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現場第一主義になりがちな介護リーダーが知っておくべき視点
1. 現場第一主義の介護リーダーの特徴とその背景
介護現場では、「現場第一主義」という言葉がよく使われます。
この現場第一主義とは、現場での実務や対応を優先し、常にその場に入り込みながら支援を行う姿勢を指します。
介護リーダーとしてこの姿勢を取ることは、利用者に寄り添い、直接的なケアを提供する介護においてとても大切です。
しかし、現場に集中するあまり、リーダーとしての他の役割が疎かになってしまうこともあります。
弊社の役職者にも、「現場第一主義」のタイプのスタッフがいます。
現場第一主義は、利点もありますが、その逆にリスクもあります。
リーダーは、この利点とリスクの両方を理解した上で現場対応をしていくことが非常に重要であると考えています。
現場第一主義の利点と重要性
現場第一主義は、リーダー自身が現場の課題やスタッフの悩みをリアルタイムで理解できるという利点があります。
リーダーが自ら現場に立つことで、利用者の満足度が向上し、スタッフからの信頼も高まる傾向にあります。
また、現場での業務を知っているリーダーは、スタッフが行う日々の介護作業に共感を示しやすく、サポート役としても力を発揮しやすいでしょう。
リーダーが現場に注力しがちな背景
介護リーダーが現場第一主義に偏りやすい背景には、いくつかの要因が考えられます。
まず、介護業界全体で人手不足が深刻なため、リーダーも現場に入らざるを得ない状況が多々あります。
急な欠員や予期せぬトラブルが発生すると、リーダーがその場でカバーに回ることが多くなり、どうしても現場での対応が優先されがちです。
また、介護リーダーの多くは元々介護職員として長く現場経験を積んできた方が多いため、現場に対する責任感や愛着も強い傾向にあります。
現場での経験やスキルを活かすことがリーダーとしての役割であると考え、利用者のケアや日常的な支援に直接的に関わることに価値を見出すことも理由の一つです。
しかし、これが長期的にはリーダーとしての役割や視野を狭める原因にもなりかねません。
2. 現場主義のリスクと課題
現場第一主義の姿勢は介護現場では重要視されがちですが、リーダーとしての職責においては、現場ばかりに注力することでいくつかのリスクや課題が生じる可能性があります。
ここでは、リーダーが現場に依存しすぎることによる具体的な問題について解説します。
1. リーダーとしての役割が曖昧になる
介護リーダーの主な役割は、現場の支援だけでなく、チーム全体を見渡してスタッフの指導や育成を行い、施設の運営方針を実行することです。
しかし、現場業務に忙殺されると、リーダーとしての管理業務やスタッフ育成が後回しになりがちです。
その結果、現場が優先される一方で、リーダーが組織全体を俯瞰して見られなくなり、リーダーとしての役割が不十分になってしまいます。
2. リーダー自身の業務負荷が増大する
現場主義のリーダーは、スタッフの業務をサポートするために直接的な介護に携わることが多いため、結果としてリーダーの業務負荷が増大します。
現場業務に加えて、管理業務やスケジュール調整、利用者家族への対応といったリーダー固有の業務も並行して行わねばならず、心身ともに大きな負担がかかることになります。
この状態が長く続くと、リーダー自身が疲弊してしまい、最終的にはリーダーとしてのパフォーマンスが低下するリスクが高まります。
3. スタッフの自主性が育ちにくい
リーダーが常に現場に出て、細かい指示を出すことは一見プラスに見えるものの、結果としてスタッフの自主性や判断力が育ちにくい環境を生む可能性があります。
現場のスタッフにとっては、常にリーダーがそばにいるため、自分で考えるよりもリーダーの指示を待つという姿勢になりやすくなります。
これでは、スタッフの成長が阻害されるだけでなく、チーム全体の対応力も低下してしまうおそれがあります。
4. 組織全体の運営や成長が停滞する
リーダーが現場に集中しすぎると、組織全体の運営や改善に目を向ける時間が不足します。
たとえば、スタッフの教育研修や業務改善の計画、新しいケア方法の導入など、施設運営を発展させるための活動が後回しにされがちです。
組織の成長が停滞すれば、やがて利用者満足度の低下やスタッフのモチベーションの低下を招き、施設全体のパフォーマンスに悪影響が出る可能性があります。
3. リーダーとして知っておくべき視点とは
現場第一主義が重要である一方で、介護リーダーとして組織やチームを成長させるためには、より広い視野を持つことも必要です。
ここでは、リーダーが現場にとどまるだけではなく、施設全体を発展させ、スタッフや利用者にとって理想的な環境をつくるために持つべき視点について解説します。
1. 中長期的な視点で施設運営を考える
現場での対応は目の前の問題解決に直結しますが、リーダーとしては中長期的な視点を持つことも不可欠です。
施設が今後どのような方向に進むべきか、どのような施設づくりが利用者やスタッフにとって最善かを考えることは、リーダーの重要な役割です。
例えば、地域との連携や、新しいケア技術の導入、スタッフ育成プランの策定など、日々の現場対応を超えた施設の将来像を見据えた取り組みが求められます。
2. スタッフの自主性を育むことの価値
リーダーが現場で指示を出すだけでなく、スタッフが自ら考え行動できるように促すことが、チームの成長には欠かせません。
スタッフ一人ひとりが主体的に利用者と向き合うことで、利用者にとってより個別的で柔軟なケアが提供されやすくなります。
また、スタッフが自主的に判断できるようになると、リーダーの負担も軽減され、リーダー自身が管理業務や組織の改善に専念する時間も増えます。
そのため、日常業務においてもスタッフの判断力や考える力を引き出し、成長をサポートする姿勢が大切です。
3. 利用者・家族との信頼関係を築くためのマネジメントの視点
