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知る、体験する、サステナブる。  in KURKKU FIELDS①


クルックフィールズの様子

広大な敷地に青々とした木々や独特なアート作品、小さな小屋のような建物も見えますね。ここは千葉県木更津市にある「KURKKU FIELDS」という循環型社会を目指す様々な取り組みを行っている場所です。

「循環型社会」って何?

そう思われた方もいるかと思います。安心してください!この記事を読めば循環型社会や環境に配慮した取り組みについての理解が深まっちゃいます。

私たちと一緒にツアーを疑似体験して行きましょう!

「サステナブル体験ツアー」とは

まず、この体験ツアーの詳細について説明していきます。
先ほど紹介した「KURKKU FIELDS」と「DINING SERVICE DESIGN LAB※1」がタッグを組み、千葉商科大学の学生を対象として開催されたのがこの「サステナブルファーム体験ツアー in KURKKU FIELDS」です。

※1 千葉商科大学にある「The University DINING」を運営している組織です。「The University DINING」についての詳細はこの記事を参照してください。
https://note.com/media_cuc/n/nd5d82e433102

私たちYellow!編集部の2人がこの体験ツアーに参加することになったきっかけは、大学の講義のゲスト講師として「KURKKU FIELDS」のスタッフの吉田さんと伊藤さんに来ていただいたことです。
その講義で「KURKKU FIELDS」の取り組みやこの体験ツアーが開催されることを知り、興味を持ったYellow!編集部の”松田”と”もんめ”がこの体験ツアーに参加してきました。

体験ツアーのチラシ

「食の未来は、私の未来。」というコンセプトのもと、千葉県木更津市の「KURKKU FIELDS」で実際に農業体験をしながら、循環型社会や食について学ぶことを目的とした体験ツアーです。

計3回のプログラムとなっていて、各回にテーマが定められています。

第1回  知る~農と循環~

第2回  体験する~命のてざわり~

第3回  考える~自分のこと、環境のこと~

今回この記事で紹介するのは7月28日に行われた
第1回目の体験ツアー
「知る~農と循環~」です。

いざ、KURKKU FIELDSへ!

クルックフィールズ入口

何事もまずは知ることが大切です。それでは施設に入っていきましょう!

ここをくぐるといよいよ体験ツアーが始まります。なんだかワクワクしますね。
始めに私たちを案内してくださるのが、フィールド管理担当の吉田 和哉さんです。吉田さんは生き物についてとても詳しく、ツアーの最中もトンボを見つけては素手で捕まえて詳しく説明をしてくださいました。生き物愛が溢れていました。

左:伊藤 雅史さん 右:吉田 和哉さん
ツアーの最中に捕まえたトンボ

自然の中に佇むアート

早速ツアーガイドの吉田さんの後に続いて歩き進めていくと、周りの草木に紛れるようにして謎の建物が現れました!この建物は一体…?

空と緑と一体化する建物

この四角い建物は、
草間彌生 
『無限の鏡の間-心の中の幻 』(c)Yayoi Kusama
という芸術作品です。

鏡の間と名付けられている通り、中に入ると空間が無限に続いているような感覚を感じることができます。今回は特別にこの建物の中に入らせていただいたので、中の様子は皆さんの目で確かめに行っていただきたいと思います。

循環の仕組み

ファームの中を歩いていると普段の生活の中では見かけることの無いものが至る所に設置されていました。
この写真を見てください。何か赤い石のようなものが並んでいます。

バイオジオフィルター

この石のようなものの正体は何だと思いますか?
実はこれ、砕いた瓦レンガを使ったバイオジオフィルターという装置です!
この瓦レンガには無数に小さな穴が開いていて、その穴の中に微生物が住み着いているそうです。
微生物の力を借りて排水を自然に害の無い水を生み出しているそうです。

また、このバイオジオフィルターの周りに植物が植えられていることにお気づきでしょうか。
元々排水として流されていた水を循環させて植物の育成に活かしている点がとても優れていますね!

