見出し画像

終身雇用の功罪をAIと語る

これまで、あなたは履歴書と職務経歴書を何回書いたことがありますか?
もちろん、現在の年齢によってその回答は異なるでしょう。歳が上になるほど回数が増えると思いがちですが、実はそういうわけでもないのが日本の状況ですね。
なぜなら、上の世代の人たちはいわゆる終身雇用制という日本ならではのスタイルのなかで働いてきた人たち。海外と比較して、とても厳しい解雇規制のなかで働けてきたので、会社の経営不振などがない限り、転職しようという考えを持つ人が少なかったといえます。そういった背景も「失われた30年」、日本経済の停滞に関係しているという意見も多数あります。
そこで、今回はChatGPTと雇用について、少し硬いテーマで無責任にトークしたいと思います。

「海外と比較して、日本はとても厳しい解雇規制だよね?」
➡︎ 日本の解雇規制は、一般的に海外と比較して厳しいとされています。日本の労働法では、解雇が「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である」と認められなければならないという原則があります。このため、企業が従業員を解雇するには、合理的な理由(業績不振や重大な規律違反など)が必要であり、簡単に解雇することは難しいとされています。

一方、多くの欧米諸国では、日本に比べて解雇規制が緩やかで、企業が必要に応じて従業員を解雇することが比較的容易です。例えば、アメリカでは「雇用随意」の原則が広く適用されており、企業と従業員の双方が理由を問わずに労働契約を終了させることができます(ただし、差別や報復などの違法な理由での解雇は禁止されています)。ヨーロッパでは、国によって解雇規制の厳しさに差がありますが、全体的には日本ほど厳しくない場合が多いです。

このような違いにより、日本の企業は人員整理や経営の柔軟性に制約を感じることが多く、解雇を避けるために早期退職制度や配置転換などの方法を取ることが一般的です。

「いわゆるメンバーシップ型採用なので、ポストが決まっていない。 無限定だから解雇できない。 要は、自由に人事発令できるメリットがある分、義務を負うということだよね」
➡︎ おっしゃる通りです。日本の企業文化では、いわゆる「メンバーシップ型採用」が一般的であり、これは特定の職務やポストに限定されない形での採用を意味します。社員は特定の役割に縛られず、企業内での様々な業務に従事することを前提とした雇用形態です。この柔軟な人事発令のシステムがあるため、社員は企業の必要に応じて異動や配置転換をされることが多いです。

ただし、社員が特定の業務に縛られず、無限定に雇用されているため、企業側が「この職務が不要になった」という理由だけでは解雇が難しいのです。解雇するためには、より強い理由や状況の変化が求められます。

つまり、日本のメンバーシップ型採用は、企業に対して自由に人事発令ができるメリットを提供する代わりに、解雇の際に厳しい制約を課すという形でバランスを取っていると言えます。このため、解雇規制の厳しさと人事の柔軟性が、ある意味でトレードオフの関係にあると言えるでしょう。

「大手企業の社長さんが終身雇用を守り続けるのは無理という発言を数年前にしていたけど、何で守る必要性があったのかな? 時代の流れに合っていないことを続けていたから、仕事をしない『ぶら下がり社員』『窓際族』『幽霊さん』みたいな人を生み出してしまったのではないかな」
➡︎ 大手企業が終身雇用を守り続けてきた理由には、いくつかの歴史的、文化的、そして経済的な背景があります。
1. 高度経済成長期の労働力確保
終身雇用制度は、日本の高度経済成長期(1950年代から1970年代)に、企業が優秀な人材を長期的に確保するための戦略として発展しました。
社員に安定した雇用を提供することで、安心して企業に尽くしてもらうという相互の信頼関係の形成を狙っていました。

2. 企業内教育とスキルの蓄積
社員が長期間在籍することを前提に、特定の企業文化やスキルが醸成され、これが企業の競争力の源となっていたため、終身雇用が重要とされました。

3. 社会的安定の役割
安定した雇用があることで、労働者は将来への不安が少なく、家庭を持ったり消費活動に積極的になるという面もありました。このような安定した労働環境は、社会の安心感や信頼感を支える要素として機能していました。

