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町内会

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2021年度に町内会の会計をやったときの経験を新たな出発点として研究します。
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志井校区まちづくり協議会が発行する「しい校区だより」(令和6年5月、No. 2)を受け取った。

校区3団体の決算報告が町内会の会員に配布されるのは初めてである。気がつくことをこれから書いていこうと思う。 結論的にいえば、これまでの疑問が解消されたというのにはほど遠く、役員決定や会計処理についての疑問がさらに深まる内容であった。 令和5年度志井校区まちづくり協議会決算 令和5年度志井校区まちづくり協議会決算 この表はこれまで見たものと様子が変わっている。 単位町内会からの拠出金(世帯当たり600円)がこの団体の収入になっていることは、どういうことだろうか。しかも、「町

町内会・自治会の「上」に存在する組織

1. 校区自治連合会 2. 小倉南区自治総連合会 3. 北九州市自治会総連合会 4. 会則上の注目すべき点 校区自治連合会の会則では、上の「市・南区総連合会」との関係について「連携協力」という表現を使っている。 これに対して、校区自治連合会から連携協力の相手として位置づけられた区自治総連合会の会則では、校区自治連合会との連携協力ではなく、非対称的に、下の校区自治連合会間の「相互の緊密な連携協力と親睦融和を図る」という目的が掲げられている。 本来的には、校区自治連

「まち協」は住民自治組織じゃない

≪おごおりト-ク21≫ 現在「まちづくり条例(仮称)」の策定に向けた作業も大詰めを迎えていますが、一方では、「まちづくり協議会(以下、まち協)とは何なのか?」ということが十分に共有化されていない実態もあるようです。 「まち協」をめぐっては地域の関係者や議員、職員間でも様々な意見があり、それぞれの認識や考え方には大きな差異がみられます。その原因は、そもそも「まち協」に関する基本的な認識が共有されていないことに起因しているのではないかと思うのです。 そこで、今回、この機会に今

まちづくり協議会とは何か

「みんなが主役の地域づくり・まちづくりのために」(令和4年4月 北九州市)の内容について検討してみる。 ケースの研究(志井校区まちづくり協議会) 志井校区まちづくり協議会規約第12条は、なんとも不可解。 会の構成に関する第4条では、自治連合会、町内自治会長、社会福祉協議会、小・中PTA会長、小中学校長、自治公民館長、民生・児童委員、保護司、青少年育成会、少年補導委員、少年補導員、子ども会育成会、老人クラブ、体育委員会、消防団の15の団体等があげられている。 「総会」は

「まちづくり協議会」の新役員が選出されたことを「市民センターだより」(6月1日号)で知って考えたこと——ココログの記事の紹介

まちづくり協議会の新役員選出にともなって、まちづくり協議会に「相談役」という役職が新設されたこと。また、それ以外の校区2団体(社会福祉協議会、自治連合会)にもその役職が同時に新設されたようであること。 いままでの例から考えると、同一メンバーが、まちづくり協議会、社会福祉協議会、自治連合会の役員(新設のものを含む)に就任した可能性があること——相互に関係のある複数の団体の役職を同一人物や同一メンバーが務めていれば、「利益相反」の問題が生じる。 おそらく、まちづくり協議会では

町内会・自治会はどのように組織化されているか(その2)

2年前に「町内会・自治会はどのように組織化されているか」というタイトルで記事を書いた。その続きを書くことにする。 最近書いたもの 最近次の2つの記事を書いた。そのために、ウェブサイトで公開されている決算報告や予算などを調べた。 令和2年度の決算報告 2年前の記事では以下のように書いている。 その時に公開されていたのは、小倉南区自治総連合会の令和元年度の決算報告書と令和2年度の予算書であった。 今回調べてみると、「令和3年度決算及び令和4年度予算」が、公表されていた

