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女性の昇進意欲が低いって本当?男性の育児意欲の話と近い気がする

このnoteは、元ベンチャー企業で人事責任者だったワーママが専業主婦となった今、適当につらつら仕事や育児やキャリアについて語るものです。


女性の昇進意欲は低い?

先日、私がとても尊敬するCHROの方が、ご自身のSNSに「女性の昇進意欲が低いというデータがあるが、私は女性に昇進を打診して断られたことがない」と書かれていた。

確かに、女性の昇進意欲に課題があるというのは巷でよく言われている。ただ、私も思い返せば女性メンバーに昇進を打診して断られたことは一度も無い

昇進したくないのは女性だけじゃない

前提として、昇進意欲については女性のみならず若者も低下していることに鑑みると、そもそも昇進自体の魅力の低下しているのだろう。

そして、かくいう私もマネージャー昇進の話があがったときも執行役員昇進の話があがったときも、最初にお話をいただいてから数か月~1年くらい「昇進に前向きではない」と返答してきた過去がある。なので、当時の私をこういった統計調査に当てはめると「昇進意欲が無い女性」に分類されていたと思われる。

成功するイメージが湧かない

私は、女性(若者も含めて)が昇進に意欲的でない大きな理由の1つは(マネジメントを引き受けたときに)成功するイメージが湧かないからではないかと考えている。

実体験として、私が躊躇していた理由は本当に私が最適なのか?に確信が持てなかったからだ。

私は、その分野における専門的なスキルや経験以上に、自分以下のチームメンバーのポテンシャルを最大限に引き出すことや、自分より決裁権の大きな経営層や他部署、取引先等のステークホルダーと良好な関係性を構築することがマネジメントの最大の役割だと考えている。

そうした時に、例えば私のこれまでの職務経歴、社内外の人脈、社内での経験や年数、子育て中というステータスなどすべてを知ったうえで、それでもやっぱり私が適任なのかに確信を持てなかったのだ。もっとやる気があってやりたくてたまらない人がいたらその人にやらせてあげた方がいいんじゃないかと。私子どもいるし。社外人脈そんなにないし、今から作るのもアレだしなー、と。

結論からいうと、昇進意欲が湧かないのは、ロールモデルがいないとか負荷が高そうだからとかはあくまでも断片的な話であり「やってくれそうな他の人がいる」というのが大いに関係ありそうな気がしているのだ。

自分よりガッツがある人がいるなら。
自分よりやりたい人がいるなら。
自分よりやれそうな人がいるなら。

それであれば私は遠慮しよう、みたいな。

自分がこの中で一番適任かもしれない。
自分がやった方がスムーズかもしれない。
自分がやらざるを得ないな。

みたいな状況があればもう少し多くの人がマネジメントに挑戦するのではないだろうか?

女性管理職を増やすための条件

①成功体験を積ませることを優先する

私には自分自身のそういった経験や、そんな考えを持つようになった原体験を思い返したうえで、メンバーに昇進を打診するとき最も重視していた条件がある。それはマネジメントを任せたときに好スタートダッシュが切れそうな人・環境でしか抜擢しないということだ。つまり、肩書があっても無くても、すでに360度誰もがその人の昇進を認めている(認めざるを得ない)状況に既になっており、実質的にその場を取りまとめている状況を作り出している人を選任してきた。

ありがちなのが若手や女性を思い切って大抜擢してみるということだが、これは大抵チーム内に反対勢力を生むことになる。反対勢力は、さらにその上の上司がいくら「彼女は若いけど優秀だから、支えてやってくれ」「私の見立てを信じてくれ」なんていっても感情面が先に立つのでほぼ効果がない。マネジメントの失敗体験を生む要因として大きいのはチームが機能しないことだ。ここで失敗経験を積んでしまうと「やっぱり私にはマネジメントは無理でした」「ほかの人にやってもらえばよかったです」という悲しい結末になる。そして、それを悪いロールモデルとして見守る次世代の若手女性が「やっぱり私はやりたくない」「面倒そうだな」と負の連鎖が生まれてくる。
最初から絶対的に上手くいく状況で選任すればよい成功体験が積めるのだ。

