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夫の闘病を支える中で見つけた“無理しない”生き方

愛する人を支える大切な日々、でも自分自身も大切に


抗がん剤治療を受ける夫を支える生活は、
想像を超える試練がありました。

抗がん剤治療による副作用や日々変化する、
生活環境が大きく変わる中で、

「自分がやらなければ」
「もっと頑張らなければ」
という思いに突き動かされ、
気づけば自分の心を置き去りにしていました。

病気がわかり、治療が始まって1年が経った頃、
私は自分の本心にそっとフタをして、
ただ目の前の状況に追われる日々
を過ごしていました。

気づけば、体も心も限界に近づいていて、
毎日がまるで息を止めて走り続けているような感覚。

自分自身の声に耳を傾ける余裕など、
どこにもありませんでした。


支える中で感じたジレンマと不安


病気の進行や治療の変化は避けられないもので、
目のまえでそれを受け止めるたび、
どうすることもできない”無力感”
に押し潰されそうになりました。

「もっと何かできるはず」と自分を奮い立たせる一方で、
「私だって辛い」という思いが心の奥底から湧き上がり、
その感情に罪悪感を覚える瞬間もありました。

心に溜まっていくもやもやした感情。
時には怒りや悲しみに変わり、

でも、それをどこにぶつければいいのか全く分からない。
ただ孤独感だけが深まっていきました。

病院で働いていた頃、上司から
院内カウンセリングの利用を
勧められたことがあります。

確かに話を聞いてもらうことは必要だと感じていましたが、
コロナ禍の忙しい総合病院で、
時短勤務中の私には、

勤務時間内にその時間を確保することが現実的ではありませんでした。

それ以上に当時の私は「話せば楽になる」
という気持ちにはなれませんでした。

話せばただ涙が溢れるばかりで、
答えが見つかるわけでもない。

むしろ、ただ静かに自分の心を整理する時間がほしい、
そう切実に感じていたのです。

支える側の心が置き去りにされがちな現実の中で、
自分自身を見つめ直すための“静かな時間”
の必要性に気づいた瞬間でもありました。


自分を支えるための小さな習慣

そんな中、ふとした瞬間に気づいたことがありました。
「私が元気でいることが、彼を支える何よりの力になる」

ということです。

無理を重ねて自分を犠牲にするのではなく、
まずは自分を大切にする。

そうすることで、彼も彼らしく
前を向いて生きていけるのだと、
ようやく理解することができたのです。

そう思えた瞬間から、
私は自分の心と体を支えるため、
いくつかの小さな習慣を取り入れるようになりました。

それは、ささやかだけれど確かな力となり、
少しずつ私自身を支える土台になっていきました。

1. 自分の感情に目を向けて、素直に受け止める

「怒り」「悲しみ」「不安」――
どんな感情も否定せずに受け止めることから始めました。

ノートや日記にありのままの気持ちを書き出すと、
不思議と心が少し軽くなるのを感じました。

自分自身の心に向き合うこの時間は、
私にとってとても大切な癒しのひとときになりました。

2. 完璧を求めない

「自分がすべてをやらなければ」と思う気持ちを手放しました。

不完全でも、愛する人を支えたいという気持ちは変わらない。
それだけで十分だと、自分に言い聞かせることが、
心の負担を軽くする第一歩でした。

3. 周りに頼る勇気を持つ

「病気だから、私がやらなきゃ。」そう思い込んで、
気づけば何もかもを自分で背負い込んでいました。

けれど、あるとき気づいたのです。
「病気だからといって、やれることまで私がすべてやる必要はない」と。

夫が体調の良い日には、思い切って少しお願いしてみることにしました。

料理やちょっとした家事――
普段なら私が自然と引き受けていたことも、あえて頼んでみたのです。

とはいえ、初めは少し不安もありました。
「こんなお願いをして、冷たいと思われるのかな」と迷いもありました。

病気の夫に頼るなんて、
どこか罪悪感のようなものも感じていました。

でも、夫が慣れないながらも一生懸命取り組む姿を見て、
私の心にも温かい気持ちが広がりました。

それだけではありません。

夫自身も「まだ自分にもできることがある」と感じられたようで、
その表情には前向きな輝きが戻っていました。

頼ることは、愛する人の自信を取り戻すきっかけになる。

そして、支える側の心にも少しずつ余裕を生み出してくれるのです。

何もかも自分で抱え込む必要はない――
この気づきが、私にとって大きな転機になりました。

自分がすべてをやるのではなく、
夫と一緒にできることを見つけていく。

それが、支える側と支えられる側、
どちらにとっても新しい一歩を踏み出す鍵になるのだと思います。


支える側もまた、支えられていい


愛する人を支えることは、
大切でやりがいを感じる瞬間もありますが、
その一方で、心や体に大きな負担がかかることもあります。

自分自身を大切にしなければ長く続けることはできません。

「自分を大切にすることは、甘えではなく必要なこと」
と認めることが、支える側が心を保ち続ける鍵だと感じています。

もし今、同じように支える中で不安や迷いを抱えている方がいれば、
この言葉を届けたいです。

「あなたが笑顔でいることが、一番の支えになる」

だからこそ、自分の気持ちを大切にしながら、
一歩ずつできることを重ねていきましょう。

無理をせず、自分自身を労わることで、
その優しさは、きっと家族の心に伝わり、
少しずつ前向きな時間が増えていくはずです。


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