詩　プランクトン

詩　プランクトン

　世界せかいのあらゆる要求ようきゅうが
　詰つまった人魂ひとだまの血液けつえきを
　飲のみ干ほし　濁流だくりゅうを泳およぐ
　あなたが
　食傷しょくしょうに餐はまれゆく
　そんな日ひが　来こなければいい
　わたしではなく
　地底ちていを揺蕩たゆたう人々ひとびとの
　血液けつえきの滝たきをみていて
　何なにもかも壊こわすわたしと
　何なにもかも喰くらうあなたの
　交まじわらない血管けっかんなんて
　気きに留とめなくたっていい
　ねえ　必要ひつようだったのは
　大海たいかいを飲のみ込こむ口腔こうくうでも
　虚無きょむを消化しょうかする胃袋いぶくろでも
　なくて
　ただ
　ひとりぼっちの血液けつえきを
　啜すすり　舐なめて　舌したで転ころがす
　丁寧ていねいな暖あたたかさだったのかな
　だとしても
　その役目やくめを負おうべきなのは
　あなたじゃないよ
　灯あかりさえともさずに
　湖みずうみの棲息せいそく者しゃのひとつとして
　すべて　飲のみ込こめばいい
　そのほうが　かえって
　救すくわれた気持きもちになるから

『東方とうほう紅魔郷こうまきょう』に登場する吸血鬼『フランドール・スカーレット』および
『東方とうほう剛欲異聞ごうよくいぶん』に登場する神獣『饕餮とうてつ尤魔ゆうま』を基にした詩