
入試での“鉄則”を頻出問題を通して再確認!
現在の学習指導要領になってから、
「“データの活用”分野の問題」
は、公立私立に関わらず、あらゆる学校の入試で出題されていますが、その傾向としては、
「各代表値等の結果から元のデータ値を絞り込む」
という、
「“理詰め”で整数を求める力」
を問うものが多いですね。
そのため、
「何らかの公式でパッと求める」
ことができず、しかも
「答えを導き出すまでに結構時間を要する」
内容の設問も多く、この類の問題を甘く見ていると、思わぬ足をすくわれる展開になりかねません。
基本的なスタンスとしては、
「解ききるまでの道筋が見えている」
のであれば、多少時間をかけてでもそのまま解き進めて構いませんが、
「あれ…」
と手詰まりになってしまうようであれば、
「“迷わず”後回しにして落ち着いて取り組み直す」
のが得策でしょう。
「できないはずがない!」
と、
「ムキになって思わぬ時間を浪費してしまう…」
という事態だけは、何としても避けなければなりません。
なぜなら、このような問題は、
「前半の小問集合などでの出題」
が多く、
「まだまだ多くの大問に手を着けていない段階」
なので、
「解きやすい問題から取り組む」
という
“入試での大鉄則”
を守ることが、
「平常心で臨み続ける」
ことにつながるからです。
では、次のような問題に出くわしたら、あなたならどうしますか?
【問題-1】
A君とB君の2人が同じ9個の数を見て記入した。
A君は
「9個の数を正しく記入」
したが、B君は
「1個の数だけ誤って十の位と一の位の数字を逆にして記入(例えば「29→92」という誤記のこと)」
してしまった。
そのため、
「B君が記入した9個の数の平均値」
は、
「A君が記入した9個の数の平均値」
より
「3小さかった」
という。
B君が記入した9個の数は、
「12,27,36,49,56,74,83,91,98」
であるが、この中で
【B君が誤って記入した数】
を求めよ。
また、
【A君が記入した9個の数の四分位範囲】
も求めよ。
【解説-1】
まず、平均値に関する条件から、
「B君は“小さい数”へと誤記した」
ことを、しっかり押さえておきましょう。
そして、
「元の数との差=3×9=27」
に該当する数を探すと、
「63→36と誤記」
とすれば、題意を満たすことがわかります。
落ち着いて、すんなりこの流れで考えられていれば問題ないのですが、
「焦って最初の“押さえ”ができていない」
ような状況だと、
「47→74と誤記」
と勘違いしてしまう恐れもありますね。
そして、A君の
「第一四分位数=(27+49)/2=38」
「第三四分位数=(83+91)/2=87」
であることから、
「四分位範囲=87-38=49」
となりますね。
(2024慶應・改題)
落ち着いて考えられてさえいれば、何でもない問題のはずですが、
「緊張した本番で自らがどのような状態になるか」
は人それぞれなので、
「自らの入試本番での最善策」
を、しっかり見極めた上で臨みましょう。
では、次の問題だったらどうしますか?
【問題-2】
点数が0点以上10点以下の整数である小テストを7人の生徒が受けたところ、
「平均点は5点、最頻値は7点」
であった。このとき、中央値のとりうる値を全て求めよ。
【解説-2】
短文問題ではあるものの、
「検討すべき内容は結構ある」
ことから、このような問題は、
「一番最後に回して落ち着いた精神状態で取り組む」
ことを勧めます。
まず、
「全員の合計点は35点」
で、
「最頻値は7点」
であることから、その度数は、
「2,3,4,5人の4通り」
考えられますね。
設問からすると、
「中央値のとりうる値」
を全て求めればいいので、
「1通りでも確認できれば次の検討に移れる」
ことを押さえておきましょう。
①7点が5人の場合
「残りの2人は0点」
となり、
「中央値は7点」
(※なお、明らかに
「中央値8点以上はあり得ない」
ことはわかりますね)
②7点が4人の場合
「残り7点分は3人の合計」
となり、
「各々が6点以下しかあり得ない」
ことから、これも
「中央値は7点」
③7点が3人の場合
「残り14点分は4人の合計」
なので、
「同じ点数は2人以下」
であることに注意して、例えば
「1,3,4,6,7,7,7→中央値は6点」
「1,3,5,5,7,7,7→中央値は5点」
「3,3,4,4,7,7,7→中央値は4点」
④7点が2人の場合
「残り21点分は5人の合計」
で、それらは
「全て異なる点数」
であることに注意すれば、
「6点以下の全て異なる点数で合計21点」
は不可能(∵2+3+4+5+6=20点が最大)となり、
「中央値3点以下はあり得ない」
とわかりますね。
①~④より、
∴中央値のとりうる値は「4,5,6,7点」
(2024東海・改題)
この設問は、
「冒頭の小問集合の2問目」
で、上記の検討内容から振り返っても、
「一番最後に回して落ち着いて取り組む」
のが得策でしょう。
もちろん、試験の冒頭でこの検討をさせられても、
「自らのペースを乱されない“強者”」
であれば、余計なお節介ですね。
いいなと思ったら応援しよう!
