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「あさきゆめみし」(大和和紀)二十数年ぶりに読んでみたら・・・

NHK大河ドラマ「光る君へ」
平安時代のスター勢揃いでなかなか面白い。
古典や服飾文化史で習ったアレコレが出てくるのも醍醐味。
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※2011年7月の日記 ↓

高3で受験生の次女が、友人から「あさきゆめみし」全巻を借りてきた。
塾の古文の先生が、「漫画でもいいから一度全部読んで源氏物語の話の筋を頭に入れておけ」と指導したらしい。

「あさきゆめみし」は、かの紫式部の「源氏物語」をほぼ忠実に漫画化した大和和紀先生の作品。

ちょうど私が高校生の頃に連載されていて、リアルタイムで友達から借りて単行本を読んでいたのだけど、
あまりにも浮気な源氏に当時の私はついていけず、
3巻くらい(源氏が明石へ流されるあたり)までしか読んでいなかった。
正室の葵上を大切に愛さず、浮気に走る源氏が許せなかった。

あれから二十数年…
四半世紀を経て、読み返す「あさきゆめみし」は……
やっぱり、源氏の浮気に呆れましたわ…

年上が好きなのか!?と思いきや、
幼女に走って、いきなり襲うしーーー…
謎の迷走。
意味のわからない驚きの行動力!!

今の世なら、完全に犯罪よ⁉

いや、もう…ジェンダーとかもね、
こういう、女性が思い通りには生きられないつらい時代を経て、
今の、女性がやたら強い社会があるわけよね…

まぁ、とにかく女性側には選択の権利がほとんどない。
自立できず、男性の助けを頼って生きていく道しかなく、
しかも、お姫さまはたくさんの侍従たちの生活も抱えているわけで
自分の気持ちだけで勝手なこともできない。

最終手段は、尼になる出家だけ。

いきなり、誰だかわからない男性に襲われても納得せざるを得ない構造になってしまっていて、
本当に気の毒としか言いようがない。

しかし、それを乗り越え、子をなし、妻の座の地位を固めたら強いのだけど
それでも、男性の浮気心に翻弄され、不安定な人生の浮き沈みにあっぷあっぷともがきながら生きていく…
そんな女性たちの様々な姿が描かれている。

愛した人の面影をずっと心に抱き続け、求める源氏の気持ち、
今なら私にもわかる。

自分とは愛し合えない、もう二度と会えない人とわかっていても、
だからこそなお、心が求めてしまう。

なんでこんな馬鹿なことをしているんだろう?と思うのに、気持ちを止められない。
そういう気持ちって、千年前の人も同じように持っていて苦悩していたんだと思うと
なんだか…とっても不思議で、面白い。

千年経っても、きっとこれからも、
人は同じようなことに心を悩ませ、煩悩を募らせるのね。

そして若い時に自分がしたことのしっぺ返しが、晩年の源氏にやってくる。
因果応報。

自分の子ではない赤ちゃんを、「自分の子」として抱くことになり、
昔、実父にした罪が自分に跳ね返ってくる。

(実父(帝)の後妻(藤壺)と契り、彼女が妊娠。
事実は明かせず、その子は源氏の弟として育てられる。)

源氏は、まぁとにかくイケメンで
外聞を気にするので、晩年も最後にイケメンっぷりを皆に見せてから
ひっそりと亡くなる。

ほんま、メチャクチャやな~~と思うけど、
それでも第一部のラスト、様々な回想が想い出と共に繰り広げられ
ああ、これが
この人の生き様、一生だったのね…と目頭が熱くなった。

人の噂にかなり左右される社会なんだなぁ、と読んでいて感じたが、
よくよく考えると、源氏物語って帝や皇子が出てくるロイヤルファミリーのお話だから、
今も昔も皇族の話はワイドショーや女性週刊誌の定番話題、
みんなの噂になるのよね。

第二部の柏木もなんだか気の毒でねぇ…

イケメン源氏の息子、父親そっくりという美少年 夕霧が、どうしたことか堅物で
年を取って、「宇治十帖」編の頃にはすっかりウザイ親父扱いになってるのが面白い。

薫(源氏の息子だが、実は正妻と柏木の不倫の子)もね~~~
なんちゅーか…タイミングの悪いやつで……
容姿、教養、身分…全てにおいて申し分ないのにねぇ……
なんで幸せになれないのか。…哀しいわねぇ、人って。

しっかし、日本家屋って、よく考えたらいろいろと筒抜けよね。

話し声とか、衣擦れの音とか・・・少しくらい離れていても聞こえちゃうよねー!
そこがまた、いいんだろうけど。

当時は身分の高い女性は御簾の中に隠れて、直接、見ることはできない。
人に見られるかもしれない廊下に立つことも「お行儀が悪いこと」だった。

それだけに、垣根越しにチラッと美人の姿を覗くのはドキドキするし、
禁を破って、御簾を越えて抱きしめちゃう情熱も素敵。

一番、おおっ!と思ったのは、
片思いの大君に気持ちが通じず、「会いたくない」と障子に鍵までされて
普段は理性的な薫が

「こんな障子など蹴破ってでも中に入れるのですよ」

と、すごむセリフ!

全くだ!蹴破っちまえ!!と思うくらい大君が面倒くさいのよ~~

実際、障子なんて若い男の子が蹴破ったら、簡単に入れるよねー
だけど、薫はそんなことはしないんだけどね。


いやはやー
「源氏物語」、すごいです。
やっぱり面白いです。

韓流ドラマ顔負けのジェットコースターストーリー☆

「わかる!わかる!!」と
「ありえへんやろー!!」が交互にやってきて、話に飽きません!

そこそこの年齢になってから、読み返す「あさきゆめみし」
なかなかいいものですわよ。


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