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詩 喉仏
詩 喉仏
美しい無償の愛で
染められた海原の
背中から流れる
不規則な血飛沫のこと
なんにも知らないころに
見ていた 興奮の夢想は
忘れようにも
忘れられない
痛い
夢見ていたい
痛い
夢見ていたい
痛い
きっとあなたも
痛かった
夢見ていたいなら
きっとあなたは
痛いままなんだ
って ことばにしたころ
引っかかってできた 喉仏が
流血を止めたから
いいんだ もう
埋葬された夢想のこと
もう いいんだ
そう言えたら どんなにいい
熱意を堰き止めてる 喉仏を
取り去って埋葬しよう
もういい 邪魔
流血なんて知るかよ
邪魔 もういいよ
そう言えたら どんなに
どんなにいい
美しい無償の愛
だれの血も流したくないから
きみだけは
つとめて静かに
真紅を 撒き散らして
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