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#読書感想文

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文芸書から自己啓発書まで、読書感想文として書き留めています。ご参考になれば幸いです。
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2021年12月の記事一覧

ロルフ・ドベリ(2019)『Think clearly シンク・クリアリー』の読書感想文

ロルフ・ドベリ(2019)『Think clearly シンク・クリアリー』の読書感想文

『Think clearly(シンク・クリアリー)最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』を読んだ。著者は、スイス人の実業家のロルフ・ドベリで、翻訳は安原実津さんだ。2019年4月にサンマーク出版より出された「考え方」に関する本だ。

自己啓発書というのは、難しい。好きだとおおっぴらに宣言するのは、憚られる。自分が無教養であることを公言しているみたいだし、意識高い系だと思われてし

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ジェニー・オデル(2021)『何もしない』の読書感想文

ジェニー・オデル(2021)『何もしない』の読書感想文

ジェニー・オデルの『何もしない』を読んだ。翻訳は竹内要江さんで、2021年10月に早川書房より出版された本である。

本書の詳細は、早川書房のnoteにもあるので、わたしは簡単に感想を述べたい。

この本はエッセイではなくて、思想書のようなものだ。スーザン・ソンタグの本をちゃんと読めたことはないのだが、似ているような気がする。

第2章の紀元前四世紀のエピクロスの庭園学派と1960年代のアメリカの

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いとうせいこう+星野概念『ラブという薬』の読書感想文

いとうせいこう+星野概念『ラブという薬』の読書感想文

いとうせいこうさんと星野概念さんの対談本『ラブという薬』を読んだ。2018年にリトルモアから出版された本だ。

主治医の星野概念さんと患者のいとうせいこうさんが、日々気になっていることを自由に語り合っていく。星野さんは精神科医でバンドマンでもある。星野さんがいとうさんのバンドのサポートメンバーであったという縁から、カウンセリングを頼んだのだという。

なぜ、日本人は精神科や心療内科に行きたがらない

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ゴールドバーグ(2019)『書けるひとになる!魂の文章術』の読書感想文

ゴールドバーグ(2019)『書けるひとになる!魂の文章術』の読書感想文

ナタリー・ゴールドバーグの『書けるひとになる!魂の文章術』を読んだ。翻訳は小谷啓子さんで、2019年に扶桑社から出版された本である。

原著はアメリカで1986年に出版され、2005年に増補版が出されている。

この本は、文章の書き方の本ではない。文章を書き続けるための心の持ちよう、動機づけを維持する方法、怠け心との付き合い方、書くこととは一体何なのか、ということが断片的なエッセイで描かれている。

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キム・ジヘ(2021)『差別はたいてい悪意のない人がする』の読書感想文

キム・ジヘ(2021)『差別はたいてい悪意のない人がする』の読書感想文

キム・ジヘの『差別はたいてい悪意のない人がする 見えない排除に気づくための10章』を読んだ。2021年8月に大月書店から出版された本で、翻訳は尹怡景さんだ。

この本は著者のキム・ジヘさんが「決定障害」という言葉を面白がって使っていたところから始まる。決定障害とは、ぐずぐずして決められない、決断をするのに時間がかかってしまう人、というぐらいの意味だ。日常では何の問題もなかった。あるとき、シンポジウ

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