ある町内会の単年度収支から辿っていって考えたこと: 校区「社協」・校区自治連合会・区自治総連合会等との会計上の関係

2021年度に町内会の会計の役を務め、分からないことを調べてみたときのことを書いてみる。そうすることで、会計処理の透明性や「草の根レベルの民主主義」が重要だという観点を再確認してみようと思う。 1. 単年度収支の推移 まず、町内会の単年度収支の推移(2014年度から2020年度まで)の表を紹介しよう。この表から、色々なことの説明を始めることができる。 たとえば、出不足金について、役員手当について、「校区分担金」について、さらに、あとで詳しく触れるつもりであるが、その分担

町内会とその「上部」団体との関係: 校区分担金と市政連絡事務委託料をめぐって

町内会の「上部」団体 2021年4月から1年間町内会の会計という役をやった。会計の仕事としては実に色々なことを経験することができた。 各世帯から集めた「町内会費」に相当する額が、役員手当と上部団体(校区社協と校区自治連合会)への拠出金に充てられていることには驚いた。また、この2つの項目が、町内会予算において支出の第1位(約22万円)と第2位(約11万円)を占めていることにも。 この「上部」団体の決算報告は、単位町内会で配られたりすることはなく、回覧版で回されることもない

都市の社会集団

かつて、農村社会学者でもあり都市社会学者でもあった鈴木栄太郎が、都市の社会集団について、町内会等を地区集団として捉え、各種の生活拡充集団(ボランタリー・アソシエーション)とともに「余暇集団」と捉えました。商店街組合、同業組合、労働組合は、「生業組合」として一括し、地方自治体と並べました。これらよりも重要視されたのは、世帯、職域、学校であり、都市における人びとの生活は、基本的な集団としての世帯と職域(及び学校)との間を往復する形で営まれる、と捉えました。 この考え方に従えば、

町内会規約と校区自治連合会規約の比較

規約で規定されている会員の権利  A校区自治連合会の規約では会員、総会について次のように規定されています。 「本会の会員は、校区内に居住するすべての町内自治会会員及びその組織とする。」 (第4条) 「総会は、町内会長、部会及び委員会の長で構成し、過半数の出席で成立する。」(第14条) 「総会の構成:自治連合会役員、町内自治会会長、自治連合会部会及び委員会の長、総会が認めた関係者」(別表1)  「A校区の住民から構成される」とも説明されるわけですが、第14条と別表1の間に食

「出不足金」について

 私が属する町内会の出不足金(公園清掃不参加代)について会計として少し前に以下に引用する文を書いてみた。会則で近隣公園の草刈りに年に2回参加しないと1回につき1,000円を町内会に納めなければならないことになっている。町内会に加入していなければその「罰金」を払う必要はない。「出不足金」は、退会への誘因ともなるので、収入の減少となるが廃止すべきだ。毎年の予算でそれを収入として当てにすることに比べれば、それに見合う額を確保するために会費を値上げする方がよい。  「出不足金を取ら

まちづくり協議会、社会福祉協議会、自治連合会の役員構成

決算報告はどのレベルで行われるのか。 校区単位のまちづくり協議会に交付されたものはそのまま単位自治会に「再交付」されるようだ。 自分が住んでいる地域では、まちづくり協議会、自治連合会、社会福祉協議会の3団体が小学校区レベルであり、その3団体の会長を同一人物が兼ねている。3団体のそれぞれの会員や総会出席者は異なるはずであるが、会長だけでなく、「執行部役員会」のメンバーが3団体で同じもののようである。(役員会とは区別して執行部というものがあり、執行部に属さない役員がいるという

町内会の特性

 地域集団としての町内会・自治会は、日本社会の特徴の1つとしてとらえられてきています。都市における社会生活のあり方は、日本では、この組織の影響力を考慮することなく議論することはできません。近江哲男は、町内会の特性を15個あげて、それらを「普遍的にみられる属性」(A群)と「一部の町内会においてみられる属性」(B群)とに区別して説明しました。 町内会の特性(近江哲男) [A群]普遍的にみられる属性 1. 市町村内の一定の地区の上に結成される地域団体であること。 2. それぞれ

小さな町はどのように分断されているか