翻弄
歴史的な夜に融解する不滅の私、背広を着た狼に囲まれて、立場がなんだのと、うるさく付きまとうから、のさばる欲望をハイジャックして、鮮明な過去に流動する自意識が孕んだ、悪趣味なラストシーンにシリアスな演技を、のうのうと続ける乖離した自分との対話を終え、自己犠牲や欺瞞や不満足を切り刻まむ料理人が作るシチューを食べて、旋律を登り、ずっと前から操作されているだけの、見すぼらしい自己を諧謔で染め上げては、君は美しいとか何だのと、うそぶきながら、自らが孕む悪意のようなものにフィルターをかけては、誤魔化す日曜日の残虐性や、旧約聖書が斡旋している答えを打ち倒し、信仰が齎した、優しい澱みに敷衍していく意識下に生まれたジレンマにより、行方不明になってしまった自らとの訣別を終え、言葉の裏側で芽生えた恋の始まりや、痩せ細っている鹿たちが徘徊する銀河や、行政のにより、閉じ込められた人々の藻屑や、空想的な儀式が生み出した自己愛的なものを、模倣するだけの教育や、あの世での行末などなどが、氾濫し続け、システマチックな刑場に運ばれる船が、うねりに絶えかねず難破し、晴天をも憎むほどの憎悪の隙間から現れたパッションにより、捩れていく哲学、さんざめく動悸のシンフォニー、倫理観を天麩羅にして、注ぎ込まれた観念で出汁をとり、ちぐはぐな道理をトッピングしては、明滅する思念で仕上げをする主婦たちの背中にも、翼が生えていて、脳裏に現れる濃淡な記憶から、即座に生まれる慟哭の洞窟を進む孤独な後ろ姿や、聡明な面影に備わる猶予などに、絡みつく無数の棘、超克すべき、忌々しい自分との別れ。