②誰にでもチャンスを与える

いやいや、そもそも女性側が現時点でマネジメントに興味がないんだから実質的にチームを取りまとめるなんてところにまで行かないんだ、という話もあるだろう。
その突破口はシンプルにどんな人にもチャレンジの環境を与えてみることだ。「時短だから」「ママだから」「休みがちになりそうだから」といった理由で配慮という名の制限を掛けない。小さくでも構わないのでプロジェクトや数人をまとめる経験を積んでもらってみる。一定の場を与えれば、その中で必ず頭角を現す人が出てくる。当人側もやってみたら「意外とできたな」「あ、私がやる方が上手くいくんだ」と思ってきたりする。
あるいは、すでに反対勢力だらけで機会を待っていたらなかなか女性を選任できないんだということもあるだろう。その場合は、反対勢力は別チームに外したうえで、新任マネージャーを支えてくれそうな人だけでチームを組成すれば良い

③女性だけを弱者にしない

成功体験を積ませるには、反対勢力をそもそも作らない環境づくりも重要だ。当たり前だが、性別にかかわらずそもそも完璧な人なんていない。身体が弱いとか、メンタル面が不安定であるとか、経験が少ないとか、知識面で劣るとか、地方に住んでいるとか、育児中であるとか。誰もが少しずつマネジメント不安があったりするものである。反対勢力というものは殆どが「あの人は適任でない」「あの人がやるくらいなら自分が(ほかの誰かが)マネジメントをした方がマシだ」という主張をする。
特に女性は、体力面や育児介護の負担(現在有する、あるいは将来有するかもしれない可能性も含めて)の不安要素を持つ可能性が高いのでこの反対勢力を恐れた結果、管理職に抵抗感を持つ
そのマイナス面を考慮しても「あの人しかないよね」「あの人に任せたい」と言わしめることができれば良いのだ。
そのためには、残業しないと成立しない業務設計や飲み会で仕事を取る慣習、女性しか育休を取らない環境みたいなものを減らす努力も必要である。パワー頼みの従来型の仕事の在り方を変えていくことが必要だ。男性も当たり前に育休を取るという環境づくりはストレートに効いてくる。
私が過去に選任した方で、最も尊敬するマネージャーの1人でもある女性は、地方在住で幼い子を育てるママだった。一見マネジメントには不利な環境を抱えていたが全く問題ないどころかご自身もチームも素晴らしいパフォーマンスを維持し続けていた。オンラインでマネジメントするには苦労も手間もあるだろうが、一緒に工夫し業務もコミュニケーションも設計し直せばいい
おそらく今、彼女を見て「地方在住で、飛行機でしか来れない場所から遠隔でマネジメントなんてできないだろう」という人はきっといないだろう。

男性の家事育児参画に当てはめてみる

この記事のタイトルを回収することになるが、私はこの女性の昇進意欲の話と男性の家事育児参画の話には近いものを感じるのだ。

やる気がない?
能力がない??
負荷が高そうだからやりたくない???
メリットを感じないからやらない????

私が知る限り突然シングルファーザーになった方って、自分の限られたリソースの中で家事も育児もやっている。

家庭内に自分より出来る人がいるから、自分じゃなくてもいいのかなーなんて言いながら参画の機会を逸しているのではないだろうか?
自分より熱量高そうで、自分より上手にできそうで、やってくれる人がいるから任せている…みたいな側面、ないだろうか?

女性の昇進も、男性の家事育児参画も、どんなに面倒くさそうなことだって、やる人が他にいなかったら…自分がやる方が上手くいくと思えたなら…もっとやる人が増えるんじゃないだろうか?
成功できそうな環境を用意して実質的に任せる、「出来なさそう」「時間がなさそう」という先入観を持ち先回りして女性側が率先してこなすのを止めるなどまだまだできることはありそうだ。
もちろん、その前提として社会(会社や家庭)も従来の母性頼みの家事育児設計を抜本的に見直す必要がある。

性別のイメージで向き不向きの固定観念を捨てることと、「メリットを訴求していく」とか「ロールモデルを作る」とか魅力のアピールさえすれば自然と意欲が湧くというポジティブ発想頼みにならないことは少なくとも大事な気がする。

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Megumi Sakamoto
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