続いて紹介するのは、この建物の裏に設置されている箱のような装置。
この装置では、とある生物の力を借りて堆肥を生成しています。 

建物の裏に備え付けられた木箱
ミミズコンポストの様子

その生物の正体はシマミミズです!
この装置はミミズコンポストと呼ばれていて、コンポストは堆肥を意味します。食品を調理する過程で排出される生ごみなどをこのミミズコンポストに入れることで、中でシマミミズが生ごみを消化し堆肥を生み出してくれる仕組みとなっています。
また、この装置が設置されている場所にも工夫がされています。このミミズコンポストには落ち葉や土、生ごみ等の他に水が必要です。そこで利用するのが雨水です。屋根から雨水がこのミミズコンポストに落ちるように工夫して設置されています。
この装置も循環型社会への取り組みの一部となっています。

こだわり詰まったランチボックス

一通りオリエンテーションと場内見学を終えると、お待ちかねのランチタイムがやってきました。

配布されたランチボックス

昼食は一人一人に特製のランチボックスが配布されました。
中にはKURKKU FIELDSの農場で収穫した有機野菜や、それらの食材を使用したシャルキュトリーのソーセージ、ベーカリーのパンなどが入っていました。
この農場では農作物の育成に微生物の力を借りたり、認証を受けた農薬を使用したりして、体の健康や、地球環境に優しい栽培方法を取り入れています。
このようなこだわりが施されている食材を使うことで、私たちも循環型社会を目指す取り組みを実践できるということを学びました。

堆肥に込められた愛情

区分けされた堆肥舎
堆肥の名前が書かれたボード

昼食を食べ終えて、次に向かったのは堆肥舎です。
まず、この堆肥を作るためには新鮮な空気や水、動物の糞などが必要です。ここで飼育している動物から排出される糞の量は一日でなんと1トン!
その膨大な量の糞を活かして堆肥を作ることは、資源を無駄なく利用する循環の活動に繋がります。

これらの資源を活用し、微生物が堆肥の中で活性化することによって栄養のある堆肥が作られるそうです。
微生物が活性化すると堆肥が発酵され、熱が発生して熱くなります。
発酵時の温度は土に熱がこもり60度近くまで高くなるそうです。
堆肥もただ放っておくだけでは微生物は活性化しません。微生物にとっての栄養が必要となります。
そこで堆肥を定期的に掘り起こして新鮮な空気を堆肥の中に取り込んだり、水分を加えたりして微生物にとってより良い環境づくりをすることが大切です。

また、堆肥の生成に使用される動物の種類によって堆肥を区分していて、面白いことにそれぞれの堆肥に名前を付けていました。写真をよく見てもらうと、「サザン」、「B’z」、「スピッツ」等々堆肥に名前がついていることがお分かりいただけると思います。堆肥愛が溢れていますね!
堆肥は農業に欠かせない存在であるからこそ、念入りに管理されているのだと思います。ここで生成された堆肥が巡り巡って有機野菜などの食材になっていると考えると、とても感慨深いですね。

有機農業を体験しよう

堆肥について学んだあとは、本日のメインイベントである有機農業を体験していきます!

これから植える種

今回植えるのは「小糸在来」という大豆の種です。畑の土は伊藤さんが耕しておいてくださったので、とてもふかふかでした。30センチの間隔をあけながら二つずつ種を穴に埋めていきます。しっかりと育ってもらえるように一つ一つに気持ちを込めて...

種まきの様子

今回埋めた「小糸在来」の種は無事成長すれば、第三回サステナブル体験ツアーで収穫できる予定です。そのために第二回ではお手入れをします。第二回のレポートも楽しみにしていてください!

鶏に優しく、味わい優しい

農業体験を終えて、畑の奥を進んでいくと養鶏場に到着。
広い鶏舎の中には沢山の鶏が自由に歩き回っています。ここでは「岡崎おうはん」と「もみじ」という二種類の鶏を合わせて1500羽飼育しています。

小屋の中にいる鶏たち
外に出て歩き回っている鶏

養鶏場によっては、鶏のくちばしを切って飼育する場合があります。理由はストレスによって鶏同士がくちばしを使ってつつき合うことや傷つけあうことを防ぐためです。
しかし、ここで飼育されている鶏にはその必要がありません。その理由は、鶏にストレスが溜まらないように環境づくりをしているからです。また、くちばしを残しておくことで噛む力が強くなり、一般的に人が使わない野菜の固い部分などもつついて食べることができます。
鶏も人と同じ生き物です。狭いゲージで一生を終えてしまうよりも平飼いをして、施設の中で歩き回って自由に過ごしてもらいたいという考えから、このような飼育方法をとっているそうです。実際に飼育小屋の中から出てきて走り回っている鶏の様子を、特別に観察させていただきました。

