見出し画像

二度目の楽しみをありがとう~青葉が目に美しい新緑の頃「ふき」~

東京から東に60㎏、新緑の美しい千葉市緑区を訪ねました。
東京の通勤圏でありながら、最近は若い世代がUターンや移住をして、都心で本業を持ちながら農作業を楽しむ街として知られています。

 この時季「ふき」がいきいきと勢いよく育っています。
立ち寄った民家では、家主の方が庭で雑草取りに励む中、ちらほらと自然のふきが目につきました。

どこにでもふきが生えている

 普段、スーパーで栽培種のふきしか買えない私にとっては新鮮な気持ち。
雑草と一緒に捨てないで!少し分けてください!

採らせていただきました

 天然のふきは、どこの道端にでもある自然に育った食べられる植物です。

根元をスパッと切るとみずみずしく水分が出てきました。これは間違いなく水ぶき。アクが少なく、細くて薫り高いのが特徴です。

 

ふきは国内に数十種類あると言われていますが、大きく分けると三種類。

①   栽培種のふき(市場に出回っているもの)
栽培種の大半が愛知早生という品種。葉柄が太めで、1mくらいの長さがある大きい野菜。

②   水ぶき
葉柄が細目で淡い緑色。栽培種と比べて香りは良いが肉質がやや硬い。地ぶき、やまぶきなどとも呼ばれている。

③   アキタブキ
葉柄が1~2mにも達する大ぶりのふき。東北から北海道にかけて出回っており、秋田は名産品になっているそうだ。
愛知早生に比べて硬いので、佃煮や砂糖漬けに加工されて食べることが多い。


道端や庭に生えている自生のふきの多くは「水ぶき」です。
強い日照りで育ったふきよりも、木陰のふきは軟らかくえぐみや渋みが少ないので扱いやすい。

 そうはいってもふきは
ピロリジジンアルカロイドという天然の毒素を含んでいて、強い渋みやえぐみがあって生では食べられません。
他の動植物から実や若芽を食べられないように、自らを守るために天然の毒素を出しているとのこと。
やはりアク抜きをして食べましょう。

農林水産省

ピロリジジンアルカロイドは水に溶けて分解するので、茹でるのが一番。
家庭の下処理はこんな感じで行っています。

①   茎と葉に分けて、茎の部分を粗塩でこそげ取る。
表面の細かな毛や汚れがよくとれる。

茎と葉に分けて
粗塩で表面を板摺する

②   香が抜け過ぎない程度に塩を入れた熱湯で2~3分湯がく。
鮮やかな若葉色になる。冷水で取ってよくすすぎ、1日程度水に付けてアクを抜きます。
採取したらすぐにこの処理をしないと毒素が回って黒っぽくなるので、早く下処理するのが大事です。

湯がいてアク抜き
冷水に取っってさらにアク抜き

③   葉を利用する場合は、若く軟らかい部分を選ぶ。
良く洗って塩を入れた熱湯で2~3分茹でる。
冷水に取って水に浸けて十分にアクを取り除いてから調理するとえぐみが少ない。

やわらかい葉を湯がいて冷水に取る

ふきは96%が水分で栄養はさほど期待できませんが、100g当たりのカロリーが11㎉とヘルシーです。

春を感じる香りが食欲をそそるので、栄養の補佐として大切な要素と考えても良いでしょう。

 料理方法は色々あるけれど
高血圧症などで減塩に務めている人、肥満や糖尿病で過食を控えている方には、ふきとたけのこ、油揚げを加えて、出汁、みりんやしょうゆで煮るのがおすすめです。
薄味でも美味しく食べられます。 

キャラブキのように砂糖としょうゆで濃い目に佃煮風にするのは、保存がきいて炊き立てのご飯にぴったりですが、ごはんのお変わりがしたくなるので食べる量は少量に留めておきたいものです。

薄味仕立てのキャラブキ風

 レシピは色々なところで紹介されていますので、お好みで参考にしてみてください。

特にふきの葉はアレンジが色々できます。
例えば

 アクを抜いて水けを絞った葉を刻み、みそ、みりん、砂糖、ごま油、しょうゆなどを合わせたタレで和え「ふきの葉のみそ和え」を作ります。
また、刻んでじゃこと一緒にごま油で炒める「ふきの葉の炒め物」。ごま油の香りと焦がししょうゆが、炊きたてごはんに良く合うと人気です。

調味料は、アクの抜き加減にもよりますので、お好みの分量でお試しください。

 冬の終わりを告げる「ふきのとう」、本格的な春を知らせる「ふき」。
わずかな期間に、二度も美味しい楽しみをくれる「春の息吹」に感謝です。

 

 

 


いいなと思ったら応援しよう!