寒い日に美味しいもの
寒い日に温かなものが欲しくなるのは誰もが同じことであろう。
私は年中カレーがいい、カレーを『あて』に熱燗なのである。
昼メシ、いや朝メシのカレーも大好きである。
とにかく年中カレーでいいのである、それくらいカレーが好きなのである。
美味しいカニを食べ損ねた話
社会人としてのスタートはゼネコンの事務屋だった。
今のように情報のあふれ返った時代ではない『昭和の世』、ゼネコンの事務屋の仕事は入社前想像もつかなかった。
山奥のダムやトンネルの現場に放り出されると思いきや、なんと初任地は関西、しかも生まれて初めての京都だったのである。
後にはこの京都で営業マンとして育てられ、良いこと悪いこと、思い出は尽きることはない。
今回の話はカレーではない、
寒い寒いこの頃、松葉ガニを食べに日本海まで出かけた時の話である。
いつものように松山市公式俳句投稿サイト『俳句ポスト365』への投稿文章である。
いつも出題される『兼題』に多くの記憶を呼び起こされる。
選者である敬愛する夏井いつきに感謝する。
◆今週のオススメ「小随筆」
お便りというよりは、超短い随筆の味わい。人生が見えてくる、お人柄が見えてくる~♪
冬の北海道には何度か行ったことがある。
覚えているのは夜のススキノの交差点にあるニッカの髭おじさんが凍った空気の中、キラキラと美しく輝いていたことばかりだ。
ゼネコンで営業をしていた時には札幌支店まで何度か足を運んだ。 設計事務所時代には某大手家具屋さんの仕事で何度も足を運んだ。
その気になればいくらでも北の漁場で揚がった蟹を食べる機会はあったのだが、なぜか蟹とは縁が無かった。 もちろん、鱈場蟹と出会う事はなかった。
鱈場蟹ではないが食べれなかった蟹の思い出は他にもある。
京都営業所で営業をしていた時、上司に日本海まで松葉ガニを食べるためだけに泊まりがけで連れていってもらったことがあった。
上司は会社の元野球部のスター選手、引退して営業マンとなっていた。 きっぷのいい営業部長であった。
単身赴任の部長に、週末奥さんが東京から来るが二人きりでは身も心ももたないからついて来てくれと言われて、独身だった私はカニツアーに参加することになった。
京都高台寺にある有名な料亭の本店が日本海の近くにあった。 そこでのカニ料理を目指して一泊二日のカニツアーはスタートした。
京都駅で奥さんを迎えて山陰線に乗り換えた。 生まれて初めて乗ったグリーン車ではすぐに宴会が始まった。
上司以上に酒を勧めるのが上手な奥さんは魔法のバッグから次から次へと缶ビールやらワンカップの日本酒を出してくる。東京で買ってきたという巻き寿司やら京都駅で買い込んだ大量の乾き物、次々と封を切って私の目の前に出てくる。
若かった私は断るすべを知らず、山陰線の車内で延々と飲み続けて食べ続けた。
実は前の晩に飲み過ぎてかなり重い二日酔いだった。
日本海が見えてきた頃にはその二日酔いを乗り越えて再び完全に出来上がってしまった。
そればかりでなく胃袋は張り裂けんばかりにふくらみ顔面蒼白で冷や汗までかいていた。 そして、そのまま私はダウンしてしまったのだ。
ホテルのベッドに横になり松葉ガニのフルコースは夢で終わってしまった。
そんな悲しく漫才の落ちのような思い出を今回の季題『鱈場蟹』は私に甦らせたのである。/宮島ひでき
食は文化をそして人生を作ってくれると思いながら、今日もnoteにnoteしました。