43 魂の宿題 “美しい音”
出雲大社の式年遷宮で、御本殿の改修工事が行われる。御神体は御本殿から御仮殿に移され、工事の前に御本殿の天井に描かれている「八雲之図」が特別に一般公開されるという。
姉の急な発案で祖母、母を含めた女四人旅があっとゆー間に決定した。
あれは2008年5月のことだった。
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一応42からの続きデスが、
読まなくても分かるからだいじょぶー✨
【ではでは本編↓】
私は仕事があったから、三人は先に出発。
出発日、職場にキャリーケースを転がしながら出勤し18時まで働き、その足で新幹線に乗って岡山へ。その晩は、岡山駅前のビジネスホテルに泊まって、翌日現地で三人と合流した。
方向音痴、地図は読めない、電車の乗り換えも出来ない私が、なぜこの難易度高のスケジュールをひとりぼっちで乗り切れたのか、未だに謎。
ま、ビジネスホテルで爆睡してたせいで寝坊して😪岡山駅で乗り口が分からずウロウロ彷徨ったりもしたけども。笑
*
さて、、
当時「神社」って何なのか知らない私。
だから式年遷宮の意味も、出雲大社がどーゆー位置付けなのかも、神様って何なのかさえ、なーんにも知らなかった。
だから「八雲之図 特別拝観」の大行列で、姉にすっとぼけた質問をたくさんした。
『御神体を移すのってそんなに時間かかるの?』『御神体ってパッと運べないくらい重いの?』
『こんなに派手にやる意味ってあるの?』
『てゆーか、そもそも御神体ってなに?』
御本殿から移された“御神体”というものに興味津々の私。姉は私の性格をよく知っているから、自分の知識でもってちゃんと返答してくれた。
『公表されてない。神社の御神体って一般的には
“鏡”や“刀”かもって言われてるらしい。』
アホまっしぐらの回答。。
恥ずかしぃー・・・( ⸝⸝⸝•_•⸝⸝⸝ )♡
でも、まぁ仕方ないのよ。こんなもんだったのよ。
人って、ホント色々と忘れて生まれてくるのね。
この旅は今思うと、“子どもに宿題をやらせる為に
甘いお菓子で釣る”みたいなやつで、八雲之図はたぶんその「☁️甘いお菓子☁️」の役割だった。
つまり、私の魂さんとしては、お菓子で釣ってでもどーしてもやらせたい「宿題」が別にあったのだ。
その“宿題”がまさに、はるばる出雲の土地にまで呼び寄せた理由で、私に「美しい音」を聴かせることだった。
*
すんごい行列で待ち時間がたっぷりのせいか、俄然わくわく😆。(←待つのが好きな変人アユミ)
アホな会話を繰り広げながらゆっくりと進み、遂に御本殿に到着した私たち。
急な階段を一段一段上りながら、なぜか私の心は
ザワザワを感じていた。
御本殿の周りの角(かど)ごとに数名ずつ待機させられ、ぐるっと反時計回りで鑑賞地点までたどり着いた。
鑑賞地点の手前の角を曲がった瞬間、お部屋の中が視界に入った。
カラダの左側に受ける空気の目が細かくて圧倒された。左に目をやり覗き込もうとすると、誘導スタッフに「どうぞ膝をついて見上げてください」とお声掛けされた。
ブルーシートの上に慌ててひざをつき、正座で静かに仰ぎ見た。
体勢を低くしたせいで今度は私の左耳も反応する。
左側ぜんぶが凪いだ空気の膜を捉えた。それはおそらく意識の深淵に触れた瞬間だった。
私の深いところで静かな突風が吹いた。
好きな音がした。
無音の“音”の中でも、圧倒的。
これ以上、言葉が見当たらない。
とっておきで、とにかく大好きな音だった。
鑑賞して間もなく階段を下り、あの場から遠ざかるほどに、「音」は聴こえなくなった。
よく考えたら、あの空間はとても永いあいだ御神体とともに神様が静かに棲まわれていた。だから、私がお邪魔した時、確かにその痕跡が感じられたのだ。
なぜか、私の脳には“八雲之図”以外の映像があまり残っていない。あるのは“音”と“微細な感覚”、そして数枚の静止画だけ。
いつも頭の中が言葉や映像で溢れてしまっている私だけど、この時ばかりは暫く脳内が空っぽになっていたことに後で気づいた。
あの美しい音に触れた時、私の中のコアな記憶へと繋がる“特別な道”が開通した。
神様がお引っ越しした後、お役目を終えた“神様のおうち”の音を聴いたことで、私の魂は「原点回帰」した。
それまでノイズの多い人生で、あんな音は聴いたことがなかった。たぶん私の魂がどうしても聴かなければならない「音」だったんだと思う。
【魂の記憶】
神社参拝は本来、魂の記憶を呼び覚ますもの。
やると決めてきたこと、出逢うと決めてきた人、
自分との約束。
それらを思い出す場所が神社。
人は「記憶」でできている。
すべて知っているはず。忘れてしまっているだけ。
必ず思い出せる。
そして、約束を果たさなければ。
それは「音」が教えてくれる。
“ 静寂と安寧に包まれる
魂が還るべき本当の居場所を ”
Ayumi☽