プラネタリウムのふたご/いしいしんじ
いしいしんじさんの長編小説
「プラネタリウムのふたご」を拝読しました✧*📖 𓂃𓈒 𓂂𓏸
(2024,12,4 読了)
久しぶりのいしいしんじ作品。
12/15㈰に主催した読書会「作家(翻訳家)縛り紹介型読書会
第7回”いしいしんじ” at読書会すみれ」のために拝読。
いしいしんじワールド全開の童話のような物語。
モヤに包まれて星空が見れない架空の小さな村が舞台です。その村の唯一の娯楽は酒場とプラネタリウム。禁猟日明けの熊狩りをする際にしか入れない山と、村の大きな資金源となっているであろう工場があります。
村の人々は毎日のように一日に数回の公演をしているプラネタリウムに通っています。
そのプラネタリウムにある日、ふたごの赤ん坊が置き去りにされ、プラネタリウムの解説員である男が育てることになりました。
ふたごが少年へと成長したころ、村に有名なサーカスの一座がやってくることに。それがきっかけでふたごの運命は大きく動いていきます。1人は義父とともに星の語り手に、1人は手品師としてサーカス一座の仲間入りに。そしてふたごは運命に翻弄されてゆくのでした。
あらすじを要約するとこんな感じでしょうか。
プラネタリウム解説員の男に育てられるふたごの成長記の所々で、解説員の男の星の語りが描かれているのですが、まずこの描写がとても素敵で惹き込まれるのです。
天文にそこまで関心のなかった私が興味を持ち学びたくなるくらい。神秘的な語りにグーっと引っ張られてふんわりした気持ちですこしずつ読み進めていくのですが、どことなく不穏な空気も漂っているような気がしてなんだか落ち着かない私もいて。
そうして中盤あたりからその思いは強まり、読むのが加速していきました。
途中途中で哀しい事もあり何度も涙しながら読んで、最後は哀しいけれど心がボワッと温まって読了し、余韻が残ったままの状態でこの感想を書いています。
先に書いた星の語りも素敵ですが、解説員の男を始め周りにいる大人の中に素敵な人たちもいて、その人たちの語る言葉がまた良いのです。そんな大人とご縁があったふたごもやはり素敵に成長し、ふたごの言葉もグッとくる。また、淡々とした物語の中に散りばめられたエピソードも魅力的なものばかりでした。
哀しみの渦中にいると絶望感で目の前は真っ暗になり、それでも生きるという選択しかできないことに更に絶望するようなときが私にもありました。
今私がここに在るのは根拠はなくとも必ず救われるときがくることを信じてそっと見守っていてくれた両親がいるからだと思います。
そんな両親のお陰で自分自身も僅かな生きる望みを信じれたのだとも思います。
本作の中には引用したいエピソードや言葉がとてもたくさん詰まっているのですが、私なんかが抜き出してしまうと途端に陳腐になってしまいそうなのでぜひご自身で読んでご堪能ください。
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