にする  十字架みたいに  きみの大切なものが 燃えてた …

詩 詳らかになったのは

詩 詳らかになったのは  いろいろあったな と  こぼす先輩の  言葉に 同意しつつも  …

詩 火葬場は歩く

詩 火葬場は歩く  その不遜と伴にいられなくなった  しわがれたわたしを見ても  泣く資格…

詩 波にのる夜

詩 波にのる夜  ひとが脱ぎ捨てた古着のかけられた  ショーケースのあわいを  多種多様の…

詩 なきがらの海

詩 なきがらの海  少女の屍体の海  千切られた肉塊が  糸を引くように浮揚する  波の押…

詩 夜と昼がみえる場所

詩 夜と昼がみえる場所  いましかないものが  生み出す焦燥で  皮膚を零しながら  息し…

詩 棄郷者へ

詩 棄郷者へ    みなしごよ  みなしごよ  骨と皮を 集めて拾いなさい  それはかつて  あなただったものの死骸です  その山積です  願いはいくらありましたか  どれだけを葬りましたか  夢に詰め込んだ ひかる清水を  流血したまま  どれだけの時が経ちましたか  現実に向き合うとうそぶいて  瘡蓋を弄る日々は 満足ですか  夢を置いていったことの  後悔を 自傷で埋めるのですか  きっとわたしたちは  現になんて 向き合えなかったのです  逃げ込んだ先で  本当の笑