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再生処理の現場 vol.11(後編) 東京医科歯科大学病院×鴻池メディカル 病院と滅菌受託企業が一丸となり、「チーム医療」に取り組むために

再生処理の現場に立つ、さまざまな方の声を届ける「再生処理の現場」。vol.11(前編)に続き、後編の本記事では、東京医科歯科大学病院材料部の久保田英雄先生と橋本素乃さん、同大学の再生処理業務を受託する鴻池メディカルの木村研一さんの3名による鼎談をお届けします。 本インタビューシリーズでは、再生処理の現場におけるコミュニケーションの重要性についてたびたび触れてきましたが、なかでも材料部にて実務を担う滅菌受託企業と、委託側である病院との連携やコミュニケーションにおける課題意識を耳にする機会が数多くありました。本鼎談では、前編で紹介したあたらしい材料部への移転の裏側についてうかがいながら、委託―受託の関係性を超えた「チーム医療」の可能性について3人にお話しいただきました。

60年先を見据えた材料部をつくる

-C棟にあたらしい材料部をつくるにあたって、まずはどのようなことから考えはじめたのでしょうか?

久保田英雄先生(以下、久保田) この建物を建てる際に、大学からは「60年先を見据えた部門のあり方を考えなさい」という言明があったんです。60年先のことなんて、そう簡単にわかるものではないんじゃないかと思ったんですが、以前の建物がつくられた30年ほど前には、当時の先生方が次の時代を考えてくれていたんです。おかげで僕らは広く機能的な材料部を使うことができているので、僕らも何十年先の後輩から機能的に十分な材料部だと思われるようにしなくてはならないと考えました。

その時に、まずはなにより働きやすい職場環境を整えるのは病院側の責務なので、明るさや空調はもちろん、動きやすく無駄のない動線が確保できる空間について考えていきました。

-あたらしい材料部について、実際に再生処理業務を担当されている鴻池メディカルさんの視点からはどのように感じましたか?

木村研一さん(以下、木村) 私が東京医科歯科大学病院の材料部の責任者に着任したのが、ちょうど引越しの1ヶ月前だったのですが、移転後の材料部で使用する設備の説明会に参加し、ロボットをはじめ、見たことないようなあたらしい機械を目にして、ワクワクする気持ちでしたね。とはいえ、実際に使ってみるまでは「ロボットより手で運んだ方が早いんじゃない?」と思っていた部分もありましたね(笑)。

久保田 やはりロボットは大きな変更点でしたね。これまでの運用ではできるだけラックいっぱいに器材を載せてから洗浄器を回すようにしていましたが、C棟では洗浄器が3台から7台に増えたので、器材が揃うのを待たずにどんどん回すようにしてもらい、だいぶスムーズな運用になったと思います。

移設に際して、橋本さんは現場との調整にかなり苦労されたんじゃないかと思います。こちらは施設の構造の完成形が見えているわけだけど、よくわからない状態のまま現場を動かさなくてはいけない上に、僕からあれこれ言われるわけで(笑)。

橋本素乃さん(以下、橋本) たしかに、それまで設計図というのをみたことがなかったので、なかなかイメージができず、「ロボットって言われても…」みたいな感じではありましたね(笑)。説明会に参加しながら、徐々に運用のイメージを膨らませていきました。こちらに移転してからは、かなりスムーズな動線で動きやすくなりましたし、作業効率もよくなっていると思います。



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