お店に並ぶシフォンケーキ

この養鶏場で健康的に育った鶏から生まれた卵は、場内で作られているシフォンケーキにも使用されています。
第二回のレポートでシフォンケーキについて深堀する予定なので楽しみにしていてください!
また、千葉商科大学サービス創造学部のプロジェクト「TheUDプロジェクト」が企画し、大学内の学食で販売している「とろ〜りUDぷりん」にもこの養鶏場の卵が使用されています!ちなみに、「とろ〜りUDぷりん」はとても濃厚で、卵の優しい味わいを感じるとても美味しい一品です。

「とろ〜りUDぷりん」


締めのデザート

ツアーが終わった後に松田と一緒に場内にある
「CHIFFON」と「MILK STAND」に行ってみました!

まず「MILK STAND」ではソフトクリームを購入。
早速一口食べてみると...
  とっても濃厚!!!
普段食べているソフトクリームよりもミルクが濃厚でとても優しい味わいでした。
次に「CHIFFON」に行ってシフォンケーキを購入しました。
とても大きかったので半分に切り分けて松田と分け合いました。
こちらも二人で食べてみました。
 ...フワフワで美味しい!美味しいが過ぎる!!!
養鶏場で育った鶏たちに感謝ですね。
皆さんにも一度は味わっていただきたい美味しさでした。

購入したソフトクリーム

ここまで様々なものを見学したり貴重な体験をしたりして、循環するということがどのようなことなのかを知ることができました。普段の生活では、
直接農業に関わる機会があまり無かったとしても、私たちにできることは沢山あると思います。少しずつでも実践していくことが大切なのではないかと思います。

KURKKU FIELDSで働くスタッフの方にインタビュー

ここでKURKKU FIELDSで働くスタッフの方にフォーカスをあててみようと思います!

こんな素敵なKURKKU FIELDSで働いているスタッフの方々が

なぜKURKKU FIELDSに巡り合ったのか、
KURKKU FIELDSでの活動をきっかけに私生活にどんな変化があったのかなどなどインタビューしてきました。

今回お話を伺ったのは、体験ツアーの引率をしてくださった伊藤雅史さんです。

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堆肥舎で堆肥愛を語る伊藤さん

伊藤さんはKURKKU FIELDSのオーガニックファームで農場長をされていて、普段は畑作業をしたり、体験プログラムの案内役を務めたりされています。

ーKURKKU FIELDSで働くことになったきっかけを教えてください。

「僕は、小・中・高・大学とサッカーをやっていたので、外で動くことや汗をかくことが大好きで、そういう仕事を探しているときに農業に出会い、これだ!と思ったんです。でも、農業で就職することはなかなかないので、就職サイトで探しても見つからなくてどうしようかと思っていました。農業で就職するためには、農家さんのもとで修行することが良いと聞き、1年間千葉県の鴨川市の農家さんのもとで修業させてもらいました。そこでは、米、野菜、果樹、麦、大豆など一通り体験しました。1年間修業してみて、大変だけどやっぱりいいな、これは僕一生やった方がいいなと思いました。そんなときに、KURKKU FIELDSの農場のプロジェクトの立ち上げに合流することになり、KURKKU FIELDSで働くことになりました。どこで、どんな農業をするかも決まってなかった段階からオーナーと一緒にKURKKU FIELDSを作り、働いているという感じですね。」

「大学2年生の時に、オーストラリアに留学した経験があるんです。その時に、オーストラリアはKURKKU FIELDS以上に大自然で、カンガルーやコアラがいて、海も綺麗で、そんな環境に出会って自然っていいなと思ったんです。そして、日本に帰国してから、居酒屋でアルバイトしている時に生気のない大人を見て、自分にふさわしい生き方とは何かを考えるようになりました。なので、他の人が就活しているなか大学3年の終わりまで遊んでいました。周りが心配して、友達が就活サイトの登録をしてくれるくらいやる気がありませんでした(笑)そんなときに、農家さんやいいレストランのシェフの方に出会い、世の中にはこんなかっこいい大人がいるんだ、あんなかっこいい大人になりたいと思いました。」

ーKURKKU FIELDSで働き始めた前後で、私生活での意識の変化はありましたか?

