蛇行する川のほとり/恩田陸
私が #恩田陸 さんを知るキッカケになったのは、 #クリスマスストーリーズ という人気作家6名が描いた物語を一冊にしたアンソロジーでした。
この中で恩田陸さんの物語は、私的にあまり理解出来ず肌の合わない作家さんだというのが正直な感想でした。
しかしその後、本屋さんへ行くたびに恩田陸さんの著書と遭遇し、ナゼこんなに人気があるんだろう。
これは、一度この方の著書をしっかり読む必要があるなと思って数年。
やっと、恩田陸さんの著書を手に取ることが出来ました。
本書にした理由は、 #酒井駒子 さんの装画に惹かれたから。
大人になる寸前の少女たちを描いた物語。
ミステリーなのですが残虐なシーンなどはほとんどなく、時折ゾクッとしつつも酒井駒子さんの装画のように美しくふんわりした文章がとても心地よかったです。
幼い残酷さ、成長した少女たちの葛藤、大人の身勝手さ。
過去の事件を紐解きながら、少女たちが大人の階段を登っていく様子。
それらをとても丁寧に描かれているので、読み進める手が止まらなくなり、一気に物語に惹き込まれました。
ひとつの話をしよう。
目を閉じれば、今もあの風景が目に浮かぶ。
ゆるやかに蛇行する川のほとりに、いつもあのぶらんこは揺れていた。
私たちはいつもあそこにいた。
ひとつ昔の話をしよう。
もはや忘れられた話、過去の色褪せた物語。
平凡で退屈なある夏の話。
私たちの愛情について、私たちの罪について、私たちの死について。
ひとつの寓話をしよう。
今はもういない、あの蛇行する川のほとりでの少女たちの日々。
誰も知らないあの物語を
今、あなただけに。
冒頭に書かれているこの文が、この後のお話の鍵。
終章では、あまりにも切なく思いもよらない展開でしたが、少女たちも読者である私も呪縛から解放されたような気がします。
やはり、読まず嫌いはダメですねっ!
恩田陸さんが人気な理由は、この一冊だけでも充分理解出来ました。