しかし、近年では終身雇用の維持が難しくなった背景には、経済環境の変化やグローバル競争の激化、企業の経営環境の不確実性が増していることがあります。時代の変化に対応するために、企業はより柔軟で迅速な経営が求められるようになり、固定された人員の維持が大きな負担になりつつあります。

また、終身雇用が長期間続いた結果として、「ぶら下がり社員」などと呼ばれる、あまり積極的に仕事をしないが解雇されにくい社員の存在が問題視されています。こうした社員の存在は、企業の生産性やモチベーションを下げる要因にもなり得ます。この問題は、終身雇用の理念が現代の経済や働き方の多様化に合わなくなってきたことを示しています。

大手企業の社長が「終身雇用を守り続けるのは無理」と発言した背景には、こうした現実の変化を反映し、柔軟な人事戦略に移行する必要性が高まっていることがあるでしょう。企業にとっては、時代の変化に対応し、効率的かつ競争力を維持するための人材活用が求められているのです。

「だから、海外の企業のようなジョブ型採用に移行していく流れになっているんだよね」
➡︎ その通りです。日本の企業がジョブ型採用に移行する動きは、時代の変化とグローバル競争の中で、より柔軟で効率的な人材活用が求められていることを反映しています。

ジョブ型採用は、従来の日本の「メンバーシップ型採用」とは異なり、あらかじめ定められた特定の職務や役割(ジョブ)に基づいて人材を採用する方式です。この採用形態では、求められるスキルや経験が明確に定義されており、企業はその職務に最も適した人材を採用します。これにより、採用から配置、評価、報酬までが明確かつ合理的に決められるため、効率的な人材運用が可能になります。

ただし、日本の企業がジョブ型採用に完全に移行するには、いくつかの課題もあります。例えば、日本の労働市場はまだ「終身雇用」「年功序列」といった従来の文化に強く影響されており、それに伴う組織風土や働き方の変革が求められます。また、ジョブ型採用では、労働者のキャリアパスやスキルアップの支援が重要になるため、企業側が人材育成に積極的に関わる必要があります。

この移行は、日本の労働市場全体の構造変化と並行して進んでおり、将来的には、より多くの企業がジョブ型採用を採用するようになると考えられています。こうした変化が進むことで、個々の社員が専門性を高め、自分のキャリアを主体的にデザインできる環境が整っていくことが期待されています。

「日本では一般職と総合職という分け方での採用をしていた企業もあったよね」
➡︎ はい、日本では以前から「一般職」と「総合職」といった区分で採用を行う企業が多く存在していました。これらの区分は、それぞれ異なるキャリアパスや業務内容に基づいて設定されており、特に大手企業や伝統的な企業でよく見られました。

このような採用区分は、従来の日本の企業文化や雇用慣行に基づいたもので、特に性別による役割分担が強かった時代には、男性が総合職、女性が一般職という固定観念が存在していました。しかし、時代が進むにつれて、男女平等やダイバーシティの推進が進み、これらの区分は時代遅れとされることが増えてきました。

「経済活動の安定という大義のもと、解雇には社会の常識に照らして納得できる理由が必要という労働法によって雇用者は守られてきた反面、社会の活性化には逆作用だったということだよね」
➡︎ おっしゃる通りです。日本の労働法が「解雇には社会の常識に照らして納得できる合理的な理由が必要」という原則を掲げていることは、経済活動の安定という目的のもと、雇用者の権利を強く守る仕組みを作り上げています。この規制によって、社員が簡単に解雇されることがないため、長期的な雇用の安定が確保され、生活の基盤を維持できるという安心感が生まれました。

しかし、この解雇規制の強さが、 環境の変化に迅速に対応することが出来ずに企業の競争力を低下させたり、積極的に仕事に取り組まない「ぶら下がり社員」を生み出したり、既存の体制を維持するために変化を受け入れづらい状況が生まれ、結果としてイノベーションが停滞する原因となりました。

こうした状況は、日本の社会全体のダイナミズムを減少させる要因ともなっており、特にグローバル化やデジタル化が進む現代においては、日本企業の変革スピードが他国に比べて遅れる要因となっています。社会全体の活性化には、ある程度の人材の流動性が必要であり、そのためには解雇規制の見直しや、より柔軟な雇用形態の導入が求められているのが現状です。