「もちろん、家に生ごみのミミズコンポストを置いているわけでも、水の循環もないです。KURKKU FIELDSで素材の良い肉、野菜、卵、チーズが揃うので、料理の腕が良くなくても美味しい料理が出来るため、自宅で料理する頻度が増えました。料理をすることで、食のことを学ぶことができますし、友達が家に来た時に料理を振る舞うことで、食を通じたサステナブルの考え方が広がったかなと思いました。僕の生活からさらに、僕の友達の生活も笑顔になっているのをすごく感じます。また、KURKKU FIELDSのような遊べる場で働いていることで、友達が職場に遊びに来てくれるので、KURKKU FIELDSの活動と僕の暮らし、友達の暮らしの一体感を感じています。ふるさとを持っている感じですね。KURKKU FIELDSの活動を中心にコミュニティが広がっているのを実感しています。」

KURKKU FIELDSの循環システム

「KURKKU FIELDSにいると、自然が目の前に広がり、自分たちがその中に溶けていく感覚もあります。自然を見ているとおおらかな気持ちになりますよね。悪い人間にならないと思います。体も使うので、KURKKU FIELDSのスタッフは体力と実行力がある人が多いと思いますね。」

場内に広がる自然

伊藤さんの夏の日のスケジュール

7:30 KURKKU FIELDS集合
その日にやる作業の確認など

9:00ごろまで野菜の収穫
朝のうちに収穫しないと野菜がしなびてしまいます。
今の時期はなす、ピーマン、トマトを収穫。

収穫が終わった後は、水やり、草取り、トマトの枝切りなどの栽培管理。

12:00 お昼休憩
約1時間の休憩時間内に、持参したお弁当を食べて、必ず20分くらい昼寝をします。
午後からの作業も元気にできるように昼寝して体力復活。

午後は日によって変わるのですが、小・中学生の農業体験の案内役をする日が多いそうです。
体験プログラムは、1プログラム 約90分。
農業体験やグループワークを通して、サステナブルについて考えたり、思い出作りを行っています。

15:00 体験プログラム終了後は堆肥のお世話の時間。
堆肥を混ぜたり、温度を測ったり堆肥のお世話をします。

堆肥舎

16:00 畑に行き、農業機械で畑を耕したり、種まきをしたりします。

17:00 KURKKU FIELDS閉店・スタッフミーティング
主に、他のチームとコミュニケーションをとる時間。
例えば、伊藤さんが作った野菜を使ってできた新しいパンを開発したときに味の確認をしたり、収穫した野菜をレストランに持っていき、「この野菜を使って何か美味しい料理できませんか」と提案したりします。

18:00 外部の方とミーティング

19:00 帰宅
最後までニコニコ元気で気持ちよく、お疲れさま!という感じで解散。

伊藤さんのコメント
「よく大変そうと言われますが、とてもやりがいを感じますし楽しいです。
KURKKU FIELDSでは、お客さんに来てもらって体験してもらうので、農家とお客さんとがお互いの顔を見ることができます。これは、農業をやっているだけではなかなかできないことですし、そこがKURKKU FIELDSの良さだと思います!」

体験ツアーの様子

KURKKU FIELDSでは
小・中学生の体験プログラムのほかに、企業研修や新入社員の親睦会の受け入れ、企業視察の受け入れも行っています。

そうしたツアーに参加した人の中には、ツアーをきっかけにクルックフィールズに惚れ込み、KURKKU FIELDSに転職して伊藤さんが指揮を執っている農業チームに来た人もいるそうです。

また、
コロナ前は海外からのお客さんも多く来られていて、伊藤さんが英語で案内することもあったそう。

KURKKU FIELDSは国内だけでなく国外の方からも注目されているんです。
今後も、海外の事例を取り入れたり、KURKKU FIELDSの取り組みを共有したり、世界にもクルックフィールズの魅力を伝えたいと考えているそうです。

ちなみに、
KURKKU FIELDSは市川市ともつながりがあるんです!

KURKKU FIELDSで飼育している鶏の餌の一部として、月に2回ほど市川市にある工場に廃棄予定のチーズをもらいに行っているそうです。

まとめ

ここまでの擬似体験ツアーはいかがだったでしょうか。皆さんも循環について何かを感じ取っていただけましたでしょうか。
もし循環するということに対して何か意識の変化があったら、私たちもとても嬉しいです。
皆さんも是非KURKKU FIELDSに行ってみてください!
体験ツアー②と③も楽しみにしていてください!
それではまた!


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