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【詩】楔

わたしのこころに楔をひとつ
打ち込んでくれたともがいる

日陰に咲くあさがおの花が
なぜだかとても綺麗だった

わたしのこころの楔から
愛しいものへと鎖が張る

愛車

あざらし
つちのこ

推し

愛車に無理を強いて
ある部分が故障した

わたしのこころの楔
刺さってから早一年
延びた頑丈な鎖一つ
千切ってから早一年

わたしのこころの楔が錆びて
腐食して溶けてこころを毒す

そのとき愛車の壊れたところが
突然直って家まで走ってくれた

なんだか無性に愛おしくなった

「お前もかなり強くなったな」

そう言われた気がして
右の拳で心臓を殴った

わたしのこころの楔がひとつ
綺麗になって刺さってくれた

「生まれ変わるなら人以外」から
「生まれ変わっても俺がいい」に

わたしのこころの楔を
あたためようと深爪の
左の掌で覆ってみたら

ドクン、ドクンと

へんじがきこえた。


嗚呼手招きする君よ、
まだ暫く会えそうにないんだ。
紅茶でも淹れて待ってておくれ。

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