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学習方略と太田Stage④ メタ認知的方略
学習に有効な「メタ認知」を育てる!ウィズコロナで学びを止めないために(2)
こちらの記事をもとに
学習方略と太田Stageの関係について考えたいと思います。
今回はメタ認知的方略です。
メタ認知的方略が太田Stageとどのような関係があるか
考えていきます。
自分の中のメタ認知が意識されるようになるのは小学校3年生くらいから
とのことです。
なお、定型発達の小学校3年生は、ちょうど
・ピアジェの発達段階でいう具体的操作
・太田StageでいうStageⅤ
に入る時期です。
つまり、太田Stage評価による認知発達治療の対象となる人は
自分の中のメタ認知を意識するのはまだ難しい段階だと推測されます。
そして、発達段階的な困難に加えて、
自閉症スペクトラムに独特な認知の凸凹も
メタ認知的方略との相性がよろしくないと思われます。
以下の例は、StageⅣ以上の人々の事例です。
○言語よりも視覚の処理が得意
○想像力を発揮しにくく、見通しのきかない状況は苦手
→目標設定で「もっと頑張る」とか「一生懸命やる」といったぼんやりした設定になってしまう。または、達成困難な目標や、簡単すぎる目標を設定する。
○こだわりが強く、限定的で反復的、儀式的な手順を好む
→目標に合わせて、手段や方法を柔軟に変えることは難しい。
○木を見て森を見ず、つまり全体より細部に注意がいきやすい
○「0か100か」といった柔軟性に欠ける思考に傾きがち
○自分を客観視するのは苦手
→自分の困難や失敗をとりあえず他人のせいにしておく。
→3歩進んで2歩下がることがあっても、自分が少しずつ成長していることへの実感が湧きにくい。
…定型発達の成人でも難しい課題が含まれているとは思いますが……
【まとめ】
ネガティブな事例の書き方をしましたが、ポジティブな言い方でまとめます。
太田Stage評価の対象となる人々は、発達段階や認知の凸凹により
メタ認知的方略を使いこなすのは難しい。
プランニングもモニタリングも調整も、
基本は全面的に支援者が行うが、
学習者の好みや願いが反映されたり
学習者が見通しを持てたり
学習者が主体的にやり方や意欲を効果的に調整したりできるようにし、
メタ認知的方略の芽を育てる必要がある。
StageⅣ以上の学習者に対する支援者の腕の見せどころは、
学習者がメタ認知的方略を経験できるように
学習者の無意識の行動(特に、望ましい行動)を言語化したり、
視覚的支援を充実させたりすること。
学習者は自力でメタ認知的方略を使える機会が増えるにつれて、
認知の凸凹がなだらかになると期待される。
【書いた感想】
昨年8月に書き始めたこの記事、ついに書き切ることができました…
全く上手くいかないトイトレを記録するだけのnoteに成り果てていたので、
謎の充実感に包まれております。
そして、学習方略と太田Stageを関連づけて考察することにより、
自閉症スペクトラムの人々が抱える困難さを
多少は言語化して整理した気になりました。
なお学習方略シリーズの写真は、
4年前に配偶者と行ったマカオで撮ったものです。
また行きたいなあ。