しびれをどう評価するのか?
しびれのあるクライアントに対してまず何をどう評価していきますか?
初めに言っておくと、神経圧迫理論(ナーブ・ピンチング・セオリー)でしびれが出ていることはほぼありません。
現在出回っている「神経を圧迫して痛みやしびれが出ている」という常識は、徐々に非常識となってきています。
そもそも神経は圧迫に強く、構造としても緩衝作用を出すために脂肪組織が組み込まれているので、ある程度圧迫を受けても大丈夫です。
そもそも神経は電気信号なので、曲がっても、圧迫されても、断線しない限りは正常に働きます。
スマホを充電中に線を踏んでも通常通り充電は継続されますよね。
神経がホースのように中に水が流れていて、圧迫を受けると流れが悪くなるという前提が間違っているのです。
なので、ガーデンホース(庭で使うホース)理論なんて言われたりもするのです。
じゃあ、本題、
しびれを評価する際、大きく2つに大別して考えていきます。
ここでは、
1)しびれ≒異常知覚
2)しびれ感=知覚鈍麻、痛覚
と分けて考えていきます。
1)しびれ(異常知覚)
いわゆる正座をして、足がしびれる機序です。
何らかの原因で血流が低下し、痛覚神経が発火しやすい状態となって、痛みの小さいものがしびれとして感じられるようになった状態です。
なぜ発火しやすいのかは静止膜電位などの話になり、かなり長くなるのでここでは省きますが、臨床でも、血管の圧迫、筋肉の緊張による毛細血管の圧迫によりその部位にしびれを感じるのです。
痛覚の亢進、または痛覚抑制機序の機能低下がおこるとしびれが出ます。
また、筋肉や腱の感覚、触覚などの機能低下が起きてもこれが起こります。
ゲートコントロールが働いていないってことですね。
ということは、しびれとは
かゆみ<しびれ<痛み
ということです。
しびれは痛覚なのですね。
2)しびれ感(知覚鈍麻、痛覚)
これは歯科で麻酔を受けたことのある人はイメージしやすいですが、歯科治療のため麻酔を打った部位は痛覚を感じなくさせることでしびれのようなジンジンした感覚が出ますよね。
これが、異常知覚によるしびれ感です。
この時、触覚、圧覚などの感覚は保持されており、痛覚神経が障害もしくは麻痺している状態です。
何らかの原因で痛覚が感じにくい状態になるとしびれのような感覚が生じるのですね。
しびれとしびれ感、クライアントはどちらも同じように「しびれる」「じんじんする」と表現されるので、問診だけではなかなかどちらなのかわかりません。
ですが、
しびれは痛覚の過敏
しびれ感は痛覚の鈍麻
だとすれば、全く逆のことが起きているので同じようなアプローチをしても、よくなる時は良くなるし、よくならない時は良くならないと当てずっぽうになってしまいます。
やはり検査が一番大切ですね!!
じゃあ、そのように評価(検査)をしていくかです。
まず、検査の前提として、健側と比べてどうかを評価してください。
患側だけだと比較するものがないので、その結果がいいのか悪いのかわかりません。
1)痛覚検査
知覚ルーレットがあれば、その針をしびれの部位に軽く押し当てます。
無ければクリップの先端などを使い、ケガに気を付けながら押し当ててみてください。
健側と比べて痛みを強く感じるなら痛覚過敏、弱く感じるのなら痛覚鈍麻です。
注意点はピンを押し当てるときに健側も患側も同じ強さで押すことです。
そもそもの検査の押す力が違うと左右の感じ方に違いが出るので、そこは要練習です。
2)圧覚の検査
目をつぶってもらい、しびれの部位に何かで圧を加えます。
私の場合は音叉の持つ方の先端を使うのですが、ペンや棒状のものなど、やりやすいものを見つけてみてください。
この押されたときの押された感覚が健側と比べて大きく感じるか、小さく感じるか、または同じように感じるのかを評価します。
大きく感じるということは過剰に神経が発火するということなので、しびれ(痛覚の過敏)、左右差を感じなければしびれ感(痛覚鈍麻)
と評価することができます。
これらのように、同じような「しびれ」の症状でも全く逆の現象の場合があるのでしっかり検査をしましょう。
今日はこれくらいで。。。