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【行動経済学入門】ヒューリスティックとは?

こんにちは。micです。

私が行動経済学に興味を持ったのは、マーケティングの仕事をしている中で、消費者の行動や意思決定がどのように形成されるのかを深く理解したいと思ったからです。

日々の業務で、顧客の心理や行動パターンが売上に与える影響を実感する中で、単なる数字やデータだけではなく、人間の感情や直感がどれほど重要であるかを理解し始めたからです。

行動経済学は、従来の経済学が想定する「常に合理的な人間」とは異なり、実際の人間行動をよりリアルに反映しています。

以前に基本的な特徴や理論をご紹介しました。
(まだご覧になっていない方は、ぜひ見てもらえると嬉しいです。)

人間の意思決定や行動がどのように影響を受けるかを探るのが行動経済学ですが、その中でもよく使われる理論が「ヒューリスティック」です。

私たちの日常生活に大きな影響を与えているにもかかわらず、あまり意識されていない概念について今回は掘り下げてみたいと思います。

※この記事は Perplexity をベースに執筆しています。


ヒューリスティックとは?

ヒューリスティックとは、簡単に言えば「思考の近道」や「経験則」のようなものです。

私たちは日々、数え切れないほどの意思決定を行っていますが、その全てに対して時間をかけて慎重に検討していたら、一日が終わってしまうでしょう。

そこで脳は、エネルギーを節約し、迅速に判断するために、簡略化された思考プロセスを使います。

これがヒューリスティックなのです。

ヒューリスティックは、多くの場合、私たちの意思決定を助けてくれます。

しかし、時として誤った判断を導くこともあります。

そのため、自分の思考プロセスを理解することは、より良い決定を下すために重要なのです。

3つの代表例

行動経済学では、主に3つのヒューリスティックがよく使われています。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1. 利用可能性ヒューリスティック

思い出しやすい情報目立つ情報に基づいて判断を行う傾向です。

  • 最近、ニュースで飛行機事故を見たばかりだと、飛行機の危険性を過大評価してしまいがちです。実際には、車での移動の方がはるかに危険なのですが。

  • 宝くじに当たった人の話を聞くと、自分も当たる可能性が高いと錯覚してしまいます。

このヒューリスティックは、メディアの影響を受けやすく、社会的な問題にもつながることがあります。例えば、犯罪報道が増えると、実際の犯罪率とは関係なく、人々の治安に対する不安が高まることがあります。

2. 代表性ヒューリスティック

ステレオタイプ典型例に基づいて判断する傾向です。

  • 「眼鏡をかけている人は頭がいい」と判断してしまう。

  • ある職業の人に対して、その職業の典型的なイメージで判断してしまう。

このヒューリスティックは、時として偏見差別につながる危険性があります。また、確率判断を誤らせることもあります。例えば、「表が3回続いたコイン投げの次は裏が出やすい」と考えてしまうのも、この代表性ヒューリスティックの影響です。

3. アンカリングと調整のヒューリスティック

最初に与えられた情報(アンカー)に引きずられて判断する傾向です。

  • 高い定価を見た後だと、割引価格でもまだ高く感じてしまう。

  • 給与交渉で、最初に提示された金額に大きく影響される。

このヒューリスティックは、特に数値判断において強く働きます。面白いことに、全く関係のない数字でもアンカーとして機能することがあります。

マーケティングへの応用

これらのヒューリスティックは、マーケティングの世界で巧みに利用されています。いくつかの具体例を見てみましょう。

イメージ戦略

企業や商品のイメージを繰り返し訴求することで、消費者の印象に残る手法です。

  • SNSでの露出を高めることで、利用可能性ヒューリスティックを活用。

  • ブランドイメージを一貫させることで、代表性ヒューリスティックを利用。

例えば、高級車ブランドが「品質」や「ステータス」を一貫して訴求することで、そのブランドの車を見ただけで「高品質」「成功者」といったイメージが喚起されるようになります。

価格戦略

価格設定においても、ヒューリスティックは巧みに利用されています。

  • 期間限定セール:通常価格を高めに設定し、「今だけお得」と訴求することで、利用可能性ヒューリスティックを活用。

  • グレード分け戦略(松竹梅戦略):高価格商品をアンカーとして設定し、中価格商品が相対的に安く感じられるようにする。これはアンカリングと調整のヒューリスティックを利用しています。

  • 端数価格:999円のような価格設定は、1000円という心理的な境界線を下回っているという印象を与えます。これも一種のアンカリング効果です。

インフルエンサーマーケティング

有名人やインフルエンサーを起用することで、複数のヒューリスティックを活用しています。

  • 「有名人が推薦しているから間違いない」という代表性ヒューリスティック。

  • インフルエンサーの露出を増やすことで、利用可能性ヒューリスティックも働きます。

その他の応用例

  • 希少性の演出:「限定商品」や「残りわずか」といった表現は、利用可能性ヒューリスティックを刺激し、商品の価値を高く感じさせます。

  • 社会的証明:「人気No.1」「多くの人が選んでいます」といった表現は、代表性ヒューリスティックを利用しています。

  • フリーミアムモデル:無料版を提供し、それをアンカーとすることで、有料版の価値を高く感じさせる戦略です。

まとめ

いかがでしょうか。

ヒューリスティックは、私たちの日常生活に深く根ざしています。

これらは多くの場合、迅速な意思決定を助けてくれる便利なツールです。

しかし同時に、時として誤った判断を導く可能性もあります。

マーケティングの世界では、これらのヒューリスティックを理解し、巧みに活用することで、より効果的な戦略を立てることができます。

一方で、消費者としての私たちも、これらのヒューリスティックの存在を意識することで、より賢明な判断ができるようになるかもしれません。

次に買い物をするとき、自分の判断がどのヒューリスティックに影響されているか、少し考えてみるのも面白いかもしれませんね。

そうすることで、より意識的な消費行動ができるようになるかもしれません。

ヒューリスティックは、私たちの意思決定を支配する隠れた力です。

それを理解し、上手く付き合っていくことが、より良い判断を下すための一歩となるでしょう。


今後も皆様のお役に立てる情報を発信して参りますので、フォローしていただけますと励みになります。

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