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明治時代に蒲焼を蒸すようになると、飯の間に蒲焼を挟むのは二重に蒸すことになるので、東京では中入れタイプの鰻丼は姿を消していく。 2020/06/13

 天下一品の通販「家麺」が届いていたので、昼ごはんとして作ってみた。あっさりとこってりの2食ずつのセットで、チャーシューが付いてる高い方のセットを買った。このチャーシューが、マジでごろっと塊で届く。カットしてもラーメンにのせきれないくらいの塊。ありがたく酒のつまみとしていただく予定なんだけど、このチャーシューの塊見た時点で大満足だった。天一っぽさをお家で味わいたいならこってりの方が良い気がするのだけど、それでは食べた結論としてどうなったかと言うと、美味しいけれど、お店に食べに行きたくなるという感じもするわけで、神楽坂店は都内に2店舗だけある直営店の1つらしいのでそのうち行こうと思ったりした。

 休日ではあるけれど、朝から雨のため、家でゴロゴロするしかないわけで、あつ森とリングフィットと本を読んで過ごすのだけれど、仕事っぽい本も、ぽくない本も読みたいので休日はひたすら並行読みする傾向が最近強い。手広く数冊手をつけて、全て読み終えてしまえるんじゃないかという全能感にも似たものを感じつつ、結局だいたい読み終わらずに次の日を迎える。

 ミン・ゾン『アリババ』とか、出口治明『哲学と宗教全史』とか、ちょっと真面目なものを読みつつ、読みさしの『グイン・サーガ』(これはもう超長期戦)とか、かねてから気になっていた飯野亮一『天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼』をついに読み始めてみたりしていたら、一番最初に紹介される丼がタイトルの順番ではなくて鰻丼で、読んでいるうちにお腹がすいてきてうなぎが食べたくなってくる。

 そういえば、久しぶりに歯医者に通い始めねばならず、面倒臭いのだけど、歯医者というのはコンビニよりも多いらしく、確かに家の近所の何件もあってその超過密ぶりには驚かされるばかりなのだが、人口比あたりで見ると江戸の舂米屋(米を精米して販売するところ)はコンビニ以上の割合で存在していたらしい。

 五〇〇人に一件、ほどの割合で舂米屋が存在していたことになる。今の東京の町を歩くと至るところでコンビニを目をするが、それでも一九〇〇人に一軒ほどの割合に過ぎない。人口比で見ると、江戸の町には、今のコンビニより多い割合で舂米屋が存在していた。
飯野亮一『天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼』P.18

 鰻丼も生まれたのは今から二百年ほど前の江戸時代で、丼が発明される下地として、白米が庶民にも普及していたことがあげられる。で、芝居好きかつ鰻好きな金持ち大久保今助が、蒲焼が冷めないように熱い米に蒲焼を乗せ、その上からさらに米をのせ、と米で鰻を挟んで運んだところ冷めず、風味も良いということで始まったということらしい。

 やはり蒲焼が冷めないための工夫で、「後に食ふ」ために飯櫃に熱い飯と蒲焼を幾重にも重ね入れて、蓋をしておく方法が示されていた。
飯野亮一『天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼』P.42

 これが次第に米に挟まず、上に乗せるスタイルに変化していくのだけど、それは江戸の蒲焼が「蒸す」ようになったことが一因のようで、やっぱりこんな話を読んでいると蒲焼食べたくなってくるのだけど、とにかく鰻は希少品で、名店になればなるほど1日の鰻の数が限られていて、近年は夕方とかになろうものならもう今日の分は終わっちゃって、と言われることも多い。というかこの前テイクアウトしようとしたら言われたから益々、食べたくなってくる。

 明治時代になると、蒲焼を蒸すことが始まった。蒸すようになると、飯の間に蒲焼を挟むのは二重に蒸すことになるので、東京では中入れタイプの鰻丼は姿を消していく。そして、養殖ウナギが出回るようになると小ウナギでないウナギがご飯の上に乗るようになる。
飯野亮一『天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼』P.78

