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よく聞く「不登校の子どもが動き出す時」2つ以外の大切なことが、もう1つ

子どもが学校へ行かなくなると「子どもがいつ動くのか?」ということが、親はとても気がかりです。
おうちでジッとしている子どものいらっしゃるご家庭では、特に心配ですよね。

そして世間では「こうなれば動き出す」という、2つの再登校のポイントを聞くことがあります。
今回は息子や不登校経験のある方のお話などを参考に、私の考えを書いていこうと思います。

「こうなると動き出す」と、よく言われる2つのうちの1つ目

よく言われるのが 「 エネルギーが溜まった時 」「 暇になった時 」ではないでしょうか。

まず1つ目の 「 エネルギー 」 に関して。
不登校になると子どもは疲れ切っている場合がほとんどなので、回復していくことが大事ですよね。
エネルギーがないのでエンジンがかからない。

「無気力が不登校の原因」という説も見かけますが

1,それまで無理して疲れ切っているから、心身ともに休む
2,周りからは、なんにもしていないように見える
3,「無気力」というカテゴリに入っていく
4,傍から見れば「不登校になる前からこうなんだ」となる

というメカニズムではないかと思っています。

どのみちエネルギーがないと動けませんよね、ということです。

「こうなると動き出す」と、よく言われる2つ目


2つ目の 「 暇になったら動き出す 」 に関して。
これはやることがなくなったら、必然的に動くということですよね。
これもエネルギーが溜まってきた証拠なのかもしれません。
不登校ジャーナリストの石井しこうさんも、同じように「暇だなー、と言い出すと動くことが多い」と仰っています。

慎重になった方が良いと思う親の行為

よく見かけるのが 「 ゲームやインターネット機器を取り上げる 」 手法。
これは私の考えでは、場合によっては非常に危険な行為ではないかと思っています。
確かに、なんちゃら依存は親としては怖い。
しかし学校へ行けなくなってしまった子どもにとっては、ゲームやインターネットは精神を落ち着かせる手段のひとつです。
「自分は学校へ行っていない」という不安と恐怖の最大の渦中にいるのは子どもです。
毎日、毎時間、毎分、毎秒、この不安と恐怖にさいなまれていたら、心が押しつぶされてしまいますよね。

大人は簡単に「それ以外の違うことをすればいい」と考えがちですが、そもそも興味のないことややりたくないことを不安な人間に与えても、そのことに集中できるでしょうか。
大人の私たちはどうでしょう。
人生を左右するような不安なことがあるとき、興味の出ないことを勧められて没頭できるでしょうか。
余計にストレスが溜まりそうですよね。

ゲームは確かに次から次へとやりたくなるように作られています。
しかし、それが子どもの心を救うこともあるのです。
頭の中に余白が出来ると、途端に不安でいっぱいになってしまう。

家庭内の諍いが生まれるのもたやすく想像できます。
それほど子どもにとってはなくてはならない、不安を和らげるアイテムではないでしょうか。
不登校の子ども自身は「こんなことやってていいのだろうか」と、心の奥底で思っていることがほとんどです。
元不登校で普通の会社員として働く方々が「あの時ゲームをやっていたから生きていた」と話しています。

私は、ゲームを与えていたとしても「やることないなー」と思うときは来るという考えです。
息子も「ゲーム飽きた」と思う時が来ました。

私は「〇〇しないならゲームやめさせる」という罰を与えたり、ゲームの時間数を制限したことがありません。
(時間帯は話し合いました)
禁止や制限をすると、今度は隠れてやるようになると思ったからです。
そしてゲームには、とても良い効果もあると考えているからです。

私が実感した「動き出す」に必要なこと

私が息子を見てきて思うのは 「 不便さから動きだす 」ということです。

それを感じた最初の出来事は、私の留守中の昼食でした。
出勤しなければならないので、昼食は息子の分を用意して出かけていたんですよね。
ですが息子は、もっと何か食べたかったりする。
息子は冷蔵庫の中をガサゴソ探し、自分で料理をして食べていました。

最初の留守番料理は、小学校2年生。
その写真がこちら。

りんごを切るのも立派な料理です


芯がシンクに捨ててあり、アートを感じて感動しました。

そして年齢が上がると、ついにガス台の前に立ちます。
火を使うことも禁止しなくていいようにサーモの充実したガス台を選び、IH調理機器を教えました。
ここから彼は料理することに目覚めていきます。

さらに私は昼食の用意だけでなく、昼食代を置くことを忘れて出かけてしまうことがあります。
すると「食うものない・・・」と息子は自分で作ります。
もし私が彼の好みに合わせて毎日完璧に用意していたら、息子は動く必要もありません。

こんなことを繰り返し、息子は日中にやろうと思うことが増えていきました。
そして息子は、大きな不便を感じるようになっていきます。

息子がますます不便さを感じるようになった結果

私は息子の進路の心配はありましたが、それより興味がありました。
小学1年生の夏から不登校だったこの子は、どんな人生を歩むんだろう?と、どんな選択をするのか興味があったのです。

ヒトの人生は長いので、数年で終わるわけではありません。
私があれこれ指南するよりも、息子が自分で決めて生きていけばいい。
とうことで、進路説明を中学校で受けて資料を取り寄せてからは「興味のある高校があったら教えてね。一緒に調べよう」と伝えて、あとは何も言いませんでした。

息子はその時

「 お母さんは何でも知ってて、何でも教えてくれるわけじゃないんだな 」

と感じたそうです。

そうです、母は万能ではなかったのです。

「小学校と違って、中学3年間って早くないか!?」「もう2年経っちゃったし!!!」「このままだと中学校が終わっちゃう・・・」「やべぇ!!!!!」と、焦りだします。

そして導き出したのは、名言 「 オレ、高校行く!!!」 でした。
CMにあった「オレ、正社員になる!」を思い起こさせる発言。
そして現在は、通信制高校で難しい勉強に挑戦しています。

子どもだけでなく、大人も不便さから動く

不便だなぁと感じると、大人も自分で工夫して動きたくなりますよね。
何かを創り出したり、生み出したりする時には「こういうものや場所があったらいいな」と動いた結果だったりします。

至れり尽くせりしていれば、子どもは不便がないので動く必要がありません。
何でも用意してあげることで、親は「万全だ」と安心かもしれません。
ですが、子どもの内発的な動機付けには繋がらないのでは、と考えています。

また、子ども自身が「焦る」と、親に「焦らされる」も、意味合いが全く違います。
親が子どもを背水の陣に追い込むことは、効果的とも思えません。

前述したよく言われる不登校の子どもが動く2つのポイントも、周りが働きかけた結果ではありませんよね。
結局は子ども自身が立ち止まって、悩んで、考えて、結果を出す、といったプロセスが生きていく力を付けるのではないでしょうか。


最後までお読み下さって、ありがとうございました☆

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