2018年7月 スリランカへの旅② アーユルヴェーダとの出会いと、忘れられない笑顔での見送り
スリランカへの旅① コロンボ、サバイバル編は上記から。
リトリートの始まり
海辺の小さな鉄道駅からトゥクトゥクに乗ってヨガとアーユルヴェーダを体験できるというリトリート施設へ。
先ほど車窓から見たスラムとはまるで異世界のリゾート感あふれる施設に驚く。
キレイな英語を話す、洗練された施設のスタッフが出迎えてくれ、ウェルカムドリンクを飲みながらチェックインの手続き。
部屋はコテージタイプで私は中でも一番安いタイプにしたけれど、それでも悠々と広く開放的な作り。
初日にシャワーを浴びていたら大きなGが出たのでシャンプーをかけて退治した、ということはあったが、排水溝から入ってしまったのであれば仕方ない。
水回りは清潔で使いやすく、正直同じ値段なら先月行ったインド(3分ほどでお湯が出なくなるし全体的に清潔度がまるで違う)よりずっとお得感がある。
アーユルヴェーダ診断
この施設にはアーユルヴェーダの医師が常駐しており、私もまずはコンサルテーションを受けてから滞在中の施術を決めるという流れになった。
その頃はまだアーユルヴェーダをちゃんと勉強しておらず、なんとなく3つの体質タイプがあることや、オイルマッサージが有名なことくらいしか知らなかった。
後に日本で診断してもらうと私の元々の体質はkaphaという水のエネルギーが強く、pitta という火のエネルギーは少な目だが、後天的にvataという風のエネルギーの影響を受けて体調が乱れやすいということが分かった。けれどもその当時はあまりにもvataの勢いが強く、体型も今とは異なっていたため、スリランカの専門医が私の体質を先天的なvataと誤診していたということが分かったのも面白い。
そのアーユルヴェーダ医師は高齢の女性で、とても優しい目をしていたのを覚えている。
睡眠障害に悩み、様々なことへの不安や焦燥感でメンタルが崩れていた私に寄り添い、その施設でのトリートメントを考えてくれただけでなく、日々の過ごし方のアドバイス、摂った方が良い食べ物と摂らない方が良い食べ物の話をしてくれたり、細かく相談に乗ってくれた。
毎朝その医師がひとりひとりの体調をチェックしてくれる時間があり、笑顔を向けつつ心配そうに様子を聞いてもらえるたびに心身が癒されていくのを感じた。
印象的だったのは、食べない方が良いとされている食材であっても、絶対食べてはいけないわけではない、という伝え方をしていたことだ。
白か黒かといった二元論でスパっと切るのではなく、物事を柔軟にとらえ、最終的には本人の気持ちと判断に任せるというアーユルヴェーダの考え方に感銘を受けた。
ガチガチした既存の形式に従うのが苦手な私には、一見決まり事が多そうに見えても自分と向き合い自分で判断することが求めらるアーユルヴェーダが合っていると、日本に帰って勉強をしている時にもあらためて感じたのを記憶している。
トリートメント三昧な日々
そんな天国のような施設に1週間ほど滞在した。
朝はヨガから始まり、朝食を食べて、トリートメントの時間。
毎日身体の違う部位を違う方法でケアしてもらえる。
額に温かいオイルを垂らしていく定番のシロダーラは特別なもので、施術前から軽いファスティング状態に入り、下剤のような作用をするハーブのジュースを飲み、胃腸もデトックス。オイルでべたべたになった髪はその後2日洗わずに、布をターバンのようにして生活する、という感じ。
目や鼻にオイルを入れるトリートメントや、スチームバスやハーブ蒸しを行う日もあった。
施術のバリエーションが豊かで、ひとりひとり体質や体調に応じて違うものを行っており、毎日が驚きと癒しに満ちていた。
トリートメント後はランチを食べて、ディナー前のヨガの時間までフリー。
施設にはプールやジムもあり、他の滞在客たちと少し話したりしながらのんびり過ごすには退屈しなかった。
愛を感じて心ほぐれる
実は同じ時期に、日本の同じ職場で働いているKさんという女性も近くのリトリート施設に滞在していた。
約20歳ほど年上の友人であるが、普段から仲が良く、私がスリランカに行くという話をすると、彼女も彼女でリサーチを始め、別の友人と一緒に違う施設で同時期に滞在することになった。
お互いさっぱりしているので無理に一緒に行ったり合わせたりしないのが心地よいが、せっかくなので彼女の滞在する場所に遊びに行ってみることにした。
私のいる施設から運転手付きで車を借りて(往復で7,000円くらいだった。絶対ぼったくり。)片道30分ほど。
また違ったテイストの素敵なリゾートで友人と再会。
何を話したのかあまり覚えていないが、wifi環境が悪くなかなか連絡がつかなかったこともあり、短時間一緒に過ごした時間はとても濃く意味のあるもので大変灌漑深かった。
一人旅は好きだけれど、やはり寂しい瞬間もある。
母のように慕うその友人に会えたことがとても嬉しく、帰りたくない気持ちもあったが、少しでも会えたことが新しい思い出となり、私の心を温めた。
笑顔で別れ、私は自分の滞在する施設に戻って夕食。その余韻は忘れない。
それからまたトリートメントと毎回おいしいスリランカンヴィーガングルメな日々。
のんびりする時間も多く、いろいろなものが乱れていた私の休息になった。
最終日の出発前、最後のトリートメントを終えて荷物をまとめて空港へ行く車に乗り込む前、あのアーユルヴェーダ医師であるおばあちゃん先生が私を見送りに来てくれた。
みぞおちのあたりが熱くなる感覚をまだ覚えている。
最後まであの優しい目で柔らかい笑顔を向け、私が見えなくなるまで手を振り続けてくれた姿を忘れることはできない。
その後、私の心身を蝕み暴れまわっていたvataは沈静化し始め、本来の体質であるkaphaの特徴が強く出てきた。
今でもそのちょうど良いバランスを毎日探りながらの生活だけれども、あの滞在の日々から、自分の体調やメンタルをアーユルヴェーダ的に捉える習慣が始まった。
そして、どんなに勉強して知識をためたり、良いトリートメントを受けたりするよりも、最も心をほぐすものが何であるのか、この旅で分かった気がする。
2人の年上の女性たちがくれた温かい笑顔に私は救われた。
私にとって、最も心をほぐすものは愛と思いやりを感じること。
それらによってどれほど生かされているかに気がついてから、人生がまたちょっと楽しくなった。
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