秋深し、焼き栗うまし、長月の夜ふかし
先週は雨がよく降った。
昨日今日とまたきれいに晴れ上がった空は一段と高くなり、秋雲が絵画のように青いキャンバスに筆を走らせる。
あまりにも素晴らしい秋空だったので思わず写真を撮ってSNSに投稿しそうになってしまったではないか!!いかんいかん、思わせぶりな空の写真など載せてはならぬ。そう自分に言い聞かせて踏み留まった。
とはいえ日中晴れると太陽に焦がされるし、浜辺では海水浴を楽しむ人たちがゴロゴロと寝そべっている。
秋なんだか夏なんだかよくわからないそんな季節の合間で多少戸惑いもするが、マルシェにはキノコが並び、イモも並び、そしてクリも並んでいる。だから今はもう秋。誰もいなくならない海。でいいのだろう。
昼間立ち寄ったオーガニックスーパーで、一段と大きな栗を売っていたから10粒ほど購入して帰ってきた。今年お初の初栗である。
熱湯に浸けて少し柔らかくなった皮に十字の切り込みを入れ、アルミ箔でふんわりと包んでそのままオーブンへ。直径5センチもある大栗なので30分ほど蒸し焼きにした。
久しぶりに焼いた栗はホクホクでホロホロでほんのりと甘くてうますぎる。
うますぎて今にも小踊りをしそうな勢いで夢中になって貪り食べていたらミアが真顔で見つめていた。
パリに住んでいた頃はこの時期になると、ドラム缶とスーパーのショッピングカートを合体リメイクして作った移動式鉄板で焼いた焼き栗屋さんを至る所で見かけていた。栗の焼ける香ばしい匂いが懐かしい。
マロショ、マロショ、とブツブツと呪文のように連呼するマロン(栗)・ショー(熱い)屋さんは街のあちこちに出没していた。
それがニースでは全く見かけない。需要がないのだろうか?それとも不法屋台の取り締まりが厳しいのだろうか?
10月も末になり、午後7時にはもう夕暮れが訪れる。夏の間は午後10時頃まで明るかったのが嘘のように夜の帳が早く下りる。
暗い闇の時間が増え、外で過ごす時間が減り、家の中でのんびりとネット検索したり動画を見たりnoteを読んだりして過ごしているといつの間にやら時間が経過し、ついつい夜ふかしをしてしまう。
いかんなぁ。