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ノベルマガジンロクジゲン

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むつぎはじめの書いた小説が読めるマガジン。 メインはSFというかファンタジー。
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#おねショタ

むつぎ ノベル 総合目次

オリジナル断章 灰色の浜辺にて ニーナ・ザ・ミストガン 【1】 【2】 【3】 【4】 少女ファイル 満ちぬ街のムメイとクーニグンデ 【1】 【2】 【3】 黎明亭の核爆発。 【1】 まいこ・ザ・ジャンパー(完) 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【あとがき】 【完全版】 商人と海。あと亀とエルフとレールガン 【1】 【2】 【3】 黒の機械兵 【第一話】たびだち(完) 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 【8】 Mine&In

おねショタ三題噺 1 雨の向こうのくに

遠い未来。人型機動兵器……モビルスーツの存在する世界でのはなし。 ファイ・フォウフォーンは美しい女性であった。 近親者の相次ぐ急死で若くしてユーラシアの一画の領主となった彼女は、多くの人々の予想を覆し、領内の産業を振興して能く発展を成し遂げさせた。 憂鬱なとある雨の日、仕事をやっつけたファイが窓から所領を眺めていると、ふと思いつき近侍の少年 ベッタ・ニッカを呼びつける。 そして命じたのは、彼女を雨と虹の向こうへ連れて行くこと。 混乱する少年に言い含める様に語った言葉に曰

12月!おねショタの季節!「年末はおうちで」

←11月 1月→ 「珠湖おねえちゃん……なにしてるの」 「ブレ〇イ」 「それはわかるけども」  大晦日! 寒い季節!  少年 射場りょうが、年末年始のため帰省した女子大学生 師走珠湖に会いに行くと、彼女は炬燵に潜り込み、なにか鬼気迫る様子でゲームをプレイしていた。  見た目は黒ロングに眼鏡とクールな雰囲気を漂わせているが、そうではないことは少年は昔からの付き合いで良く知っていた。 「こんな面白いことある? こんな面白かったのこのゲーム」 「まあ、それは有名なゲームだから

11月!おねショタの季節!「まだ、青い」

←10月 12月→ 「まだ、青いねえ」 「うん……」  11月中旬。とある自然公園。駐車場。  見頃と予想されていた遠くに眺める紅葉はまだ色づいておらず、せっかくの遠出をした霜月さおりと左曽利秀人は落胆していた。  年上の幼馴染であるさおりが免許を取得し、ようやく人が乗せられる心境になったので遠出をしよう。とのことで秀人が企画した計画だったが、初手から躓き凹んでいる。 「ネットとかで確認すればよかった……ごめんね、さおねえ……」  と、今更手元のスマートフォンで確認し

10月!おねショタの季節!「それとも、トリック?」

←9月 11月→ 「トリック・オア・トリート!」 「帰れ!」  私こと神無月かなが玄関を開けて出会ったのは、吸血鬼っぽい姿をした従弟、天木平太の姿だった。  10月も終わる日、とある地方都市の一角、住宅地。  この数年で聞き馴染み始めたハロウィンは早速曲解され、お菓子と仮装という要素を祭りに再構成され、それはそれで盛り上がっていた。 「って、あれ? 他の子達は? というかお菓子用意するのは町内会だけじゃないの」 「そっちは終わったよ」  町内会により企画されたイベント

9月!おねショタの季節!「月が綺麗ですね」

10月→ 「月、綺麗……」 「うん……」  煌々と輝く満月を前に、早乙女駆流が絞り出すようにそう言うと、長月ありさも同様に魅入られたように応じた。 ⭐🌕⭐  9月半ば、十五夜。少し時間は巻き戻り。  お月見をしよう。と、いつもながら突然言い出したありさに連れられ、山頂への遊歩道をお菓子とジュースが入ったリュックを背負って登りきった後、駆流は喘鳴を発しながらベンチに倒れ込んだ。 「ありさ姉《ねえ》も……手伝ってよ……」 「え~? 私レデ―だしい? レジャーシートくら

【おねショタ】女エージェント(笑)京夏ととある少年【後編】

承前  誰が申請したのか道端にポツンと在るお地蔵様に設定されたポータルを発見した京夏は、少し離れた位置に車を停めて実際にプレイを見せてみることにした。 「で、これを長押しして……」  日光に比べて圧倒的に薄暗い画面の表示を補うため、京夏はスマホに覆いかぶさるようにして操作し、そのすぐ側に冬樹を引き寄せる。  するとどうなるか。 「表示された図形を覚えて……冬樹くん?」 「ぇあ……ハイ」  少年の顔と、目と鼻の先。と言うにも近すぎる距離に、京夏の顔が有ったのだ。  少し眇

【おねショタ】女エージェント(笑)京夏ととある少年【前編】

「……こんにちわー」  盆も過ぎた夏の頃、遠路はるばる母方の田舎に帰ってきた女エージェント糸屋京夏《いとやけいか》を迎え撃ったのは幼い少年の声だった。  かつては親族の墓があった寺だか神社だかの横の、水琴窟でのことである。 「こ、こんちわ」  女エージェント……要は位置情報ゲームの廃プレイヤーなだけだが……は突然の声にびっくりして、いかにも不審者丸出しの吃りがちな声で挨拶を返す。そういえば不審者には初手挨拶せよと最近は学校で教わるらしいと彼女は思い出した。子供もいなければ彼

Unlocker! 美女の扉と少年の鍵

バーの照明が消えたのかと思った。 「貴方がミカルね」 油臭い水を啜っていた少年……ミカルは、遥か頭上から降る低い声で初めて、自分を呼びつけた女性によって灯りが遮られているのだと気付く。 女性という前置き無しに、巨きい。2mはある。加えて羽織ったロングコートの乾いた煙の香に、無意識に少年は緊張していた。 新聖暦333年。階層都市【アリアドネ・ヘプタゴン】。最下層。 11月だが、そこは地獄のように、暑い。 ≡ 「私はヴィオラ。【事件屋】ヴィオラ。呼び出しておいて、遅れて失

ニーナ・ザ・ミストガン #1

陽で背中が灼ける感覚と共に、ニーナの意識が戻ってくる。ザラつく砂を口から吐き出し、ふらつきながら立ち上がると、ボケた視界がようやく定まった。 見回し、荒野――。 ――わたしのホルト! 誰もいない――。 ――見開かれた完璧な造形の瞳。 殴られた頭が痛む――。 ――連れ去られ遠ざかる姿と暗転する視界。 混濁する意識をよそに、彼女は左眼をウインク! すぐさま拡張視界〈オーグ〉が起動して、各種情報を視界に描き出す。日付時刻と彼女の身体状況。そして、範囲外へ追いやられ、相対マップの

夏の煌

「ねえねえおねえさん一人?ボクと遊ばない?」  とある夏、海水浴場。本当にいるのかよ。というレベルのありがちな誘い文句を、遊んでいそうな風貌の男性が一人の女性に放っていた。  少し明るい色の髪を後ろで束ね、薄くメイクをした相貌は、確かに男性の興味を引く顔立ちをしている。そしてその下へ目を移せば、パステルピンクのフリルをあしらったバンドゥビキニを胸が押し上げていた。 「え、その……連れが……」  その彼女といえば、突然のナンパにあたふたとするばかりでどうしようもなかった。そ