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スティーヴン・プール(2018)『RE:THINK(リ・シンク) 答えは過去にある』の読書感想文
スティーヴン・プールの『RE:THINK(リ・シンク) 答えは過去にある』を読んだ。2018年11月に早川書房より出版された本である。
著者のスティーヴン・プールは、イギリス人のジャーナリストで、新聞や雑誌に寄稿をしている。
本作のコンセプトは「今、新しいと思われているアイデアは実は昔からあったものだよ」というものだ。そう、昔の人間は愚かでも、頭が悪いわけでもない。電気自動車は19世紀末のロンドンで走り回っていた。というエピソードから本書は始まる。
第一部の第二章の「認知行動療法の基本的な考え方は、哲学のストア派にそっくりだよ」という話に「ああ、やっぱり!」と思った。認知行動療法の創始者であるアーロン・ベックとアルバート・エリスも、ストア哲学が哲学的起源だとはっきり言っているらしい。エピクトテス、マルクス・アウレリウス、セネカといった哲学者の考え方は、現代人にとっても応用可能な思考方法であることは救いのようにも感じる。人間はそうそう変わらない、と思えるからだ。
また、電子タバコのアイデアは前からあったこと、プラシーボ効果の話などは大変興味深かった。
そして、このような英米の著者によって書かれた本の濃度の高さに、毎度驚かされる。英米のジャーナリストは、体系的な教養を身につけており、学術研究の要約の仕方までを訓練されているのではないだろうか。軸を持ち、まとめあげる、このような著作は、なかなか日本ではお目にかかれない。それは知的トレーニングと情報処理、アウトプット(人に読ませる文章を書くところ)にまで及んでいるような気がする。
温故知新、故きを温ねて新しきを知る。そちらのほうが、わたしの足りない頭で考えるより、ずっと良いのかもしれない。なぜなら、ブラッシュアップと現代的解釈を加えることができるのだから。
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