#2「自己肯定感」と「自己"存在"肯定感」②
「自己肯定感」は"オワコン"ではない
前の記事、#1「自己肯定感」と「自己"存在"肯定感」①では、「自己肯定感」という言葉の扱われ方の現状についてお話ししてきましたが、この現状の背景には2020年前後?に起こった「自己肯定感ブーム」があります。
「メンタル」という、目には見えない、数値でも把握しづらいものへの意識や注目が高まったことは、このブームのプラスの側面であったと考えますが、
一方で、定義が曖昧で漠然としていて、複雑な概念のままに"わかりやすさ”を好まれるメディアやSNSに乗って「自己肯定感」というハコ(言葉)だけが一人歩きしてしまった感が否めません。
そもそも、心理学の世界でも「自己肯定感と自尊感情は同義である」という考え方もあれば、「自己肯定感は自尊感情の中の一つである」という考え方もあったり、そのほか「自己効力感」や「自己重要感」など、たくさんの自己〇〇感と区別して考える見方もあれば、構成要素の一つであるというような考え方もあるくらい、明確な定義の出ていない言葉です。
それにも関わらず、わかりやすさを重視された表面的な解釈と共に広まり、今や「オワコン」と言われることまででてきました。「自己肯定感」があまりにも可哀想です(笑)
「自己効力感」は「自己肯定感」の代わりにはならない
そして、自己肯定感に代わり、「自己効力感(セルフエフィカシー)」という言葉が流行りそうな気配を見せてきています。
自己肯定感ブームの渦中には「成功の鍵は自己肯定感だった」「子どもを幸せにする、自己肯定感を高める子育て」なんてタイトルがつけられがちだったところが、「自己効力感」に置き換えられないか危惧しています。
自己効力感はとても大切なものです。
しかし、「自己肯定感」(自己"存在"肯定感)の基盤がないままに、「自己効力感」にフォーカスしていくことは極めて危険なことであると個人的には考えていますし、自己肯定感の基盤なく自己効力感を育もうとするのは非常に非効率的です。
ボルダリングに例えると、
【自己肯定感を育む】
=ふっかふかの安全マットをしっかり敷き、命綱をつけ、落ちても怪我しないようにすること
【自己効力感を育む】
=ウォールを実際に登れるようにすること
の違いがあります。
「自己肯定感が上がると、失敗を恐れずチャレンジできるようになる」と言われてきたことの本質は、「できる」と思えるようになるからではありません。
「落ちても大丈夫だからやってみよう」と思えるからです。
たしかに、ウォールを登りたくて安全装置を準備したのに「やっぱり登れないかな・・」とずっとウォールの下に立っていては、ずっと登れるようになりませんね。
だから、本来の目的であった「ウォールを登る」のためには、自己効力感も非常に重要です。
「落ちても大丈夫」を整えた後に
「こんなに高い壁、登っていけるかな?」と立ち止まってしまうのであれば、それから自己効力感を高める手段をとっていけば良いのです。
でも、安全装置なく、
急に登り始めたらどうなるでしょうか?
まず、「落ちても大丈夫」の安心感がないので
安全装置がある場合と比べて、より、恐怖感があり、登り始める勇気がより必要になります。
そうこうしていると、隣でちびっ子が身軽に登り始め、それを見ていると「あ、意外と行けるのかも」と思っていたところに、
先に登った先輩が
「まずは右上の黄色のロックに右手をかけて、左手を青のロックにかけて・・」と、具体的なステップを教えてくれて、言われるがままに動いてみると、なんとなく登れていき、コツを掴めて中腹まで登ってきました。
ですが、安全装置がないので、高くなればなるほど、
「落ちるのが怖く」なっていきますし、
高く登れば登るほど、落ちた時の怪我は大きい可能性が高くなります。
そうして登ってきて、疲労に恐怖も相まって登るのに疲れてきた時・・
登ることも疲れた、
この高さで動いて落ちるのも怖い、
飛び降りることもできない、一歩一歩下るのも怖い、
とりあえず動かずにその場にしがみついている
でも、ウォールなのでその場にしがみついているだけでもしんどい。。
こうなると地獄ですよね。
ラッキーであれば落ちても怪我せず、
意外と平気じゃん、となるかもしれませんが
大怪我をするかもしれませんし
何より、ウォール上での心身の負荷が大きく、
登り続けるストレスが大きくなります。
安全装置が整っていれば、もう登りたくないと思ったら飛び降りればいいですし
しんどいけど、落ちても大丈夫だから登れるところまで登ってみよう、となるかもしれません。
落ちたとしても、無傷で落ちれば、また登り直すこともできます。
これが、自己肯定感の基盤なしに自己効力感だけにフォーカスすることは危険であり、非効率的である、と考える理由です。
「自己肯定感」ブームからのバトンを受け取り「自己"存在"肯定感」を伝えていく
「自己肯定感が大事だ」ということでブームになった「自己肯定感」という言葉ですが、残念ながら、「そもそも自己肯定感とはなんなのか?」
「なぜ自己肯定感が大事なのか?」その本質は埋もれたままに、場合によっては負のイメージを持たれたまま、自己肯定感ブームは下火になってゆきました。
「自己肯定感」と書いていれば売れた、アクセスが伸びた、その時代は終わりマーケティングの上では「自己肯定感」はとっくにオワコンになっているでしょう。
しかし、ブームとなった理由「自己肯定感は人生の根幹をなすほどに重要なものである」ということは、永遠に変わらないと思っていますし
そこに悩みや課題を抱える人も多かったからこそ、これだけ広まったのだと思います。
そして、このブームにより、お悩みごとの根本にあった自己肯定感の課題を発見し、乗り越えられた方もいらっしゃれば、
まだ乗り越えられていないまでも、自己肯定感の向上が、お悩みの解決につながることを見出された方もたくさんいらっしゃり、それは、「自己肯定感ブーム」の偉大な功績だと思います。
「自己肯定感に課題がある」というところまでは分かったものの、溢れかえる情報の中、「自己肯定感とは結局なんなのかよく分からない」「どうすれば上がるのか?」「心理学、スピリチュアル、自己啓発の中でグルグルしている」「SNSや本で学びなから、色々試してみたけれども、自己肯定感は結局上がっていない」という方が多くいらっしゃいます。
そんな「自己肯定感ブーム」からのバトンを受け取り、「自己肯定感」の本質、すなわち「自己"存在"肯定感」を教え、その向上をサポートし、
深く理解されないままに、時には嫌われ、オワコンとまでいわれた「自己肯定感」の無念をはらしてゆきたいと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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