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PURPOSE パーパス

平積みになっていて気になったので、読んでみました〜!新しい資本主義のヒントとなる書籍です。

企業は「そもそも何のためにビジネスを行うのか」という根本のレベルで見直しを迫られている。目的の大転換に伴って、当然、事業の内容やアクティビティにも大きな変化が生じる。

ビジネス・ラウンドテーブル」が「もはや利益をビジネスの最終目的にしない」という趣旨の名声を発表し大きな話題となった。

メッセージを受け取る側が「なるほど、勉強になるな」と「あの人はいつも正しいことを言ってくれるな」と感じてブランドを好きになることはほとんどない。人々が反応するのは、正しいだけでなく、おもしろい、かっこいい、大胆、痛快など感動が動くようなメッセージが届いたとき。

ビジネスの文脈で用いられる「パーパス」は、さらに踏み込んで「社会的存在意義」と捉えるのが適切だ。

ビジョン・ミッションは企業がなりたい姿を一人称的に表現するものであることから、その企業しか入らないサイズの「小さな船」に例えられる。一方、パーパスは多様なステイクホルダーが共有するあるべき世界の姿を第三人称に描いた「大きな船

サイモン・シネックが提唱するゴールデン・サークルモデル
なぜそれを行うのか」というWhyから物事を始めることで、より多くの人々の心を動かすことができる。同心円の中心にWhyを置き、その周辺にHowWhatを配置するモデル

Allbirdsは、サステナビリティを実現するために複数の企業が協働することが重要と考える。「ビジネスの力で気候変動を逆転させる」という大きな船に、多様なステイクホルダーを乗せて前進している。

マルナイトらは、パーパスを中心に置くことによって、カイゼン的(incremental)受動的(reactive)な戦略から脱却し、能動的に未来を創出することがてきると捉えている。

ビジネスがこれまで得意としてきた、分析を通じて課題を特定するという要素分解的アプローチではなく、自社のビジネスの影響範囲をより広く捉えた、全体最適的なアプローチが必要になっている。

2020年7月には、BlackRockは気候変動に対する取り組み基準を遵守していない200社以上に実際に通知を行ったと発表している。各国の金融関連省庁と中央銀行からなる金融安定理事会により設立されたタスクフォース TCFDの勧告を遵守し、SASB(サスビ、サステナブル会計基準審議会)の情報開示基準に沿ったサステナビリティ報告書を作成するよう促している。

2021年6月には、ワークマネジメントツール開発を行うAsanaと、通信機能APIを提供するTwilioという2つの企業が、すでに上場しているニューヨーク証券取引所に加えて、LTSEにも上場することが発表され、LTSEにとって初の参画企業を迎えることになった。

新興シューズブランド「On」は、発売の1年前から申し込みを受け付け、ユーザーと積極的なコミュニケーションを図ってきた。先行予約をすると、専用のニュースレターが届き、その開発背景や開発の進捗などを確認することができる。

パーパスは経営者が1人で規定するものでなければ、天才的なクリエイターに提案してもらうものでもない。パーパスをもとに組織が動的に駆動することが真のゴール。構成員が「自分ごと」として議論を重ね編み上げたパーパスのみが、組織を駆動する力を持つ。

過去の成功が未来の成功確率を上げるような時代にあっては、経験値の高さがリーダーに必須な要素の1つだった。しかし、過去の成功と未来が必ずしもリンクしないこれからの時代には、組織メンバーを先導するようなタイプのリーダーシップではなく、チームメンバー個々人のパーパスを聴き出し、それを組織やプロジェクトのパーパスと紐付けることを手助けするようなタイプのリーダーシップが求められる。

Questivalを通じて、Cotopaxiは、顧客を「自社製品を購入してもらう対象」から「パーパスが描く世界を共につくっていくパートナー」に変えていく。顧客や地域コミュニティを巻き込む新しいエコシステムのデザインと言える。

ゲゼルシャフト的な近代の組織は、ツリー型のトップダウンで構成され、「合理性」を行動基準とする。パーパスの世界で描かれるエコシステムとは、ネットワーク的であり、社会的責任への「共感」を行動基準とする。中心がなく水平に広がる「リゾーム」型

エーザイのCFOの柳良平は、研究開発費控除前の営業利益を「ファーマーEBIT」と名付け決算発表会においてその数値を発表している。

未来志向で組織の行動原理を考える手法として、バックキャスティングが知られている。あり得る未来を想定し、それを起点に現在行うべきことを逆算して検討する方法論。

国連の責任投資原則(PRI)に署名する機関投資家は、2020年には3000を超すに至った。GSIA(世界持続可能投資連合)が2018年に発表したレポートによると世界のESG投資の総額は30兆ドルに達している。

資本主義の利益を1社で独占する考え方ではなく、パーパスをもとに社会が持続するために、目的を同じくして活動していくヒントがたくさん書かれた書籍で、経営者や経営企画の方に、おすすめの1冊です。



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