美術展が好き。 |ルーヴル美術館展 愛を描く
ルーヴル美術館。
美術好きにとって、憧れの地。
ルーヴル美術館は、フランス・パリのセーヌ川右岸に位置する、世界最大級の美術館である。1793年開業。元々は12世紀に建造された城塞だったものが、幾度も増改築を繰り返して現在の美術館になった。
40万点近い美術品を所蔵しており、総面積はなんと6万平方メートル。展示されているのはそのうち数万点だが、それでも1日では見て回れないほどの規模だ。
レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》や《ミロのヴィーナス》、ドラクロワ《民衆を導く自由の女神》など、1点で美術展を開催できるレベルの有名作品が多数。豪華すぎて鳥肌が立つほどだ。
社会人になってから、美術館に行くことが好きになった。
以来、私にとってルーヴル美術館は、「なんとなくすごい」場所から、「いつか絶対に行きたい」場所になった。行くことを切望し続けた結果、ルーヴル美術館は、私の中で神格化されつつある。
イタリアのボローニャに留学していた時、私はなぜパリに行かなかったのだろう。このことを後悔しない日はない。友人がフランス旅行に出かけた時、どうしてついて行かなかったのか……。
心の底から行きたいのだけれど、あまりに崇拝しすぎて、逆に訪れるのが怖いくらいだ。ルーヴル美術館に行くという夢を達成した時、私はどうなってしまうのだろう。人生の目標を失い、抜け殻のような人間になってしまうのではないかーー。
国立新美術館|ルーヴル美術館展 愛を描く
いつの日かルーヴル美術館を訪れる前に、少しずつ身体を慣らしておかなければ、ショックが大きすぎて抜け殻になってしまうかもしれない。
そこで私は、乃木坂の国立新美術館で開催されていた、「ルーヴル美術館展 愛を描く」へと足を運んだ。
本美術展は、ルーヴル美術館の収蔵作品の中から、「愛」をテーマにした絵画を集めたものである。
神話画、宗教画、パストラル(田園画)ーー長い歴史の中で、人は様々な形・手法で愛を描いてきた。
略奪・妖術・誘惑にまみれた神々の恋愛、神が人間に・親が子に注ぐ無性の愛、愛する者を亡くした失意の一幕……いずれの愛も、鑑賞者の心に深く訴えかけてくる。
展示会場は、ピンクとホワイトのパステルカラーが非常に印象的だった。全体的に可愛らしいデザインで、ルーヴル美術館の持つ少しお堅い印象が和らぎ、親しみやすい感じになっていた。
本美術展で印象的だったのは、絵画を眺めていて、まるで本を読んでいるかのように、頭の中に物語が流れ込んできたことである。
私はこれまで、絵画を「静的」なものとして鑑賞していた。そこに時間の流れは存在せず、描かれていることが全てで、構図や筆遣いの機微など、見たままの情報を鑑賞するものだと考えていた。
今回、その考えが覆された。
絵画は、映像作品のように動くことはない。しかし、絵画の中にも、確かに物語が存在した。作品としては完成していても、そこには時間の流れがあった。私は初めて、「動的」なものとして絵画を鑑賞した。
たとえば神話画は、ギリシャ神話やローマ神話など、神話のある一場面を切り取って描かれた作品である。
それ故に、神話画は神話のエピソードと密接に結びついている。絵を観た時に、切り取った一場面の前後のストーリーが想起される。ストーリーを知っているのと知っていないのとでは、鑑賞時の印象が全く異なる。
私はこれまで、印象派の風景画を集めた美術展に行くことが多かった。そのため、神話画や宗教画を鑑賞する機会が少なかった。今回初めて、見たままの絵だけでなく、その余白も含めて鑑賞する楽しさを知った気がする。
それにしても、神々の貞操の無さには笑ってしまった。男性は略奪、女性は妖術で、意中の相手を射止めようとする。人間よりもよっぽど生々しい愛である。
アモルとプシュケ。
田園の若い羊飼いや、農民の牧歌的な恋愛をテーマにしたパストラル。17〜19世紀、フランスの宮廷社会で流行した。開放的で無垢な恋愛模様が、規則に縛られて生きる上流階級の人々を魅了した。
いつの日かルーヴル美術館を訪れる日に向けて、モチベーションが上がる美術展だった。2023年6月12日まで開催中なので、気になった方はぜひ行ってみて欲しい。
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