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【詩】薄夕センチメンタル

今日もがら空きの玉座
目の前の夕陽は遮られ
虚しく東から風が吹く

この時間帯特有の空模様
蒼天は紫に染まり始めて
紫空はすぐにオレンジ色

この時間帯特有の心調模様
遠くを快速列車が走り去る
羽虫が元気になり出す季節
奥では特急列車がすれ違う

誰に届けたいでもなく
誰と会いたいでもなく
誰か助けてとも言わぬ

鉄の骨組みをよじ登り
春風に吹かれ行く言葉

言の葉をそっとここにおき
紙巻煙草に火を点けようか

煙も葉も燃えて灰になり
どこかへ吹き去り消える
自然へと帰るのだろうか
私は何処へ帰るのだろう

空席の玉座

何でも御座れの使用人

主は、不在

この風よ
新しい何かを乗せて
心を澄んだ透明にしておくれ

風に乗せ 誰かに届け アイのウタ

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