介護施設においては、利用者だけでなく、その家族との信頼関係も非常に重要です。
リーダーが現場に直接出て支援するだけでなく、家族が施設に対して安心感を持ち、信頼を寄せられるような環境づくりに努めることが求められます。
例えば、定期的に家族と面談を行い、利用者のケア方針や現状について説明し、不安や疑問を解消する場を設けるといった工夫が効果的です。
また、家族からのフィードバックを受け止め、スタッフと共有しながら、利用者のケアの質を向上させることが、リーダーとしての信頼を高めるポイントです。
4. 「現場」と「管理」のバランスを取るための具体的な方法
介護リーダーにとって、現場での対応と管理業務をうまくバランスさせることは重要な課題です。
どちらか一方に偏ると、リーダーとしての役割が十分に果たせなくなり、結果として施設全体のパフォーマンスにも影響を及ぼします。
ここでは、「現場」と「管理」のバランスを保つための具体的な方法について解説します。
1. 役割分担の見直しと業務の効率化
現場と管理業務のバランスを取るためには、リーダーだけでなくスタッフ全員の役割分担を明確にすることが大切です。
たとえば、日常業務においてはリーダーが指示を出すのではなく、チームメンバーがそれぞれの役割を理解し、スムーズに業務を進められるように支援する体制を整えます。
具体的には、スタッフの中で「リーダー補佐」の役割を設ける、担当業務の進捗管理や書類作成を一部スタッフに任せるといった工夫が効果的です。
業務を分担することで、リーダーは現場にかかりきりになることなく、管理業務に集中しやすくなります。
2. 効率的な現場サポート体制の構築
現場第一主義を実践しつつも、リーダーが過度に現場に関与することを避けるために、現場のサポート体制を整えることが重要です。
具体的には、緊急対応やスタッフの急な欠勤時のカバー体制を予め定めておく、シフト制で役割をローテーションするなど、あらかじめ柔軟に対応できるような仕組みを構築しておくと良いでしょう。
また、業務内容を標準化し、他のスタッフがリーダーの指示を待つことなく動ける環境を整えることで、現場と管理業務のバランスを図ることができます。
3. 定期的なスタッフミーティングや意見交換の場の設定
リーダーが現場と管理業務を両立させるためには、スタッフ全員が一体となって取り組む意識を育むことが重要です。
そのためには、定期的にスタッフ同士が意見交換を行う場を設け、コミュニケーションを密にすることが効果的です。
例えば、週に一度のミーティングで、各スタッフが気づいた課題や改善案を共有する場を設けたり、リーダーから管理業務や施設の方針について説明する機会を持ったりすることで、チーム全体で業務内容を共有しやすくなります。
これにより、現場と管理業務の連携が取りやすくなるため、リーダーが現場業務に過度に時間を割かずに済むようになります。
5. 組織全体の成長を目指すリーダーシップ
介護リーダーに求められるのは、目の前の業務に取り組むだけでなく、組織全体が成長するためのビジョンを持ち、メンバーを率いるリーダーシップです。
ここでは、リーダーが組織力を高め、スタッフと共に成長していくために持つべき心構えについて解説します。
1. 組織力強化のためのリーダーの心得
リーダーとして、ただ現場の業務に追われるのではなく、施設やチームの長期的な成長を見据えた取り組みが求められます。
組織全体の力を強化するためには、リーダーがビジョンを示し、スタッフにその方向性を共有することが大切です。
例えば、「利用者にとって第二の家のような環境を目指す」「職員が安心して長く働ける職場作りを推進する」など、施設の理念に基づいた方針をわかりやすく示し、日常業務を通じてその目標をスタッフに浸透させていきます。
このようなビジョンは、スタッフのモチベーション向上にもつながり、組織全体の士気を高める要因となります。
2. リーダーが学び続けることの意義
介護業界は、ケア技術や支援の考え方が進化し続けています。
リーダーとして、こうした変化に対応し、常に学び続ける姿勢を持つことは非常に重要です。
新しいケア技術の習得、介護業界のトレンドや法改正への対応、チームマネジメントのスキル向上など、リーダーが自己成長を目指す姿勢は、スタッフにも良い影響を与えます。
例えば、リーダーが率先して研修に参加し学んだ内容をチーム内で共有するなどの取り組みは、チームの知識や技術力を高め、利用者へのケアの質向上にもつながります。
3. メンバーと共に成長するリーダー像
リーダーがスタッフと共に成長し、支え合う姿勢を示すことは、信頼関係の構築やチームの一体感を生むために欠かせません。
日々の業務でスタッフに声をかけ、悩みや困りごとを気軽に相談できるような環境づくりを心がけることで、リーダーが頼れる存在となり、チーム全体の協力体制が強化されます。
また、スタッフの長所を見つけ出し、それぞれの役割に適した仕事を任せることも、組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。
メンバーと共に歩み、共に成長する姿勢を持つリーダーは、組織における信頼と成果を築く存在となるでしょう。
ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました!
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《このnoteを書いた人》
ひろ/介護事業経営者/理学療法士/介護支援専門員
・病院で80人の部下を抱える管理職⇒介護で起業⇒7事業立ち上げ⇒経営11年目
・仕事効率化、知的生産、ビジネス書、文房具、ガジェットの話題が大好き
・X(旧Twitter)で介護事業の運営・マネジメント・リーダーシップについて発信
・YouTubeで介護事業の起業・経営について発信
・LINE公式アカウントで介護事業の経営・マネジメント・リーダーシップについて発信