定年ゴジラ/重松清
図書館で借りてきた重松清さんの連作小説
「定年ゴジラ」を拝読しました📖´-
(2022,6,10 読了)
こちらは読書系LINEオープンチャットの今月の課題本1冊目。
重松清さんの著書は気になっていて何冊か積読📚していたのですが、まだ手付かずになっていたので本作が初読となりました。
寂れたニュータウンで定年を迎え、自分の人生を振り返りながらこれからの自分の居場所を模索する男たち(定年ゴジラたち)の物語です。
主人公の山崎さんが定年を機に近所の散歩を始めたことで、同じような境遇の仲間たちと出会い、新たな人生を歩み始めていくのですが、いくつになっても男の人は少年のような心を持ち合わせているのだなと微笑ましく感じる部分もありました。
ただ、前に拝読した「私たちにはことばが必要だ/イ・ミンギョン」の中で出てきた『家父長制』という言葉が、本作の根底にあるようにも思えます。
マイホームを持って家族を養うことが一人前の男としてのステータス。
しかし、都内でマイホームを購入するのは大変な金額になってしまうため、通勤時間を往復2時間かけて通わねばならない場所に住むことになる。
そうやって必死に働いて、いざ定年になって自分の住んできた街を改めて見渡してみたら、発展途上のまま寂れてしまい何もない。
自分は何のためにここまで頑張ったのだろうと落胆する主人公たちを見ていると、物悲しさで胸がキュッとなりました。
そんな中で主人公たちは、これから生きていかねばならない。
ここで生きる覚悟を決めた上で模索する日々から発せられる言葉に度々励まされました。
そして、鷺沢萌さんの解説の言葉には、肩をポンポンと叩かれ「お疲れ様」と言われた気分。
訳もわからずただ頑張っていた、頑張らねばならないと思い込まされていた、定年ゴジラたちと同様に私も。
私はまだまだ定年するような年齢ではないけれど、何でもかんでも頑張ることからは卒業しなさいということなのかもしれません。
頑張らないという選択をする決断も必要ですね。
本作の特徴は2つあると私は思います。
常に主人公を「さん」付けで呼ばれていることが印象的で、重松清さんの優しさを感じます。
また、映像化を意識して執筆されているのかなと思わせるくらい、頭で映像化しやすかったです。
それだけ、人も情景描写も丁寧に描かれているということでしょう。
どことなく、東野圭吾さんの作品と共通する部分があるように思います。
重松清さんの作品は映像化されているものが多いのも納得。
基本的にユーモアのある雰囲気なのですが、悲壮感と哲学的なものが含まれたこの作品を拝読できて、また私の中にあるものが少し浄化されたようです。
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