ユートピア
トマスモアのユートピア、世界史の授業でその単語を聞いたことがあったけれど、読むとイメージ以上に引き込まれた。その世界では、健康的な生活や安全は保障されているものの、全てが国家に決められていて秩序を乱すと処刑されてしまう。私はこんなの自由でもなんでもないと思った。
あるべきユートピアの姿は時代によって変わるし、個人、国家、世界各単位にとっての理想や夢があって当然だと思う。この本が書かれた時代には、それが理想だったのだろう。でも、自然に湧いてくる人間らしい感情、例えば誰かと一緒にいたい、好きな人と恋愛がしたい、セックスがしたい、いろんな世界に行ってみたい、好きなことを学びたい、もっと自分の感情を表現したい、発信したい、とかそんな欲求を塞ぎ込んで得られる安定なんてまっぴらごめんだ。
もっと、人間らしくあっていい。怒りたい時には怒って、泣きたい時に泣いて、辛い時は辛いと思っていいし、言っていい。好きなものは好きだし、好きじゃないものは好きじゃない。
周りの目を気にして、そんな素直な自分の気持ちですら吐き出しにくくなっている自分に気づいて嫌になる時がある。
私はいつでも、そのままでいいんだと思わせてくれるものに憧れているし、それはいつも日常の中に溶け込んでいる。音楽とか本とか、ファッションとか、誰かの考え方とか生き様とか、友達が何気なく言っていた言葉とか。
自分が自分のままでいることを恐れたくないし、湧き出てくる素直な感情を素直に受け止めたい。
考え方にも生き方にも、表現にも感情にも多様性があっていいし、単純にみんなのそれを聞いてみたいし知りたい。自分のままでいることを冷やかさない社会であるべきだと思う。
たとえ、みんながそうできるわけじゃないとか、理想的だけど現実的ではないとかそんなことを言われるかもしれないが、私は自分のユートピアをそう描いている。
誰かの立場になるとまた描くユートピアは変わってくるだろう。色んな人の考えるユートピアを知りたいし、想像したい。
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