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10の奇妙な話/ミック・ジャクソン、田内志文(訳)





積読本📚の中からミック・ジャクソンの短編集、「10の奇妙な話」を拝読しました📖´-
(2024,5,20 読了)





LINEオープンチャット「読書会すみれ」内で5月に主催した
”作家(翻訳家)縛り紹介型読書会”第4回「翻訳家・田内志文」
こちらでご紹介するために拝読しました。
結果的に他の参加者さんが本書をご紹介されたので、私はまた別の作品をご紹介したのですが、そちらの感想はまた別の機会に。




日常と異常の境界を越えてしまい、異様な事態を引き起こした人々を描いた珠玉の短編集です。
奇妙でゾクッとする話、哀しくなる話、クスッとなる話と多種多様で飽きのこない楽しい一冊でした。



私が特に好きだったのは「蝶の修理屋」。
骨董品収集家の少年は博物館で見た何百匹という本物の蝶を配置して大きな喋に見立てて展示してあるものに心を打たれます。
そして、その数日後いつもの骨董屋で蝶の修理屋の手術道具と出会いました。少年はその手術道具を購入し、博物館の蝶を蘇生させる計画を立てるというお話です。


しかし多くの偶然は、それに応じて行動した人物が歩む人生の道筋を変えてしまうほどの力を持つ、ずっしりとした重みを運んでくるものなのです。

「蝶の修理屋」より





博物館で展示されている本物の蝶たちと出会うという偶然、その後骨董屋で蝶の修理屋の手術道具を見つけるという偶然。
偶然が偶然を呼び、自分の成すべきことが明確になればそれらは必然となる。たとえ他から見たら異常な行動だったとしても。そんな感じでしょうか。
そして少年が繋ぎ合わせた偶然の結果は……これもまた必然なのだろうと思えるラストでした。平たく言えば因果応報。



こういうことって現実でもあるよなと思うのです。偶然と偶然がふと頭の中で合致して、これは自分にとって大切なメッセージなのだと解釈して自分にゴーサインを出すことってありませんか?
そんな時っていつもの自分には考えられないような行動を取っていたり。境界を越えるパワーが全開になるというか。
人生の転機はそのようにしてもたらされるような気もします。



本書に収録されているお話はどれも現実感はないのですが、何となく共感できるものが結構あって日常と異常の境界は意外と身近に溢れているようにも思えます。
不思議な不思議な読後感。読む度に感想も変わりそう。
デイヴィッド・ロバーツの不穏な雰囲気の挿画も良き、田内志文さんの訳者あとがきと石井千湖さんの解説も読み応えありの贅沢な一冊でした。

ミック・ジャクソンは、もう一冊積読しているのでそちらを拝読するのも楽しみです。





読書会すみれ



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菜穂☽︎‪︎.*·̩͙‬
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