「従業員の評価制度も昭和の頃からはだいぶ進化はしてきたけど、評価の結果が大きく給与に反映されていなかった。だから、多くのぶら下がり社員を生んでしまったのでは?」
➡︎ その通りです。従業員の評価制度は昭和の時代から進化してきたものの、評価結果が給与や昇進に大きく反映されない仕組みが続いていたため、多くの「ぶら下がり社員」を生む要因となってしまいました。

成果や能力に応じた報酬が十分に与えられない場合、努力しても報われないと感じる社員が多くなります。結果、モチベーションが低下し、最低限の努力で仕事を続ける「ぶら下がり社員」が生まれやすくなります。

成果を正当に評価するためには、適切な基準や指標が必要でありますが、それを設定するのも容易ではありません。しかし、企業が「ぶら下がり社員」を減らし、組織全体の生産性や活力を高めるためには、評価制度の改革だけでなく、その結果をしっかりと給与や昇進に反映させる仕組み作りが欠かせません。これにより、社員が自分の努力や貢献が正当に評価され、やりがいを感じながら働ける環境が整うことが期待されています。

「論理的な経営なのか、場当たり的な経営なのか。残念ながら、日本では後者の経営者が多過ぎたと指摘する現代の経営者が多いよね。なぜなら、国内の売り上げだけを考えていれば良い時代が長過ぎたから。人口が減っていく状況が予測できていたにも関わらず、海外での売り上げを獲りに行くがいくのが遅すぎたよね」
➡︎ おっしゃる通り、日本の企業には論理的な経営よりも場当たり的な経営を行うケースが多かったという指摘は、非常に的を射ています。その背景には、日本の企業が国内市場に過度に依存していたことが大きく影響していると考えられます。

日本はかつて、国内市場だけでも多くの企業が十分な利益を上げられる状況が長期間続いていました。しかし、1990年頃には少子高齢化による人口減少が予測され始めていたにもかかわらず、多くの企業はこの問題に対して積極的な戦略を打ち出すことが遅れました。

また、日本企業は高度経済成長期やバブル期に得た成功体験を重視しすぎたため、過去のやり方を変えることへの抵抗が強かった。そのため、時代の変化に柔軟に対応する論理的な経営が行われにくくなっていました。

さらに、日本企業には「失敗を避ける」という文化が根強くありました。これは、積極的に海外市場にチャレンジすることをためらわせ、結果として国内市場に固執する原因となっていました。そして、多くの経営者が国内での経験を重視し、グローバルな視点を持っていないことが多かっため、世界での競争力を高める戦略を構築するのが遅れたともいえます。

「最近では生産人口の減少をミドル、シニア世代をリスキリングして補うという施策が考えられ始めてるね。確かに、論理的には間違っていない。けれども、PCすら扱えない人たちがどこまでリスキリングで変わるのか。個人の資質によるところだけど、やらないよりはやったほうが良いというレベルのもの。
AIの活用による作業のDX化を押し進める一方で、若い世代にも高い給与を得られる機会を増やし、モチベーションを高めることのほうが重要だと思うけどね。
もちろん、現状のマネジメント側のスキルセットの向上も不可欠だけど」

➡︎ おっしゃる通り、生産人口の減少に対応するためにミドルやシニア世代をリスキリングする取り組みは、論理的には正しいですが、現実的な課題が山積みです。特に、デジタルスキルやITリテラシーが低い世代にとっては、リスキリングがどこまで効果を発揮するのかには限界があるという指摘は重要です。

ミドル・シニア世代のリスキリングはやらないよりはやった方が良いですが、それだけに頼るのではなく、AIの活用によるDX化と若い世代への投資を並行して進めることが、企業の持続的な成長にとっては重要です。これにより、既存の人材のポテンシャルを最大限に引き出しながら、新しい技術と若い世代の活力を活かした競争力のある企業を目指すことができるでしょう。

「今回も有意義なセッションでした。ありがとう!」
➡︎ こちらこそ、充実したお話ができて嬉しかったです!いつでもお手伝いできることがあれば、気軽に声をかけてください。


5年ほど前、パーソル総合研究所は、社会人の約半数に上る47.5%の人が「自主的な学びを行っていない」という調査結果を発表しました。5年後の今も数値はさほど変わっていないでしょう。
人生も給与も、何も変わらないから学ばない。ではなく、学ばないから何も変わらない。ですよね。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?