 その後お腹をすかせながらミン・ゾン『アリババ』を読了。ただの巨大モールじゃないんだなぁ、ということを学ぶ。物流も自分たちで構築しているのかというのも驚く。

 ネットワーク・コーディネーションとは一つの業務を遂行するため、複数のプレーヤーの同時並行的なやりとりを、ほぼ自動で管理することだ。これは業務指示が次のプレーヤーへと順番に伝えられていくリニア(直線的)なバリューチェーンとはまるで違う結果をもたらす。独身の日には売り手、買い手、メーカー、サプライヤー、物流会社が一体となり、単一の会社ではおよそ対応できないほどの物量を処理した。このネット上のすばらしい連携をとりまとめたのはアリババだが、直接的な指示や命令など一つも出していない。ネットワーク・コーディネーションは多くの人や企業がネット上で協力し、垂直統合型企業や企業群よりはるかに効果的かつ効率的に複雑なビジネス上の課題を解決することを可能にする。アリババがeコマース・プラットフォー ムを構築できたのも、またそこにおいてウェブセレブ企業を含む新たな革新的プレーヤーが活躍できるニッチが生まれたのも、この新たなアプローチのおかげである。
ミン・ゾン『アリババ』P.52

 このネットワーク・コーディネーションと呼ばれているサプライチェーンの連携と効率度合いがかなり違うっぽくて、初期在庫を最小限にしながら、受注を受けてからの生産で10日後には届けられる、っていうアパレルのサプライチェーン築けるのは羨ましい。日本の工場もそういうことが可能になる仕組み化をしていかないとな、と思ってしまった。とにかくアパレルは廃棄されるために服を作るという供給過剰な状態を業界として是正していくべきで、とここまで書いて思ったのだけど、それ、出版も同じだったな⋯⋯。

 この革新的なウェブセレブ企業という存在については、すでに本書の冒頭で触れた。オンラインだけでブランドを構築し、オフラインの販路は一切持たない。在庫は常に販売量の一〇%しか持たず、残りは注文を受けてから二〇日以内に製造し、発送する。
ミン・ゾン『アリババ』P.54
 こうした店は三週間か四週間おきに、新しい商品群を接稿する。タオバオの一般的なアパレルショップはバーチャル陳列機に何十、あるいは何百というSKUを並べているが、ウェブセレブの店に並ぶのはせいぜい二〇〜三〇アイテム。ほとんどが洋服だが、ときどき靴やアクセサリーも並ぶ。新商品を投稿する数日前、店は発売予定を発表する。たいていは午後二時、あるいは午後六時といった指定の時間に始まる。毎回発売前には数十万人ものファンがパソコンやスマホ画面の前で待ち構え、争奪戦に備える。このような短期限定のフラッシュセールは、中国では「ハングリー・マーケティング(品薄商法)」と呼ばれる。奪い合いや品不足のイメージが、熱狂的消費につながる(飛びつかなければ誰かにとられる)。ほとんどの商品が発売と同時に完売となる。
 しかも最初のバッチが売り切れると、すぐに同じSKUの予約販売の受け付けを開始する。一回のセール当たり、人気SKUはたいてい予約販売を二〜三ラウンド受け付ける。出荷時期はラウンドごとに異なっており、たとえば第二ラウンドの出荷はセール日から一〇日後に設定されている。大好きなウェブセレブの洋服なら一ヶ月待ってもいい、というファンもいるが、一カ月と いうのは相当長い待ち時間と考えられている(アメリカの小売業者であれば「入荷待ち」と言えば数ヶ月先になることも珍しくない)。ウェブセレブの店や販売方法は、小売業の常識のまさに逆を行く。世界の大方の小売業とは異なりウェブセレブの販売する衣料品の多くは、顧客が購入したときにまだ製造もされていない。
ミン・ゾン『アリババ』P.57

 というわけで、インフルエンサー引っ張ってきてなんとなく服プロデュースさせてECで売ればいいって話じゃなくて、無駄のないサプライチェーンの構築こそが肝で、その仕組みができていればインフルエンサー部分は影響力のある人であれば誰でもいい、というのが本質なんじゃないかね、というのが本書の学び。

 夜は大学院の公開講義を聴講し、久しぶりに同期と話す。

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